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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
これ、本当に乙女ゲームか?
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急に何故?

※注意:今回イザベラが変態みたいです。

ウルシュ君の『着替えて欲しい』という希望は、私の『腹筋を隠したい』という希望にも一致するので、断る理由は何も無い。


そこで今日ここに着て来た服へと着替えたのだけど・・・何故かウルシュ君の表情が渋い。何故?

今朝は子連れのマリエタと、学院の敷地内に入る予定だったので、いざと言う時には彼女達の盾になれるように、物理耐性のあるワンピースを選んで着て来た。


それでもノーマルすら装飾過多なアバター服の中で、よりシンプルなデザインの物を選んできたつもりだ。動きやすい様に膝丈なのはいつもの通りだし、何もおかしなところはない。


そう、おかしなところは無いハズだ。

だけどウルシュ君の表情が気になり、自分の恰好を見下ろして確認してみる。うん、普通。


不思議に思ってウルシュ君を見上げると、ウルシュ君は私のワンピースをジッと見つめながら口を開いた。


「その服どうしたのぉ? イザベラはそんなデザインの服は作ってなかったし、持ってないはずだよねぇ」


「あ、コレはゲームウルシュ君から買ったガチャの服だよ」


私のドレスはスネイブル商会で作って貰っているので、ウルシュ君は私の所有しているドレスを全て把握している。

ただし、それは私がこの世界に来てから買って貰ったドレスだけだ。私の【クローゼット】に入っていたガチャアイテムの衣装を全部広げて見せたわけでは無いので、ウルシュ君がこのワンピースを知らなくても不思議では無い。


なるほどウルシュ君は私が、見慣れない、見覚えのないワンピースを着ているのが気になったのか。

そう納得して一人頷く私に、ウルシュ君が言い放つ。


「それも脱いで」


「なんでっ?! 」


どうしたウルシュ君!! いつもは私のファッションに注文付けた事なんて無かったのに、急にどうした。


「なんでも。とにかく前世でゲームウルシュから買った服以外の服に着替えてねぇ」


「え・・・。今、アイテム以外の衣装は持ってないよ」


実は【クローゼット】に入れた衣装は、自動的にクリーニングされる。

だから、持っている衣装を全部【クローゼット】に入れようとした事があるのだが、それはマリーちゃんやアンといったメイド達に止められたのだ。


なんでも『ドレスの洗濯や管理は我々の仕事でございます。その仕事を奪われては私達の存在意義が問われてしまいます』と言う事らしい。

仕事が減って良かったね、では済まないようなので、彼女達の言葉に甘えてアイテム以外のドレスは衣装部屋にて彼女達に管理して貰っている。


と、言う事で、今日の様にアイテム衣装を着て来た日は、アイテムでは無い普通の服を持っていないのだ。


私のその返答を聞いたウルシュ君は、しばらく考え込む。

そして、おもむろに着ていたツナギを脱ぎ始め・・・脱ぎ始めたっーーーー?!


「ちょ・・・ふっ! ふおっ!! ちょ・・・えっ? ウルシュ君?! 」


動揺する私の前でツナギを脱いだウルシュ君は、そのツナギを私に差し出した。

どうやらツナギの下にパジャマのズボンを穿いていた様だ。だがしかし上半身は裸。


ねぇ?! どっから突っ込めば良い?!

中に穿いてたパジャマのズボンに突っ込めば良い?!

それとも、実は筋肉質なその上半身に突っ込めば良い?!

童顔だし、戦闘職ではないウルシュ君のその上半身は意外だよっ?!


「どうしたのウルシュ君!! そのパジャマと筋肉っ!! 」


「ん~? 今朝、急に学科長がやって来てぇ、ゴーレム製作の手伝いにすぐ来てって駆り出されたからぁ、慌ててパジャマの上に作業用のツナギ着たんだよぉ。筋肉? は、大型の魔道具マジックアイテム造る時に重い物を抱えたりするからじゃないかなぁ? 」


そう説明しながらウルシュ君は私に、脱ぎたてホヤホヤのツナギを押し付けてくる。


なるほど、その筋肉は製造作業による労働で生み出された、実用的な筋肉なのだねウルシュ君。カッコいいよ。素敵。好き。

そう納得しながら、ウルシュ君が押し付けて来るツナギを受け取る。


はて? 受け取ったは良いが、この脱ぎたてホカホカのツナギはどうすれば良いんだ?


うーーん? えーと。まず、嗅ぐ。

うん。ウルシュ君の良い匂いがするね。安心できる優しい香りだ。ゴーレム製作で少し汗搔いたのかな? ほんのり汗の匂いが・・・


「イザベラ、何してるのぉ・・・」


声をかけられ我に返って顔を上げると、困惑した表情のウルシュ君がそこに居た。


「いや、どうして良いか分からなくて、まず嗅いでみようかと」


「・・・どうしてそうなったのか理解できないよぉ。話の流れ的に、そのツナギに着替える以外の選択肢は無かった筈だけどぉ・・・」


な・・・なん・・・だと・・・っ?!

こ、このツナギを・・・。ウルシュ君の脱ぎたてホヤホヤの、このツナギを身に付ける・・・?!


「そっ、そんな事したら、私はウルシュ君の香りと温もりに包まれちゃうじゃない!! 」 


「・・・一回【クローゼット】に入れなよぉ。そしたらクリーニングされて匂いも生暖かさも消えるからぁ」


ウルシュ君の発言に思わずツナギを強く抱きしめて、首を激しく横に振る。


「そ、そんなっ!! そんな酷い事、・・・私には出来ないよっ!! このツナギからウルシュ君の匂いと温もりを消し去るなんてっ・・・私には出来ない!! 」


「そんなに必死になる事じゃないと思うなぁ・・・」


「必死だよっ!! ウルシュ君の匂いと温もりの無いツナギなんて、ただのツナギだよっ!! 」


「実際、ただのツナギだよぉ・・・いいから着なよソレ」


ウルシュ君から何度もうながされ、揉めている間にツナギの温もりが冷めて来たのもあり、観念して着替える事にする。


まず、ワンピースの上からツナギを着こむ。そして着ていたワンピースを【クローゼット】に仕舞った。


「一度【クローゼット】にツナギを入れた方が、着替えも早かったんじゃないかなぁ」


「駄目だよウルシュ君。それじゃせっかくの手料理を水洗いしてから食べるくらい意味が無い」


「・・・そう。まぁ良いや。じゃあ、さっきの色気過剰な民族衣装を出してくれるぅ? 」


何故?


「ウルシュ君、まさかアレ着るつも・・・りな訳ないか。え~と、着る物が無いなら他の衣装探すけど・・・」


たしか男装ガチャの残りが有ったはず。

そう考えて提案すると、ウルシュ君の笑顔が黒く怖くなった。


「着ないよぉ? そうじゃ無くてぇ、あんなアイテム持ってたらイザベラはまた同じような状況になればアレを着るでしょ? 」


まぁ、他に燃えないような炎耐性の強い衣装を持ってないから、似た状況なら着るしかないよね。

黙って頷くと、ウルシュ君は続ける。


「僕は独占欲や所有欲が強いんだよぉ? 知ってるでしょ? 他の人に僕のイザベラをそんなにさらけ出したら駄目だよぉ。だって僕のなんだから。イザベラは全部僕の・・・。だから、ね? 」


そう言ってウルシュ君が私に片手を出すので、素直にその手にビキニの様なサンバの衣装を渡す。


そうさっ!! 渡すよっ!! 例えゲームウルシュ君がくれた真レア衣装であっても渡すよっ!!

だってウルシュ君がヤキモチ焼いてるんだもん!!

他の人に、見せたくないってヤキモチ焼いているんだもん!! 渡すさっ!!


素直に衣装を渡した私に、満足そうにうなずいたウルシュ君は更に言う。


「それと、もうゲームウルシュ(前の男)が創った衣装は着たら駄目だよぉ? 」


うん。それは構わないけど・・・。


「今までは良かったのに、急に何故? 」


子供の頃は、ウルシュ君だって身に付けていたはず、急にどうした?


「これまでは、イザベラの言う『ゲームウルシュ』は僕のようで僕じゃ無い僕だとして、僕とは別人だと思いつつも、心のどこかで『未来の僕』だと言う意識が有ったんだろうねぇ」


そこまで言うとウルシュ君は言葉を止め、少し考える素振りを見せたあと、再び言葉を続ける。


「でも僕は彼の歳に追いついたよぉ。イザベラが知っている『別の世界のウルシュ』と同い年に成った今は、彼と僕は確実に別の男なんだぁ。だから他の男が創った服なんて着ないでイザベラ。イザベラが必要とするなら、それは僕が創る」


そう言ってウルシュ君は衣装を、手の平の上で《解体》《分解》して焼却した。特殊な炎でも燃えなかった衣装は塵も残らず、ウルシュ君の手によって一瞬で燃え尽きた。


「これからはイザベラを護る服は僕が創る。『別の世界のウルシュ』が不特定多数の誰かの為に創った服じゃ無くて、この『僕』がイザベラの為に、イザベラの為だけ(・・)に創った物を身に付けてくれないかなぁ」


そう言ってウルシュ君は、困ったような表情で笑った。


炎を回収できないの? と言う質問を頂いたので。

《暴食》は魔術であれば回収できます

①ファイヤーボール → 回収できます。

②ファイヤーボールによって起きた火災 → 回収できません。

今回の原因はファイヤーボールでは無いですが、現象としては②にあたるので回収出来ませんでした。

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