1/17
旅立ち
俺は魔法学園に所属することになった。
田舎で魔法の実験を繰り返していた俺だが、ついに十六歳になり、国立の魔法学園から招待状が届いた。内容をまとめると、春の入学試験の招待状であり、実技試験の結果によっては特待入学ができるとのことだった。
俺には家族も知人もいない。すなわち、この誘いを断る理由など、俺にはなかった。
「ここともしばらくお別れだな。」
俺はそう言って家を出た。
魔法の研究でさまざまな薬剤を集めたり、実験場としていた森を出て、平原まできた。
広い。そこはとても広い広い平原だった。風が髪をなで、生い茂る草のにおいがした。遠くに一本の木が見えたので、その木まで歩いて行くことにした。途中、スライムを何匹か倒したが、無事、木にたどり着くことができた。
木陰がひらひらと形を変えていた。ジャックは水筒を取り出し、水を飲むと、また進み始めた。