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無力な魔王と能天気娘  作者: 青空の約束
旅立ち編
50/82

レイノスとダニッシュ

「行って……しまいましたね」

「……ああ」

 レイノスとダニッシュ、二人はアンナが去った後を眺めていた。

もう、アンナはこの場にいない。いや、レイノス達の下にはいないと行ったほうが正しい。

「いつか……近い将来、あいつは俺の前に立ちはだかるだろうな」

「ええ、私もそんな気がしていますよ。アンナさんが……魔王なんかよりも恐ろしい相手になるって」

 ダニッシュがこぶしをぎゅうっと握り締めたのが、レイノスには見えた。、そしてレイノス自身もまた、唇を噛みながら手に力をこめているのに気づいた。

「すまないな、ダニッシュ。貴様を……いや貴様の人生を振り回してしまって」

「なっ! いきなり何を言い出すんですか。レイノス君らしくないですよ!」

 ははっ、とレイノスは軽く笑い、

「らしくない、か。そうだな、らしくない。俺はダニッシュ……貴様を馬鹿にしているぐらいがちょうどいいのかもな」

「ちょ、いやそれはレイノス君らしいですけれども、私個人としては些か遠慮したいんですが」

「いや、決めた。俺はお前を馬鹿にする。なんと言われようと貴様の人間としての尊厳を、地に落としてやる」

「勘弁してくださいよぉ!」

 レイノスは半分冗談で言ったのだが、それを本気で受け止めてすでに涙目なダニッシュ。

そんなダニッシュに、

「それでもお前は、俺についてきてくれるか?」

 と、軽く微笑みながら言った。

ダニッシュはレイノスのその表情を見て、自分の目から流れている涙を腕で拭った。

 顔を上げ、レイノスをまっすぐに見たダニッシュは、

「ついてはいきません。もうレイノスさんの後ろを歩くのは嫌ですから」

 ですから――


 共に横を並んで歩いていきますよ、君と一緒にね。


「……ふっ、フハハハ! 言うようになったものだな、仮初めの英雄が。――面白い、俺の……俺様の横を歩いてこれるかどうか自分で試してみるがいい! ……もし、途中で諦めるようなことがあれば、そのときは全力でお前に生き恥をかかせてやる」

「え、ええ! それは嫌です! レイノス君は限度を知らないから、本当に危ないんですよ!」

 ここで、任せてください、などと言えないのがダニッシュだ。レイノスはそれをダニッシュの悪い部分だと思いながらも、同時に、ダニッシュには欠かせないところだと感じていた。

「では、そろそろ行くぞ。イマムネやミリネに一言残してから、次の場所に向かうとしよう」

「ええ、いいですけど、次の場所とは?」

 お前も思い出深い場所だと思うぞ? とレイノスは告げてから――


「――始まりの村……お前が俺を人間にした場所、俺が人間に変わった場所さ」




 そしてレイノス達は、ゲルブ村を後にした。

イマムネやミリネ、村の人々からは餞別の品をいくらかもらい、お見送りまでしてもらった。

 獣人、人間全てが見送りの場に来ていたことを見れば、もうゲルブ村は大丈夫だと、レイノスは確信することができた。

そして、レイノスとダニッシュは再び歩き出す。


 向かうは、始まりの地――。



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