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モンスターフィッシュ  作者: 鯣 肴
第一部 第四章 船長の覚悟と新たなる目標
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第三十九話 墓標

「よう、相棒。今日は報告があって来たぜ。」


 船長はそれに向かって話しかける。少々の雲があるが晴れた空模様。昼下がりのことである。

 寂しく吹く風の音。その場所は、本拠地のある島の北端である。海面からそらなりの高さがある、広い三角状の崖。先端へ向かって高くなっている緩やかな斜面になっており、地面は赤みがかっている。崖下には岩場が全くないため、崖の先端からは迫ってきて打ち付ける波がよく見える。


 その先端付近にある一つの墓。手を合わせて祈る船長。


「おっさん、俺もええか。」


 少し離れたところからその様子を見ていた少年は、船長の横に立つと、自身も祈りを捧げた。その縦長の直方体の黒い墓石には、名前が刻まれていない。代わりにそこには、青い一本の線。エメラルドブルーの線。それが斜めに右上から左下へと引かれている。


「……ボウズ。お察しの通り、これは俺の相棒の墓だ。もちろん死体なんて残っていないが、せめて形だけでもと思ってな。」


「名前を書いていないのはな、こいつは記憶喪失だったからさ。昔、遠く北の方へ行ったときによ、とある無人島で休んでいたらさ、こいつが漂着してたんだ。」


「こいつの本当の名前は分からねえ。だから、代わりに、これがこいつの墓だと示すために、トレードマークだったエメラルドブルーの髪の毛をイメージした線を刻んだんだ。」


「こいつと出会ってから、別れるまで。本当に楽しかった。ちょっと長い昔話になるが聞いてくれるか。」


 悲しそうな笑顔を浮かべる船長。少年は無言で頷いた。

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