6-1
『この世界には三種類の役目がある。幸せを呼ぶ天使と、不幸を招く死神と、そして――私のような灰色の存在。
前の者たちは、ある時から羽根を見つけ、自分の役目を自覚する。
幸せを呼ぶ天使は、慈悲深い心で、報われようと苦心する人に白い羽根をつける。されど、自身の羽根を見る事はあたわず。
不幸を招く死神は、心を押し殺し、幸福に命を縮める白い羽根を黒く染め上げる。されど、自身の羽根を見る事はあたわず。
彼らは自分の役目の結末を知りながら、それを放棄する事は出来ず、いつか傷つく。
ならば、私に何が出来るであろうか。
私に出来る事は、ただ羽根を見ることだけ。
天使が自身の慈悲が裏返るのを苦しむも、死神が自身の手で人を貶めること悼むも、私は見ることしか出来ない。半分しかかの者らの心を分かち合えない。
だから苦しい。目の前で、誰に言うことも出来ない業を抱える人たちに、私は無力だ。
私は――どこまでいっても中途半端だ。伸ばした手は、虚しく空を切る。
せめて私が出会ったかの者たちが、一時でも恍惚と笑っていてほしいと願う』
そう記した人がいた。
対して私の周囲には、お節介なほどの友人たちがいて。私が中心にいるんだと、責任だけは丸投げ。ほんとは私なんか、過去にびくびくと怯えているだけだというのに、不器用な優しさというやつを期待してくる。
けど、だからこそ。私はその作者のように愕然としていられない。
私は見えてしまったものを守りたいと、手を伸ばしたのだから。
それは紛れもない私の想い。