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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
チート転生と、ゲームの裏事情あれこれ。
15/145

閑話:公爵令嬢VS王国近衛騎士団・王国騎士団・冒険者達①

時間が少し戻ります。

「よお!お前ら話題になってんぞ。」


冒険者ギルドにて、常設依頼の一角ウサギ捕獲の仕事を終え

獲物の査定待ちをしている3人の冒険者に、顔見知りが声をかける。


「あぁ?話題ってなんだよ?」


3人の冒険者達は疲労感を滲ませ、汗だくで肩で息をしている。

まるで、町中を全力疾走して来た帰りの様だ。


「お前ら3人が、30分位前まで、メイドを担いだ5歳位の幼女を追いかけ回してたっていう、よく意味分かんねぇ話なんだがよぉ、何なんだソレ。」


5歳位の幼女が、大人のメイドを担ぎ上げている。っていう時点で眉唾ものなのに

更に”素早く動く獲物の捕獲に長けている”と有名な、素早い冒険者3人が追いかけ回す。とは何事なんだ。

しかも、その幼女は逃げ切ったらしい。


「あぁ、そうか。まぁそうだわな、目立つよな。俺達も途中で意地になってたのも有るんだけどよぉ・・・」


3人の冒険者達が言うには、こういう事だった。


依頼の獲物を捕獲して、ギルドに戻った所

ギルド前で酔った他の冒険者に絡まれ、入り口を塞がれて中に入れて貰えず、口論になっていると

どこかのメイドが、後ろを通り過ぎようとしたのだが、

その時に、男達が背負っていた一角ウサギに引っかかり、ウサギを引きずり落とすような形で転倒した。

その際、ウサギの角が石畳にぶつかり、欠けてしまったという。

3人の中で一番短気な男が、口論で気が立っていた事もあって激昂し、メイドを殴ろうとした瞬間

メイドの後方60Mほどに居た、そのメイドの主人。

話題に出ている”5歳位の幼女”から、凄まじい威圧を受けたらしい。


周囲に居た野次馬達も含めた冒険者達は、その威圧で身体がすくんで動けなくなり、当のメイドはその威圧で気絶した。

静まる空気の中、一瞬で60Mの距離を詰めて来たその幼女は、メイドと男達の間に入ると、豪華なドレスの内側から、”ミスリル製”のダガーによく似た武器を取り出すと、

”石畳”に、そっと、深々と突き刺した。

その後一方的に、何かを語られたが威圧された身では上手く理解できず、理解できたのは

この武器を、メイドが駄目にした一角ウサギの代わりとして置いていく、と言う事だ。


ミスリル製の武器は、大きくは無いが細工が細かく

さらに男達の見立てでは、何かしらの”魔術付与”がされているらしく

一角ウサギ500匹分を超えるだけの価値が有るらしい。


そんな物は受け取れないし、受け取ってしまうと後が恐ろしいと、返却しようとしたのだが、

その幼女は、メイドを楽々と横抱きにすると走り出した。

それがまた、恐ろしく速い。

ダガーを持って、返そうと追いかけるが、中々追いつけない。

3人で挟み込む事も試したが、急激な方向転換するわ、跳び越えるわ、フェイントは上手いわ。

最終的に追いかける目的が、ダガーを返す事では無く、捕まえてチームに勧誘する事に変わっていた。


最終的に諦める事になったのは

ロゼリアル王国のファフニールと呼ばれる、スネイブル商会の横やりが入った事だった。

ガルファシア大陸の要所要所に支店を構えるスネイブル商会は

冒険者ギルドに素材の収集依頼を大量にかけてくれる依頼主であり

冒険者の命綱と言っていい回復薬ポーションとマジックアイテムを取り扱う最大手である

”冒険者にとって一番不興を買うとマズイ商会”なのだ。


今回はそこの次男坊が自ら出て来たのには、腰を抜かした。

一目見て分かった。

外見こそは”婿養子に入った父親”によく似ているが、中身は”あの女”と同じアレだ。

敵に回すと、碌な事にならない。

なぜ、スネイブル商会が出て来たのかは分からないが、あの少女の勧誘は諦めた方が良いだろうと判断し、ギルドに戻って来た。

と、言う事だった。


「色々、ツッコミどころの多い話で、信じられねぇよ。」


「俺達も、未だに何が何だか良く分からねぇよ。」


今日は、そんな事件は有ったものの、もうあの少女と関わるような機会は中々来ないだろうと、誰しもが思っていた。

2時間後に王国近衛騎士団と騎士団達による合同の、大掛かりな公爵令嬢の大捜索が街中で開始されるまでは。






ロゼリアル王国、近衛騎士団団員寮。

近衛騎士団に所属する者達は、国中から騎士を目指して集まって来ている為

実家が遠く、寮に住む者が多い。

結婚すると街中に住居を移す者もいるが、日頃訓練に明け暮れている為に出会いが無く、婚期を逃す者が多い為、ほとんどの近衛騎士達はココに住んで居る。

直ぐ近くにある、騎士団の寮も似たような物だろう。

もはや、寮では無く、小さな町と化しているが。


14時頃、そこに小柄で、のんびりした性格が滲み出るような見た目の女性が、訊ねて来た。

近衛騎士団団長のご息女であり

近衛騎士団第一部隊隊長のダイモン・ザック・ロッテンシュタインの婚約者である。


こんな、むさ苦しい男達の集まりを訪ねて来るなんて、と慌てていると、

ご息女は、部隊長からの頼み事を伝えに来たらしい。

その頼み事と言うのが


「何でもダイモンの6歳になる妹君が、街中を家の人達から逃げ回っているらしいの。ダイモンも頑張って追いかけているのだけど・・・妹君は、すばしっこくて追いつけないらしいのよ。だから、非番の人達に手伝って貰えないだろうか?って。追いつけないから、出来れば”馬”も連れてきて欲しいんですって。」


「えっ?!6歳の女の子を追いかけるのに、馬、ですか?」


「そう。私も流石に、馬までは要らないんじゃないかって思うのだけど・・・。」


「いやぁ・・・流石にそれは冗談じゃ無いですかね?まぁ、幼い公爵令嬢が街中を1人って言うのは危険なので、すぐに保護する必要性はありますから、暇な奴らを集めて向かいますよ。どの辺りですか?」


そうして、まず、非番の近衛騎士団の8人が、駆けつける事になった。






──────────2時間後。


「騎馬部隊5名到着しましたっ!!」


「騎士団からも追加の応援20名到着していますっ!!」


「そろそろ日が傾き始めているっ!!日が落ちる前に完遂を目指すぞっ!!」


「「「「おうっ!!」」」」


「合流して来た者達に告げるっ!今回の任務はロッテンシュタイン家のご令嬢、イザベラ・アリー・ロッテンシュタイン嬢の捕獲っ!いやっ、”保護”だっ!!6歳児だと甘く見るなっ!現時点で、多くの近衛騎士と騎士達の包囲を掻い潜り、逃走を続けているっ!!現時点で得られている対象者の情報の報告をっ!!」


「はっ!報告します。現時点で把握できている対象者イザベラについてですが、現在、追尾を続けているライカンスロープ(獣人)部隊の猛追を振り切り、街中を逃走中。持久力・脚力が桁外れで、最低でも高さ2M、幅8Mを跳ぶ事が可能。視界に居る者に威圧を放ち、通常の馬は恐慌状態に陥る為、軍馬での追跡に切り替えられました。対象者の視界の直線上に入るのは危険だと判断します。」


「以上だっ!!後は各所に立っている報告係に聞くようにっ!新たな指示は報告係に伝えておくので、指示に従え。問題や報告すべき情報もそこで行うように!では各自任務に着けっ!!」


「「「「「はっ!!」」」」」






感想有難うございますっ!!

なんか、前話を気に入って下さった方多いですね。

一応、”異世界転生の恋愛カテゴリー”の筈なんですけどね(笑)

3人の冒険者達の事情は書くつもりでいたのですが、逃走中の騎士団や冒険者サイドも読みたいと言って下さる方がいらっしゃったので、逃走中についても書く事になりました。

そしたら、なんだか長くなりそう(笑)一応2話で納める予定です。


ぎゃあ!!またもや誤字ですよ!!誤字報告感謝です。助かります!!

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