でしょうね。
うおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!恥ずかしかったぁーーーー!!
めっちゃ恥ずかしかったーーーーっ!!
でも、これで一つ分かりましたよっ!!
どうやらウルシュ君は、ちょっとやそっとの事では引かないらしい。
普通は自分の婚約者(♀)が、謎の生き物の物真似を始めたら、ドン引きしそうなものだけど・・・・。
これなら私のHPを見ても、引いたり嫌ったりしないんじゃないかな?
「イザベラ・・・恥ずかしいなら、始めからゴリラの物真似なんてしなければ良いのに・・・。」
「何の事かな?私、恥ずかしがってなんか無いもん。」
そこは、スルーしてくれ。
余計に恥ずかしくなるから。
「最初の方はテンション上がってて、勢いだけで始めたみたいだけど~。途中から少しずつ顔が赤くなって行ってたよぉ?今も真っ赤な顔で涙目になってるよぉ?」
指摘すんなーーーーっ!!
そして、若干ニヤニヤすんなっ!!
「そ、そんな事ないもんっ!!本当は途中で我に返って恥ずかしく成ったけど、引くに引けなくなって、気合で最後までやり切ったりなんてしてないもんっ!!」
「真っ赤に成って、凄く恥ずかしそうな顔をしながら、最後まで元気よくゴリラの物真似を続けてるイザベラを見てたら、僕にまで照れが感染してきて、見ながら何だか恥ずかしかったよぉ~。」
や~め~て~~。
指摘しないで~~。
なんかもう許して~~。
恥ずかしさを取り繕う事ができなくなって、丸くうずくまった私の背中を、横からウルシュ君が撫でてくれる。
そんな優しさを見せるなら、初めから指摘せずに、気付かなかった事にして欲しかったよ。
「そんな恥ずかしい思いをしてまで、僕を試そうとしなくても、イザベラの事なら何でも受け止めるし、引いたり嫌ったりしないからねぇ?ちゃんと離れずにずっとそばに居るから、安心して良いよぉ?」
うん。何かそんな気がして来た。
ウルシュ君なら、本当に私が何やらかそうと、傍に居てくれる気がするよ。
私がどんなにHPが人間離れしてようと、あの、ゴリラの物真似が許容出来るなら、大抵の事は受け入れてくれるでしょうね。
「言ったからね?今、ウルシュ君、言ったからね?何見てもずっと傍にいてよ?」
「うんっ!!ずっと傍に居るよぉ~。・・・・・・・・・・(イザベラが嫌だって逃げ回ってもねぇ)」
おい。最後の小声、ちゃんと聞こえてたぞ。
私は、ゲームの主人公の様に、小声で呟かれる大事な一言を聞き漏らしたりはせんぞ。
「ウルシュ君。今の最後の一言は、私としても望むところで受けて立つから、今度からは小声じゃ無くて、普通の声もしくは大きな声で言ってね。」
するとウルシュ君は、ちょっとビックリした顔した。
やっぱり、ビックリしても目が開かないんだね。かわいい。
でも別に今、ビックリする要素なんて無かったよね?何についてビックリしたんだ?
私の地獄耳についてか?
考え込む私を覗き込んで、ウルシュ君は静かに言う。
「・・・・・イザベラ。絶対にお嫁に来てねぇ。」
始めからそのつもりだよっ!!
嫌がられても、押し売りの様にして嫁ぐ勢いだよっ!!
「行くよっ?!お嫁に行くよ?!なんで急にしおらしく成っちゃったの?!ウルシュ君らしくないよっ?!ほらっ!!ステータス見せてあげるからっ!!だから、元気出してっ!!だけど見たら、ちゃんと責任取ってお嫁に貰ってね?ねっ?」
「うん。ちゃんと責任取ってイザベラをお嫁に貰うよぉ~。」
まぁ、責任も何も、ただステータス見せるだけなんだけどね。
そんなんで責任取らなきゃ行けないなら、私、マリーちゃんを嫁に貰わないといけないよね。
ステータスどころか、《色欲》で下着まで見てるから。
「では、どうぞ。ついでに、私のステータスがウルシュ君にはどんな風に見えているのか教えて欲しいな。」
私の知らない、私のステータスとか有るかも知れないし。
「いいよ~。メモしようかぁ?」
「是非っ!!」
ウルシュ君は私の正面に移動すると、メモを片手にジッと私を見つめ始めた。
しかし直ぐに、困惑顔で首をかしげ始める。
「う~ん?・・・イザベラ。質問しても良いかなぁ?」
「え?なに?良いけど・・・・何か問題でもあった?」
「別に問題っていう訳じゃ無いんだけど・・・・。イザベラが見てる自分のステータスに『身分』は、なんて書いてある?」
「『身分』?『職業』の事かな?」
「少し違うかなぁ。僕から見ると『職業スキル』と『身分』は別に成ってるんだぁ。僕で言う『商人』の事かなぁ?」
どうもウルシュ君には『職業』の欄が、『身分』と『職業スキル』に分かれているらしい。
だとしたら、職業欄の中で、私の『身分』に当てはまるのは『公爵令嬢Lv1』になる。
そう答えると、ウルシュ君は困惑を強める。
何なんだよ。何が見えているんだウルシュ君。
「そうだよねぇ・・・・。イザベラは”公爵令嬢”だよねぇ?」
もしかして、私の『身分』が違う物に見えているのかしら。
そういえば、公爵令嬢Lvがこの前下がったばかりだから、それが私の”身分”に、何か悪影響を及ぼしているのでは・・・。
「ねぇ・・・。何が見えてるの?私の身分はどうなっているの?」
「ん~~?うん。『限り無く公爵令嬢に近い”何か”』って書いて有るよぉ?」
「公爵令嬢だからっ!!間違いなく公爵令嬢だからっ!!」
強欲王さまーーーっ!!なに困惑してんねんっ!!
”何か”ってなにさっ?!
これまでの精密性はどうしたっ!!
何で急に明言を避けたんだよっ!!
喧嘩売ってんのか?そのつもりなら買うぞ?メーカー希望小売価格でなっ!!
「う~ん。こんな”身分”。初めて見たよぉ・・・」
「でしょうね。」
もはやソレ、”身分”じゃ無い。
本当にどうしちゃったんだ強欲王様。
「それと、イザベラが見られたくないって言ってた、HPだけど。これ、本当に凄いねぇ!!人族でこんなHP持っている人、初めて見たよぉ!」
「でしょうね。」
HP:999まで上げて、カンストするのは現実世界では難しいわよね。
このHPまで到達するには、ゲーム世界じゃないと無理だわ。
「この、HP:67335って言うのは・・・例えるなら中型の地竜と互角で殴り合いが出来るレベルだよぉ。・・・ねぇイザベラ。将来、夫婦喧嘩する時は、物理的な喧嘩は避けようねぇ~。僕、死んじゃうから。」
いやいや。口喧嘩や、精神的な喧嘩だと、私が確実に負けちゃうでしょ。
正直、物理的な喧嘩以外でウルシュ君に勝てる気がしないんだけど・・・・・って、ん?
何か、今。
変な数値が・・・はじき出されていなかった?
「ウルシュ君。今、話に出て来た、HP:67335って言うのは、一体何の数値?」
ねぇ。ちょっと待って・・・まさかまさか。
「へ?イザベラのHPでしょ?大型の地竜がHP:70000前後有ったから、中型の地竜位かなぁ?って予想したんだけどぉ・・・どうかしたぁ?」
おい。なんで、上限突破してるんだ・・・・・。
上限は999で打ち止めじゃないのか?何なんだ。
強欲王様。解説をお願いします。本当にお願いします。
そのまま頭を抱えてしまった私をなだめ、事情を聞きだしたウルシュ君は、大まかな憶測を立ててくれた。
私が見れる【ステータス】には、独自のルールが有るのでは?との事。
そして、《強欲》で見る他人の『ステータス』も、そのルールに準拠しているのでは無いかという事。
【ステータス】については、前世のゲームの仕様をそのまま受け継いでいる物なので、多分ゲームの仕様が適用されているのかな?
《強欲》も、前世のゲームから持って来たスキルなので、ゲームの仕様に従うって言うのも分かる。
納得出来た。多分ウルシュ君の憶測は合っていると思う。
ちなみにゲームでのHPとMPの上限は”999”でストップする設定だったけど
それはあくまで”ゲームの世界”だからだ。
現実世界では、「この数値以上は成長できないよ」って言う数値が、明確に指定されている筈が無い訳でして。
つまり、ゲームで設定された基準値を超えたため、カンストしていた数値が
ストップせずにカウントされ続けて居たら、”67335”まで行っていたと言う事かな?
いや、待てよ?違うな。
ゲームでのHPカンスト・MPカンストというのは「その”種族”が到達できる限界値」となっていた。
つまり、「種族」によって、1HP・1MPに差が有って、
古龍:HP50 >> 魔族:HP50 > 人族:HP50
と、言った具合に、同じHP:50でも種族によって差が出たのだけど・・・・。
さっきのウルシュ君の言い方だと、ウルシュ君が見る『ステータス』のHPは違うみたいだね。
”私のHPは中型の地竜と同程度だから、中型の地竜と互角で殴り合える”との事だから
「すべての種族で同じ計測の仕方」の様だ。
ゲームのHP:999と、この世界のHP:999が、そもそも違うっぽい。
すべての種族で同じ計測の仕方なのは、どんな生き物相手でも、力量が比べられて良いけど
【ステータス】と《強欲》がゲームの仕様を引きずっているせいで混乱するわ。
「あと、イザベラ。もう一つ質問が有るんだけど、良いかなぁ?」
HPの計測方法について、考察している所にウルシュ君から声をかけられて我に返る。
「うん。何かな?」
「イザベラの”称号”の事なんだけどねぇ?」
”称号”って何だ。
そんなの有るのか、私に。
「私の見る【ステータス】には”称号”なんて載ってないから、答えられるかどうか分からないけど、どうぞ。」
「そっかぁ、イザベラには”称号”が見えないのかぁ。じゃぁ、聞いても分からないかもしれないけど、イザベラには”称号”が付いてるんだけど、その”称号”がねぇ・・・」
「うん。」
「”転生者”って成っているんだけどぉ、コレ、何だろう?」