プロローグ
アラサー
そんな言葉がそろそろ痛感する28歳
後少しで、29歳になる……
なのに今私は……最悪な状況に立たされている
大学の頃から付き合ってた彼が、他の女とホテルから出る所を見てしまうなんて……
「結婚しよう」とか
「早く子供欲しいな」とか
アレは何だったんだろ……
固まって動けない私を見た彼は逃げるように去って行った。
彼の背中を見ながら、力が抜け座り込む。
気持ちがごっちゃになって、怒ってるのか……悲しいのか……良く分からない。
人の目が痛い……
場所を変えなきゃ……
そう思い、フラフラと歩き出した
数分歩くと公園があったのでそこのベンチに座る事にした。
よっぽど今日は運が悪いらしい
外灯の明かりが消えた。電球が切れたらしい……
「もういや……」
そう呟く以外言葉が出てこない
涙が溢れてくる
彼との思い出が嫌でも蘇る……
今すぐ忘れたい……
もう嫌だ……
その時、足音が聞こえた
ハッと我に返る
「大丈夫ですか?」
声に驚く私にその人はタオルを差してきた
「り、理由はわかんないけどさ……お姉さん綺麗なんだから……泣くなよ……」
見上げると月明かりでその声の人のシルエットだけ
私より身長が高くて……
って……私が顔見えてないだけで月明かりでボロボロのメイク見られてる(゜д゜lll)
彼が差し出したタオルで涙を拭いた
「ありがとう……」
情けない事にお礼しか言えない
すると彼が笑ったような気がした。
「タオル今度返してね」
そう言うと彼は去っていった。
えっ……今度って何処のどなたかも分からないのにどう返せと(;´Д`)
と、とにかく……もう帰らなきゃ……
まだ辛い……けど、謎の彼が少しだけ心に残った。