第1日目
書店勤務の社会人1年生浜中潤 自分がこの仕事をしたいのかまだ解らない 嫌なことも起きる
やりたいこと それを 探すのか?
明かりが 漏れている ドアを開けてみた
ドアの向こうは 外ではなく 部屋になっていた
色々なものが置かれている どうやら 物置になっている様だ
僕が 引き返そうとすると
「今日もありがとうございます 駅やその周辺 今は異常無しです」と声がした
僕は 驚き 声の主を探したが 見つからず 辺りを見回していると
茶色いウサギが目の前に現れ
「あれ? いつもの駅員さんじゃない!!」と 喋った
僕は びっくりして
「ウサギが 喋った!!」と 言うと 今度は 奥の机の上から
「アリッシュ君 駅員さんが来るの まだ早いで それにこの人 鉄道会社の人違うで」と キジトラの猫が 話してきた
僕は 思わず
「猫が喋ってる!!」と言ってしまった もう何が何だか解らない
すると ウサギのアリッシュ君は
「じゃあ この人何ですか? もしかして 勝手に入ってきたとか!!」 と言い 少し後ろに下がった 今度はキジトラ猫が
「そうとしか考えられへんけど あんた この場所よく解ったなー」と言った
僕は 何が何だか解らないまま
「ホームに居たら 茶色いのが見えたので 来てしまいました」と言った アリッシュ君は 少し考えて
「さっき 僕がホームに深呼吸をしに行った時 あなた あのホームに居たんですか?」と言い「普通あの時間 誰もあのホームに居ませんよ あなた 変わり者ですね!」と言った
僕は ウサギに変わり者呼ばわりされた そして キジトラ猫は
「アリッシュ君 深呼吸っていつもホームの端でしてるやろ それが見えるんは あんた相当 目良いな」と 猫には褒められた
すると キジトラ猫が急いだ口調で
「あんた そこのソファーの後ろに隠れとき 早く」と言ったので 僕はそこにあった 大きめのソファーの後ろに 身を潜めた
すると ドアが開いて人が 入ってきた
「元気ですか?今日も異常は無いですか?」と その男の人が言うと キジトラ猫は
「今日も異常なし ですわ こうやって平和な日が続いてくれたら ええんやけど」と言った そして「アリッシュ君も 異常なしやろ」と キジトラ猫は付け加えた すると 男の人は
「では 食料ここに置いときますので トイレも 綺麗に使って貰って 嬉しいです 水もOKですね」と確認をして 出て行った
キジトラ猫は
「もう 出てきてもええでー」と僕に呼びかけた
僕が 立ち上がると アリッシュ君はキジトラ猫に
「駅員さんに この人のこと 報告しなくて良いんですか」と言った キジトラ猫は
「報告せな あかんのかも知れへんけど この人悪人やない様やし 今問題にすることも あれへんやろ」と言った アリッシュ君も
「そうですね この人地味やけど 悪人の臭いはしませんね」と言った 又ウサギに地味な人と言われてしまった
キジトラ猫が 僕に
「あんた今からどないするんや?」と聞いてきた 僕は
「今から 帰ります」と言った すると キジトラ猫は
「終電もう出たで」と言った 時計を見ると 終電の時刻は 過ぎていた
僕は どうしようかと思っていると キジトラ猫は
「ここに 泊まって行き」と言った 僕は ここ?と思っていると キジトラ猫は
「ソファーもあるし その後ろに ジュウタンも丸めてあるし なんか毛布もそこに置かれてる 水も出るようになってる その横トイレや 綺麗に使うてや」と言った
僕は 言われるまま 流しやトイレの方に行って見た するとキジトラ猫が
「ここ 下の店の厨房となんかの部屋にするみたいやってんけど トイレと流し作った時点で 店の親会社が経営不振になって そのまま店無くなったんやて」と説明してくれた
僕は
「では 今日は ここに泊まらせて頂きます」と言った 毛布を出し ソファーの上に横になろうとすると キジトラ猫が
「あんた 歯磨いたか?」と聞いてきた 僕は
「いいえ」と言うと キジトラ猫は
「あかん! 歯ブラシ持ってるか? 持ってるんやったら 歯磨きしとき それとトイレも行っとき」と言ってきた
僕は 素直に それに従った そしてキジトラ猫は
「お休み」と言って 机の上で付けっぱなしになっていた 電気スタンドのスイッチを足でふんで 明かりを消した
翌朝 携帯のアラームが鳴った よく眠れた
通機窓の換気扇を通して わずかに光が入ってきており 今が朝だということがわかった
そして 自分が一瞬 何処にいてるのか 解らなくなりかけていたが 昨日の晩のことを思い出した
横になっている僕の顔に 何か毛の塊がじゃれ付いてる? 何かと思ってよく見ると ネズミ?えーー!!
と思っていると キジトラ猫が 電気スタンドの明かりをつけながら
「おはよう」と挨拶してきた それで 僕に向かって
「そのハムスターの ハムタもここで暮らしてるねん」と言った そして キジトラ猫は
「そうや わしの名前言ってなかったなー」と言った 僕は
「はー」と 小声で答えると キジトラ猫は
「実はな 名前はまだ無い やねん」と まるで 夏目漱石の小説の書き出し様なことを話した そして
「皆からは 部長とか言われてる」と言った
僕は(何か 偉そうですやん)と思った
そして 部長は 僕に向かって
「昨日風呂は入ったんか?」と聞いてきた 僕は
「いいえ」と答えると 部長は
「あかんで 風呂はきちんと入らんと 仕事まで時間は有るか?」と聞いてきた 僕は
「はい 今日は朝9時に 仕事場に行けば良いので ここから仕事場まで 10分もかかりませんので 時間は 有ります」と 部長は
「タオルとか お風呂に入れるの持ってるか?」と言ってきた 僕は
「本当は昨日 家の近くのフィットネスクラブに行く予定だったので タオルや下着 シャンプーまで持ってます」と言った 部長は
「優秀 優秀! 今から風呂入って 綺麗にして 仕事に行ったらええで! 昨日の汚れ綺麗にして 今日も気分一新っちゅう感じで 仕事が出来たら良い それから 朝ごはんもちゃんと食べたら 8時30分には 仕事場に行けるやろ」と言った 僕は
「9時からなので そんなに早く行かなくても良いですよ」と言うと 部長は
「あかん!! 早めに行ってみ! 何かええこと あるかもしれへんで!」と言った そして「この近くで 朝7時からやってる銭湯有るから 行こか」と行って 僕のリュックに入ってきた 僕は(えー!!)と思っていると 部長は
「案内したるさかい 連れて行って」と言った そして「わしも 風呂で綺麗に洗うてな」と言った
僕は 部長をリュックに入れたまま ホームに続く階段を 上っていった ホームでは目立たないようにすばやく動いた 僕がよっぽど地味なのか その様子を気に留める人もいなかった
そして 改札を出て 銭湯に行く途中 部長は リュックの中から
「あのなー シャンプーなノンシリコンの やつにしてくれへんかな?」と言ってきたが 僕は無視をした