入学式当日
ジャックは入学式当日を迎えた。学校へ行くと、多くの人が門の中へ、そしてその奥へと歩みを進めていた。その先に、魔法学園がある。俺は門を通り、森の道を進んでいく。10分くらい進むと、学校に着いた。
学校は巨大な城で、新入生はよく迷うらしい。あたりを見ると、新入生がいっぱいいた。ただ、何かおかしい。そうだ、制服を着ている。ジャックは制服を来ていなかった。回れ右して帰ろうと思ったが、よく見ると制服でない者も何人か居た。
後で聞いた話によると、新入生には特待生とそうでない者がおり、特待生は制服を支給されるらしい。しかし、そういった学校支給の用具のすべては寮の自室に届けられるため、入学式の時点では制服の者とそうでない者がいるらしかった。
新入生の流れに沿っていくと、そこはトイレだった。そこではそのままものどるもの、せっかく来てしまったのだからと用を済ませるものが居た。
俺は列に並ぶ気にはなれず、普通に帰っている人を追った。すると今度は、ステージのある細長い場所に来た。左右にはガラス張りがあった。椅子が縦横にたくさん並べられており、そこへ座るということになっていた。
右側のガラス張りからアーチ状そのままの形で光の像が伸びてきていて、それが6つほど縦に並んでいた。
俺は一つの席に着くと、待った。
とはいっても、待ったのは10分くらいだった。
やがて、まだ生徒が入ってきている合間に入学式が始まった。
「これより、アース王国国立魔法学園入学式を始める」
入学式は開式の辞・国家・校歌斉唱・学校長の式辞と続いていった。代表挨拶の時、俺は驚いた。
「みなさん、はじめまして。」
「今年アース王国国立魔法学園に入学しました、エマ・メリスです。」
なんとエマが代表挨拶をしていたのだ。
確かに、エマなら首席でもおかしくはないと思ったが、まさかこのアース王国国立魔法学園の首席が、エマだったなんて。
そう考えると、大事な日の前に俺は迷惑をかけてしまったのだろうか。
ジャックはそんなことを考え始めていたが、エマの言葉にどんどん引き込まれていった。
彼女の言葉は、用意したものではあったかもしれないが、作られた言葉では決してなく、すべて、その場その場で思ったことを述べているかのようだった。
新入生の呼名を終え、閉式の辞を行ったあと、ジャックたちは寮に案内された。
寮は城の中だった。入り組みすぎて迷子になりそうな道を十分ほど行くと、ついにたどりついた。
同じ区画の者が先輩に案内される形だった。
城の中で、自分の部屋を見つけると、みんな嬉しそうだった。この区画は私服、つまり特待生が多く、城で寝泊まりする経験が全くなかったのだろう。ジャックも驚いた。
部屋は相部屋で、俺のルームメイトはヘンリーという少年だった。
彼は部屋につくと、窓の外を見たり、室内を観察したりしていた。けれど、こちらには話しかけてこず、俺もなかなかその勇気が出なかった。
しかし、ふとした瞬間に。
「あの、俺ヘンリーって言います。これからよろしくお願いします。」
と、声をかけてきた。
俺も、ちょっと間を置いて返した。
「おれはジャック。これからよろしく。」
なんとなく気まずくなりかけたので、俺はすぐ質問した。
「どこからきたの?」
「僕はクエノ村出身だ。」
「へー。」
聞いておきながら、全く場所がわからない。次は何を話そうかと考えていると、彼は流れるように本を読み始めた。
初めは何か引用でもするのかと思い、しばらく待ったが、普通に読んでいるようだった。
そういえば、ここには制服や教科書が置かれている。これは勝手に使っていいものなのだろうか…。
ちょっと隣の部屋の人に聞いてみよう。
ジャック 「こんにちは」
隣人 「こんにちは」
ジャック 「えーっと、これからよろしくお願いします。」
隣人A 「いえ、こちらこそ」
隣人B 「いえ、こちらこそ」
二人は制服を着ていた。ということは、着ていいんだろう。
俺は制服に着替えて、机の上に置かれた用具を適当にしまった。
その中の一つに、「新入生心得」というものがあった。
しかし、特待入学生に関する枠はなく、城の構造やらルールやらを説明していてとても長く、ジャックには読めなかった。




