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第95話 ここは宝石料理を出す店
最終回です
ここは導きの店。
生前に未練を残し過ぎた貴方が迷い込み、その未練を解きほぐすための束の間の休息を取る場所。
店主はふわふわの小さなトイプードルを模した、人間のようでいてそうではない存在。
おっちょこちょいのウェイトレスは、笑いで場を和ませてくれる良い場所だ。
赤い赤い、青い青い。それぞれ宝石を使った料理はどれも絶品。
ひと口食べ、ひとつの涙をこぼし。
ひとつの未練との区切りをつける、束の間のゆとりを与える場所。
だからこそ、あの世への旅路の前に休みは必要なのだ。
迷い込んで、生きる意味を無くしたモノになど……成り代わってはいけない。
ここはここで、ただの通過点なのだから。
「いらっしゃいませ、ようこそ」
だから、貴方の迷いをなくすための通過点として、少しばかり休みを取ろうじゃないか。マスターとウェイトレスはその手伝いをするまで。
この物語を繋いでいく、人であり人でない彼らからの案内状がなければ……この喫茶店『永遠』に迷い込むことはないのだから。
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