時の流れはただ無慈悲で
掲載日:2015/03/27
見送った背中に悲哀が募る。
まだ線の細さが残る、でも自分よりも大きな背中。
死地にむかうと知りながら、胸を張って歩いていくその姿に、言葉にならない願いが心の中で強く叫ぶ。
生きていて
はためく上着の動きさえ目の裏から消えないのに、
声が 笑顔がきえていく
『君を守るために、行って参ります』
どうか無事でなんて、言える言葉ではなくて。
『どうか、ご武運を…』
堪えられない涙に、貴方が手をのばして、私を腕のなかへと誘う。
初めて触れた貴方の体に、涙がぽろぽろとこぼれた。
『もしも戻れたら、一緒に花を見に行きましょう』
しっかりと手をつないで。
そう囁いてくれた貴方の言葉に何度も頷いた。
なのに、戦火が去っていく年もたつのに貴方の消息は分からないままで。
『もし、帰れなくても、僕の分まで前を向いて、笑って生きてください』
僕は君の笑顔のためにいくのだから
言葉だけのこして、そのぬくもりも優しさも、遠のいてしまう。
きっといつかどこかでまた会えると信じて、ただ私は生きていこう。
貴方の言葉を胸に




