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もう終わりにしましょう‥‥さようなら‥‥私は父に決められた相手と結婚します

人の幸せを壊して楽しんでたら自分の輝かしい未来が破滅しました  [お嬢様目線]もう終わりにしましょう‥‥さようなら‥‥私は父に決められた相手と結婚します

作者: 村則

以前短編で投稿したお嬢様目線です



4/21誤字報告ありがとうございますm(_ _)m

沢山修正していただきありがとうございました。

 わたくしには素敵な婚約者がいる。幼い頃から交流があった公爵令息ジルベール様との婚約。婚約が決まり家族皆で喜びました。特にお父様が、

『はははっ!アンバーのおかげで公爵家と深い縁が出来た。さすが我が愛しの娘だ!アンバーは優しい心根の持ち主だから、きっと公爵様から縁談が来ると思っていた!はははっ!これで我が伯爵家も安泰だ!』

 と、喜んでおりました。当時のわたくしは不安でしたが、ジルベール様と生涯一緒になると思うと不安なんて吹っ飛んでしまいましたわ!ジルベール様はいつも優しく、わたくしをお姫様みたいに扱ってくれました。でも、そんな幸せは長く続きませんでした。ジルベール様は次期公爵になるべく厳しい教育を受け、最近会う頻度が減ってしまった。でも、わたくしが学園を卒業したら結婚できると我慢していたのに……なんで、結婚まであと少しなのに……なんで……ジルベール様は……わたくしに……



「もう終わりにしよう……婚約破棄だ」


そんな酷い言葉をどうしてわたくしに……


 この時のわたくしは何故そのようなことを言うのがわからなかった。でも、彼から一枚の写真を見せられ、その理由がわかった……どうしてその写真があるの!あの男と口付けした写真が……



◆◆◆


破滅前のアンバー視点。



 わたくしは伯爵家の長女アンバー。わたくしの婚約者ジルベール様は容姿端麗で皆の憧れの的。そんな方がわたくしを選んでくれました。わたくしは元々引っ込み思案でしたが、ジルベール様と婚約したことによって自信が持てるようになりましたの。地味だったわたくしはジルベール様の隣に立てるように、王都で流行ってる物を身につけ、慣れない化粧をしてもらい、周りの令嬢から一目置かれるようになりました。自分を姿見で見てもうっとりするくらい可愛くなりましたの。それで気を良くし優越感を抱いておりましたらジルベール様を狙っていた令嬢達はわたくしに婚約解消をしろって、上から目線で言われましたので、ジルベール様にその事を伝えたら、次の日から令嬢達は学園に来なくなりましたわ!ふふっ、次期公爵夫人になるわたくしに楯突くんですもの。この噂が広がり、わたくしを軽んじる者は現れなくなりましたわ。それから女帝と皆に恐れられています。いい気分です!


 それからわたくしとジルベール様と逢瀬を重ね、学園を卒業すると同時に結婚式をあげる予定です。なのに……最近ジルベール様が忙しくわたくしに会う頻度が減ってしまったのです。今日だって、わざわざわたくしが公爵邸に顔を出したのに、ジルベール様の侍従に忙しいの一点張りで会わせてくれませんでした。ジルベール様が次期公爵になるべく忙しいのはわかりますが!少しぐらい会ってもいいじゃない!あーっ!ムシャクシャするわ!


 こんな時は甘いケーキを食べるのが一番だわ!と、考えわたくしはあの従者に王都で流行っているカフェへ向かうよう命令した。


 カフェには新作のケーキが沢山並んでいた!何にしようか悩んでいると、今一番聞きたくない、幸せそうなカップルの声が聞こえて来た。わたくしはケーキから目線を外し、カップルを睨み付けながら二人の会話を聞いた。


「今日もメリッサは可愛いよ」


「ふふっ、ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」


「俺の本心だけどね。おっ!ほっぺにクリームが付いてるぞ!おっちょこちょいだな」

「えっ!やだ、恥ずかし……」

 男が女のほっぺに付いているクリームを指で取った。ペロリ!

「メリッサに付いてたクリームはおいしな」


「ちょ、ちょっと、人に見られちゃうじゃない!」


「ごめんごめん」


 この二人を見ていたわたくしは鳥肌を立て心の中で吐いた。


『おぇーーっ!』


 何!?あの甘〜い空間!腹立つわね!何がメリッサが可愛いよ!バッカじゃない!あの二人のせいでケーキ食べる気が無くなったわ……あら?あの男どこかで見たことあるような?……あっ!?確かわたくしの家で下働きしてる庭師だわ!……ふふふ、いいこと思いついた!あの甘々の幸せをわたくしの手で破滅させれば楽しそうね!ジルベール様が忙しくて会ってくれないから、いい暇つぶしになるわ!

 お前達!今だけ、幸せを噛み締めてるがいいわ。明日からお前達の運命が変わるんだからね。



 こうしてお嬢様ことアンバーのおもちゃが出来た瞬間だった。それと同時に自分の破滅が始まった。この時のアンバーは知る由もなかった。




◆◆◆


そして次の日……



「あなた、もし良かったらわたくしの執事にならない?庭師より給金高いわよ!嫌なら断ってもいいけどね」

 わたくしは昨日幸せそうにしていた男に庭師から執事見習いにならないかと誘った。


「全然イヤではありません!俺執事になりたいです!」

 

 渋ると思ったが即答した。なんだか肩透かしの気分ね。侍女からの情報だと、直に庭師見習いなら抜け出せると聞いていた。そんな簡単に諦められるものなのかしら?と不思議に思っていた。


 それから男はわたくしの執事見習いになった。庭師を辞めたことにまったく未練がないようだ。ふふっ、馬鹿な男ね。これから職も彼女も失うことになるのに。





 ◆◆◆



あれから十一ヶ月……



『…はい!……はい!……わかりました!……今すぐ駆けつけます』


 男は休みなのに彼女との久しぶりのデートを取りやめわたくしの元に来る。男に休みをたまに与えてもすぐに呼び出す。あの女の幸せを壊す為に。明日あの女は20歳になる。20歳までに結婚相手を自分で決めれないと親の決めた相手と結婚するらしい。全て男から聞いた。わたくしが聞けば、犬のように尻尾を振りながら、何でも話してくれた馬鹿な男。

 魔道具通信をし終わってからすぐに男は息を切らしながら、わたくしの元に来た。


「はぁ、はぁ、はぁ」



「遅いわよ!わたくしが呼んだら5分以内に来なさい!じゃなきゃ、わたくしの専属執事にしないわよ!」

 と可愛くプンプンしながら怒った振りをした。これをやると、この男が何故か喜ぶ……気持ち悪い。


「これからは、お待たせしないように致しますので専属執事にしてください」

 男が頭を下げた。


「ははっ!冗談よ、冗談。もう!本気にしないでよね」

 ふふっ、お前みたいな男がわたくしの専属にするわけないでしょ!わたくしの専属執事にするとしたら……

 ガチャ!扉が開いた。



「お嬢様、どうぞ」

 と桜柄の印刷された封筒を渡した。渡したのは、もう一人の見習い執事。わたくしのお気に入りの執事見習いですわ。歳は20歳で知的で、何でも卒無くこなす。家の者からも評判良い。わたくしはこの執事見習いを連れていくつもり。だって、わたくしの欲しい情報を何も言わなくても持って来てくれるんですもの。

 渡された封筒から手紙を取り出し読んだ。ふふっ、思った通り、わたくしの欲しい情報でしたわ!


 あの女が焦って逆プロポーズするみたいね!……いいこと考えたわ!さてと、それを実行するために、この馬鹿な男を利用しようかしら。



「ふ〜ん……おもしろくなってるわね。あなた、今日の建国祭にわたくしを連れていってくださらない。」


「はい、私でよければ」


 馬鹿面して喜んでるわ!


「ねぇ、お忍びで行くんだからわたくしの彼氏として特別な場所に連れて行ってね。あと、敬語は禁止!わかった?」


「はい!わかりました!お嬢様には良く花火が見える場所にお連れ致します」


「ふふっ、楽しみだわ……あなたのぜつ……」

 男は最後の言葉を聞き取れなかった。


 アンバーの言った言葉はこうだ。

 『ふふっ楽しみだわ。あなたの絶望が見れるだから……まずはあの女の絶望する瞬間を見に行きましょう』


◆◆◆


夕刻、噴水広場の前にて……





 周りは真っ暗になり、花火もポツポツと打ち上げられ、そろそろ終わりが近づいてきた。


「もう、花火は終わりか!」

 男に噴水広場まで連れて来られた。ここが二人の特別な場所なんだろう。 

 周りを見てもお目当ての人物がいなかった!その八つ当たりを男にした。

「えっ!わたくし楽しみにしてましたのに。あなたが遅いから終わっちゃったじゃない」

 と、文句を言った後、側の茂みからガサガサと音が聞こえた。


 バァン!バァン!花火の光で、その正体がわかった!お目当てのあの女だと。まだ帰ってなく安心したわ。と、横目で茂みに隠れた女を見ていると再び花火が打ち上がった。バァン!バァン!


「おっ!特大の花火が上がったぞ!」

 今はそれどころじゃないわ!あの女がこっちを見てるんだから!でも花火は綺麗ね!


「わぁー、綺麗!」


「そうだな。でも君の方が綺麗だ」


「もう!恥ずかしいじゃない、あなたの彼女に悪いわ」

 

 と言いながら男に密着した。誰がどう見ても恋人に見えるように。

 あの女の顔がみるみる内に暗くなっていくのがわかった。

「そんなの気にしないで大丈夫だ。実際君の方が綺麗だし可愛いしな。アイツは田舎臭くて綺麗じゃないし可愛くない」


「ふふっ、ありがとう。あなたに言われてすごく嬉しいわ。でも、彼女のこと悪く言って大丈夫?わたくし心配だわ。もしこの場で彼女に聞かれてたら大変じゃない」


「今頃、仕事してるから鉢合わせはないさ。だから安心してくださいませ」

 側にいるとも知らずに馬鹿な男。


「もう!敬語なしってさっき言ったでしょ!元通りになってるわよ」


「おお、ごめん。つい……」

 嫌だけど、わたくしはこの男にキスをした。もっとあの女の絶望した顔が見たくて。

 

 バァン!バァン!花火が上がり、周りが明るくなった。

 

『ふふっ、もう少しキスしていればあの女の心が壊れそうね』

 わたくしはあの女に見せつけるように口付けを続けた。

 あの女はそれを見続けることが出来なくなり、この場から去った。


『オッホホ!最高!あの女の顔、いまにも泣き出しそうだったわ!

ふふっ、目の前で自分の彼氏が取られるの、どんな気持ち?うん?どんな気持ちって本人に今すぐに聞きたいわ!もうあの女はこの男とは絶対に結ばれない。ふふっ、やっと、わたくしの手であの女の幸せを壊してやったわ!次はこの男ね』


今幸せの絶頂を味わってるこの男を……。










 カシャ!茂みの中から何かの音が聞こえたように感じたが気にせず口付けを続けた。



◆◆◆


3日後……


 あの男が門兵に止められた。もう用済みのため、アンバーが事前に命令していたのだ。




「おい離せ!私はお嬢様の専属執事だぞ!」 


「お前はここから入れない。お嬢様の命令だ!」

 門兵は有無を言わさず男を止めた。


「そんなわけないだろ!俺はお嬢様と……」


 次の言葉を発しようとしたらアンバーとお気に入りの見習い執事が門の前にやってきた。


「煩い虫がいるようね。早く捨てて来てちょうだい」

 


「お嬢様!?私が……煩い虫……」

 男が衝撃を受けているようだ。

「そうよ!もうあなたに用はなくなったの」


「へっ?用……」


「あなたいい顔してるわ!あの女の顔の次だけどね。だから、あなたに用がなくなったの。じゃあね!もうわたくしの前に現れないでくれるかしら。もし、わたくしの前に現れたら命の補償はありませんわよ」


「はい!?どうして……そ、そんな……私はお嬢様のことを……」

 

「気持ち悪……でも我慢した甲斐があったわ。最高な暇つぶしありがとね!最後にあなたの絶望した顔見られたし。さぁ、早く私の前から消して」

 と、門兵に命令した。もう、お嬢様のお遊びが終わったようだ。


「うぎゃぁ!」


 門兵に掴まれ投げ飛ばされた。受け身も出来ず、体を打ちつけた。


「ガハァ!ごほごほっ……」

 そして門兵に腹を蹴られのだ。


『いい気味ね!もうお前は終わりよ』

 アンバーは、もう十分楽しんだと踵を返し屋敷に戻った


◆◆◆


「おっほほほっ!!」

 あの男とあの女の絶望した顔を思い出し笑っていた。自分の手で二人の幸せを壊したことに快感を得ているのだ。

 だが、そんな楽しい時間が終わりを迎えた。侍女から渡された手紙によって。


「あら!ジルベール様からだわ!」

 急いで封を破り、堅苦しい文字で埋め尽くされていた文を呼んだが。要約すると『別れ』の手紙だった。

 うん?寝耳に水で彼女が驚いている。

 その真意を確かめるべく、すぐに公爵邸へ向かった!何故かお気に入りの執事見習いがいない。でも、今はそれどころではない!早く確かめなければ……きっとジルベールのイタズラで私の気を引くためにこの手紙を送ったと前向きに捉えるようにした。あと少しで結婚なんだから別れるなんてありえないと。


『きっと冗談よね!わたくしを驚かせるなんて許さないんだから!ふふっ、新作のドレスとジュエリーを買って貰いましょう。そしたら許してあげてもいいわ!』


 この時の彼女は楽観的に考えていた。そうしないと不安で押し潰されそうになってしまう。


 公爵邸に着くとジルベールの侍従に応接間へ通された。そこには既にジルベールが待っていた。



「ふふっ、ジルベール様!……うっ」


 いつもと変わらない婚約者を見て抱きつこうとしたが、ジルベールの侍従に止められた。


「何で邪魔するのよ!たかが侍従のくせに!わたくしに触らないでっ!」


 平手打ちしようとしたが空振りに終わった。


 そんな様子を見ていたジルベールが長い溜息を吐いた。


「はぁーっ……君は変わってしまったようだね。取り敢えずそこに座りなさい」

 彼女に失望し、何かを諦めた様だった。


「怖い顔してどうしたんです?」


 何だか彼の様子がおかしいのに気づいた。これは只事ではないと……。


「…………」


 彼は、沈黙し唐突に話し出した。



「もう終わりにしよう……婚約破棄だ」


「……はい?急にどうしたんです?わたくしを揶揄わないでくださる!そもそも、婚約破棄する理由ないじゃないですか!」


 意味が全くわからなかった。何で婚約破棄されないといけないのかと。



「理由も証拠もある……君は私と婚約しているのに執事見習いと不貞を働いていたね」


「していません」


「……君はシラを切るんだね。これを見ても同じ事言えるかな」


 彼の侍従から一枚の写真を渡された。そこに写っていたのは、


「……あ……ああ」

 二人が熱い口付けをしている写真だった……執事と彼女の!ジルベール様にバレていたの!何でこんな物があるの……もしかして!あの音は……。ここであの音の正体がわかった。写真を撮られた音だと。



「君は私を裏切った」


 証拠突きつけられたが認めるわけにはいかなかった!


「違うわ!わたくしではありません!」


 だからシラを切り乗り切ろうとした。が、彼には通用しない。信頼している侍従が彼女の執事見習いとなり不貞の証拠を集めたのだから。認めたくないが認めるしかない。そして、愛していた彼女に終止符を打つ事にした。



「……もう、以前の君はいないんだね。私は君が優しい心持ちの子だったから婚約者にしたんだ。でも、私と婚約してからどんどん変わっていったね。私の嫌いな令嬢と同じ……いや、それ以上おぞましい存在だ」


 彼に軽蔑した目で見られた。


「……」

 事実だから、そうじゃないと言えなかった。


 彼は以前のお淑やかで優しい彼女が好きだった。だが、彼と婚約してから変わってしまった。それでも、以前の彼女が忘れられず……時間が経てば元の優しい彼女に戻ってくれると待っていたが駄目だったようだ。

 過去の彼女を思い出し彼の瞳から涙が溢れてきた。もう自分の愛した彼女はいないと。


「だからもう終わりにしよう」




 再び残酷な言葉をかけられた。

 その言葉で私の人生が転がり落ちるように崩れていったが諦めきれなかった。



「……へぇ!何言ってるんです!?あと少しで結婚式ですわよ!わたくしはあなた様を愛しております。どうか……」


 冷静を装い彼に自分の想いを告げたが、最後まで言わせてくれなかった。


「無理だ。不貞を働いていた事とは別に、君は一人の女性の人生を弄びその女性の人生を壊したね。私はそんな醜い人間とは結婚できないし、次期公爵夫人に君は相応しくない。今頃は父が伯爵と話している。だから今日中には君との縁が切れる。だから、ここで騒いでも変わらないよ」


「そ、そんな……」

 膝から崩れ落ちた。


 ただの暇つぶしで、あの二人の幸せを壊しただけなのに……何でわたくしの幸せが壊れなきゃいけないの……わからない、わからない……何で?


「どうして婚約破棄されたかわからないようだね……残念だ……愛していたよアンバー……さようなら」

 

 決別の言葉を残し部屋から去ろうとしたが、


「いやーーっ!!さよならなんて言わないでください!わたくしジルベール様の為なら何でもしますから!わたくしを捨てないで下さい!!」


 彼の足にしがみ付き、泣きながら懇願していたが意味はなかった。


「連れて行け!もう君の醜態を見たくない」


 彼の失望した声が部屋中に響いた。そして彼の侍従に連れていかれた。


「離して離してよ!」


 喚き散らしている彼女を無理やり馬車の中に入れら伯爵邸に帰された。

 伯爵邸に着くと父が門の前で待ち構えていた。



「アンバー!お前と言う奴は!!」


「……」


 今まで怒られたことのなかった彼女は萎縮して声も出せなかった。いつも自分に甘々だった父の面影が消え失せていたのだから。


「公爵様が先程来られて、お前の不貞、傲慢な振る舞いで婚約破棄されたぞ!もう公爵家との縁も切れる。この醜態が貴族間で知られれば、我が伯爵家がどうなるかわかるよな!」


「……」


「ダンマリか!じゃあ、教えてやる。公爵家からの援助が切られ、今やってる事業が潰れ借金だけが残るんだ!それに、こちら有責の婚約破棄だから慰謝料も請求される」


「そ、そんな……」


 やっと自分が取り返しのつかないことをしたと気づいた。


「お前は何故、執事見習いの男と浮気した!!何故だ!お前には素晴らしい婚約者がいたではないか!この馬鹿者!!お前のせいでこの伯爵家は終わりだ!」

 バチン!おもいっきり父に平手打ちされた。

 痛みが遅れてやってきた。頬は赤く腫れ上がり熱を持っていた。『痛い!』と以前の自分なら訴えていたが、いまでは叩かれてもしょうがない……だって、自分のせいで伯爵家は終わるんだから……。


 それから、父からの罵声は続いた。これから私は足りないお金を工面をするため急遽、豪商の後妻になることが決まった。

 父より年上の元に嫁ぐなんて嫌だと言ったが、『娼館に売り飛ばすぞ』と言われ、渋々受け入れた。



 そして一ヶ月間部屋に監禁された後、粗末な馬車に入れられた。

 もうこの頃の自分は抜け殻のような状態で、馬車の窓から覗く久しぶりの外を眺めていた。きっと、これが最後の外出だろうと……だって、自分の結婚相手は激しい女狂いの男なのだから……と自分の末路を悲観していると、馬車の窓から幸せそうな二人が目に入った。

 小柄な女性と大柄な男性が手を繋ぎ満面の笑みで顔を合わせながら会話を楽しんでいた。



『ハッハッハ!いいね!やっぱ、メリッサの笑顔は最高だな!よし!最高に可愛く綺麗なメリッサを連れてギルドに行くか!』


『はい♡早く報告しに行きましょう。ガンプさん♡』


『おう!皆に俺達が結婚したってな!』


 幸せに包まれた二人は寄り添いながらわたくしの前から消えていった。二人は王都へ、わたくしは王都から外れた街にいる結婚相手の元へ……これから彼女とわたくしの人生が交わることは一生ないだろう。


『ふふっ、あの女じゃない……あの男と別れて、もう新しい男と一緒にいるなんて……結局、わたくしだけが不幸になったのね。全て自分に返ってくるなんて滑稽だわ』

 と、自分のことを嘲笑った。


 あのときキスしなければ、あのとき幸せそうなカップルを壊そうと思わなければ……その過ちのせいで、アンバーの人生が破滅してしまったのだから。


 そしてあの女の幸せそうな顔を思い出し、自分の瞳から涙が溢れ出してきた。


 何もしなければ、権力も金も自由も全て手に入れ、彼女のように幸せになれたのにと。



〈終わり〉


















◆◆◆


追加情報



⭐︎お気に入り見習い執事


 お気に入りの見習い執事はジルベールの侍従です。変装していたのでアンバーは最後まで一切気づきませんでした。

 ジルベールの侍従はメリッサのことを調べていく内に同情する。クズな彼と別れて欲しいと思うほどに。

 その後、王都に戻ってきたガンプとメリッサの幸せそうな姿を見て喜んだ!報われてよかったと。

 



⭐︎ジルベール



 アンバーが見習い執事を懇意している噂を聞きつけたジルベールが自分の信頼している侍従にアンバーが何をやっているかを知るため、伯爵邸に潜り込ませた。結果、最悪の展開になり、ジルベールは落ち込みます。が!後に素敵な婚約者と出会います!



 不幸になったのはアンバーと元彼のみです!

 

 


4/19追加情報



侍従目線、ジルベール目線を新たに投稿する予定はありませんでしたが投稿しようか悩み中です!



4/21

ポイント入れてくださった方々ありがとうございます

m(_ _)m


モチベーションが上がって来ました!ガンプ目線の総合ポイントを超えましたら投稿します。期限は4/30!






読んで下さりありがとうございます。

【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けるとモチベーションが上がり嬉しいです( ◠‿◠ )執筆の励みになりますのでよろしくお願い致します。


4/30終了

ガンプ2456ポイント

お嬢様2246ポイント



ポイント入れてくださった方々ありがとうございました

m(_ _)m


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