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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
チート転生と、ゲームの裏事情あれこれ。
18/145

疑問に思ったのよ。

王宮への招待が明日に迫り、胃に穴が開くレベルでストレスを溜めた私は、ウルシュ君に会いにスネイブル家を訪ねました。

ウルシュ君で癒されたいっ!!

中身は黒いけど、それでもウルシュ君は私の癒しなんだっ!!


訪ねて行って知ったんだけど、ウルシュ君は最近、あまり自宅に居ないらしいんだよね。

ウルシュ君は新たなマジックアイテムを作り出すために、自分の作業場に引きこもっている事が多いらしい。

この前、街中で会えたのは凄くタイミングが良かったそうです。


応対して下さった使用人の方が馬車を出して下さり

現在王都の中心街から少し離れた場所にある、ウルシュ君の作業場に来ています。

6歳にして、自分の作業場を与えられているって・・・どうなんだ。

しかもこの作業場、ちょっと広すぎません?

戦闘機を3機ほど格納した上で、整備出来そうな広さですよ?

・・・・分かりにくい喩えだな。

とにかく、そんなレンガ造りの大型倉庫みたいな作業場の中に、2階建ての木造の家が入っています。

そう。建物の中に、建物。


現在その家の2階にて、魔石をハンマーで叩き割っているウルシュ君と居ます。

2人っきりで。

ここまで送ってくれた使用人さん、忙しいらしく帰って行っちゃったんだよね。

子供2人だけで置いて行くって不用心だな・・・

私は一応”まだ”公爵令嬢だし、ウルシュ君も大商人の息子だよ?

身代金目的の誘拐犯とか来たらどうするの?危険にも程が有るよ。

私達2人に撃退させたら、オーバーキルで大惨事だぜ?

あ、うん。狙われないわ、コレ。




「へぇ~、明日王妃様のお茶会に行くんだぁ?あれぇ?イザベラ、今何歳だっけ?」


作業から手を止め、丸い金属製のゴーグルの様な眼鏡を外しながら、ウルシュ君が顔を上げる。

剣と魔法のファンタジー世界のハズなのに、そのゴーグルでウルシュ君だけスチームパンクな世界の住人みたいに見えるよ。

まぁ、ビックリするくらい似合っているから、何の問題もないんだけど。

むしろ、可愛い癒し系から、恰好良い系にイメージが変わるね。

つまり!!ウルシュ君の新しい魅力の発見に、内心ウハウハなわけですよっ!!

製造職系の作業をしている職人っぽい姿に、男らしさを感じる女なんですよっ!私は!!

そんなハァハァしている内心を押し隠しながら、紅茶入りのポットを片手に答える。


「6歳だよ。お茶会には早いんだけど、正式に招待されちゃったから仕方なく。ねぇ、お茶入れたけど、ティーカップはどこ?」


「あ、ありがと~。お茶、それに入れて。じゃあ第二王子に会わせられるかもねぇ。」


「え?なんで?そりゃ、王宮だから殿下達も住んでいるだろうけど、第二王子は確か私達と同じ6歳だから、お茶会には出ないんじゃない?あと、”それ”ってどれ?コレ?」


「うん、それ。・・・まぁ、僕の予想でしかないんだけどねぇ。」


椅子の背もたれを抱きかかえる様にして座ったウルシュ君は、嫌な予想をしてくれる。

私としては、基本的に攻略対象キャラには会いたくないんだよなぁ・・・。

すでに、ウルシュ君と婚約していたとしても。


「ウルシュ君に予想されちゃうと、当たりそうで怖い。あと、本当にコレでお茶飲むの?これ・・・ビーカーだよ?」


そう、ビーカー。理科室の実験とかで薬液入れる硝子の入れ物。

これで紅茶を飲む気か、まじか・・・・


「それの名前がビーカーだって良く知ってたねぇ。それで良いよぉ、カップは置いてないんだぁ。」


うっ、前世で小学校の理科の実験で使っていたから、ビーカーを知ってたけど、よく考えたら6歳の公爵令嬢は、ビーカーに縁もゆかりも無いわ。

知っている訳が無かった。

まぁウルシュ君に深く問いただす気が無いみたいだから、良かったけど。


それにしても、茶葉とポットは有るのに、カップ置いて無いって事は、普段からビーカーで飲んでいる可能性が高いわね。

商会の息子が自分の作業場に、カップが置けない事は無いだろうから、多分身の回りの事に、無頓着なんだろうな。

放置してたら、何日でも引きこもって作業するタイプだわ、こりゃ。

頭ボサボサにしながら、引きこもって作業に没頭するウルシュ君も、それはそれで素敵だろうけど

食事も疎かに作業に没頭して、前世の私みたいに孤独死や餓死しそうで怖いから、度々様子を見に来て休憩させる事にしよう。


「ビーカー使って、間違えて変な物を飲むといけないから、これ置いとくね。」


前、ウルシュ君と義父様がレモネードを飲んだカップを【クローゼット】から取り出す。

空になったカップをどうして良いか分からなくて、洗ってまた仕舞ってたのよね。

紅茶が注がれたカップを受け取り、ウルシュ君も気が付いた様だ。


「あっ、これレモネードが入っていたカップだねぇ。最近父さんが、原液を瓶に入れて売り出したらしいよぉ。お好みで水かお湯で割って飲む形にしたんだってぇ。」


なるほど、それなら自宅で飲めるし、多少の日持ちがしそうね。


レモネードで思い出したんだけど、ウルシュ君の持っている【鑑定】と、私の【強欲かんてい】は、なんか違うみたいなのよね。


「そういえばあの時、ウルシュ君がレモネードの原材料を当てたのは、【鑑定】をしたからよね?」


「そうだよぉ~。」


うん。やっぱり違う。

実はあの後、自分に【強欲かんてい】スキルが有る事に気付いた時に、ウルシュ君と同じようにレモネードの【強欲かんてい】を行ったのだ。

そして、出て来た鑑定結果が・・・・


『ホットレモネード』

温かくて甘酸っぱい飲み物。

状態異常を僅かに回復する。特に《恐慌状態》に有効。


ゲームの時の「SAN値3回復」となっていた表記が「状態異常を僅かに回復」といった、フワッとした曖昧な表現に変わっているのは、まぁ分かるんだけど

ウルシュ君が言う様な、成分と言うか、原材料といった物は表示されないんだよね。

つまりだ。

私の【強欲かんてい】スキルって、通常の【鑑定】スキルの劣化版なんじゃないか?っていう事。


さて、どうしようかな?

1人で考えても、私の頭じゃ分からないだろうし

通常の【鑑定】の能力がどの程度あるのかが、そもそも分からないから

【鑑定】持ちのウルシュ君に話を聞くのが。一番早い気がするんだよね。


「イザベラ座らないのぉ?相談が有るなら聞くから、まず座ろう?」


相変わらずウルシュ君は、私の表情から考えを読むのがお上手ですね。

お言葉に甘えて、相談しちゃおうかな。

頼れる相手が居るなら、相談するのも間違いじゃないだろうし。

ウルシュ君の向かいの椅子に腰かけると、今の時点で出せる情報を考えつつ口を開く。


「実はこの間【ステータス】チェックしていた時に気付いたんだけど、私も【鑑定】に似たスキルを持っているみたいなのよね、”似ている”っていうのはウルシュ君の言う【鑑定】の能力とは違うからなんだけど、実際に【鑑定】と、どの位の差異や誤差が有るのかな?って疑問に思ったのよ。」


よし、出しても良さそうな情報はこんな物かな?

『魔眼』については、もう少しウルシュ君と分かりあえてからにしよう。


私の話を聞いて、しばらく考え込んでいたウルシュ君が口を開く。


「まず、その疑問について考える前に、聞いておくべき事が有るんだけど、良いかなぁ?」


「はい。何でしょう。」


「その”ステータスチェック”は、どこで”誰”にして貰ったのかなぁ?」


誰に?

誰にって何だろう?

【ステータス】のチェックって、人にしてもらう様な事じゃないと思うんだけど。


「自分の部屋で、自分でしたけど・・・」


「うん。そんな感じだったよねぇ、さっきのイザベラの言い方だと。」


ん?何だ?何だと言うんだ?

私、なんか言っちゃ不味いような変な事いったかな?


「つまりイザベラは、自分の持っている能力の一覧を、”ステータス”と呼ばれる物を、”自分で”閲覧する事が出来るっていう事かなぁ?」


はい?

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

え?・・・・え?

何か、その言い方だと・・・・


「イザベラ・・・。それ、他の人に言わない方が良いよぉ。普通は出来ないから。」




すわっ!!誤字報告有難うございますっ!!毎回本当にありがたいですっ!!

本当に、皆様の協力でこの小説は成り立っています。感謝ですっ!

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