第93話 義家族との生活
再開です
「おとうさーん! ご飯できたよー!」
現世もとい、現代に黄泉がえり出来た柘榴の生活は大きく変わった。
外見を少し引き上げた不知火との生活もだが、予想以上にあの世で生まれた妹の椿姫の到着が早かったため。柘榴がほとんど一人暮らししていたマンションを借り直すには手狭だったから、貫の実家近くにファミリーマンションを借りた。
保証人は、いずれ嫁に行くからなどと……少し強引に彩葉たち堺田家が。貫は警視庁での仕事もあるのでしょっちゅうは来れない。と言っておきながら、乳児に必要な日用品の手配ついでにちょくちょく顔を出してきてはいる。
「おー。よーやく、椿姫寝たわ」
「お疲れ様ー」
柘榴の学業は、以前から通っていた学校には復学。浅葱らが頑張って手配してくれたので、そこは素直に従ったのだ。呉羽もそちらの学校に転校したように、復学ルートはいじってもらっている。互いに事情有りの友人がいるのは心強い。
この家にもよく来てくれているので、呉羽は椿姫のトイレ事情も手伝ってくれていた。陸翔こと彰吾は鑑識見習いとして裏ルートで警視庁に所属。家は流石に呉羽の実家に邪魔するわけにいかず、宿舎扱いで一人暮らしを始めた。
あとのいちゃいちゃは推してしるべし。
「「いただきますー」」
義父として同居するので、呼び方を変えたが。不知火は存外世話好きなようで、椿姫の世話を頑張ってくれていた。狭間とは常に連絡を取れるように、術式を姿見に組み込んでくれたりと現世でも魔法を駆使し。
日常の仕事とやらは報告書ついでの『エッセイ作家』として、浅葱の伝手で仕事をきちんとこなしている。これが意外に稼ぎとなり、家賃はきちんと払える金額になるのだ。一応は、祖母の桃世の遺産などで保証金は賄っていたが……なんとかなるのだなと受け入れられた。
狭間の出来事を面白おかしくいじった『ファンタジー小説』とやらは、浅葱も監修のもと制作中らしく。あの出来事が実はリアルだと知られてもいい具合の脚色をしているそうだ。
「そろそろ試験じゃろ? ワレぇも簡単に作るでええんなら、勉強しぃ?」
「ご安心を。日常生活範囲のおさらいで、テスト範囲は問題なし」
「……勉強家だったん?」
「まあ、あっちのお父さんいなかった時は暇過ぎたし」
その分、ちょっとだけ勉強すればテストは平均以上の点を取れる特技がついてしまったが。椿姫の世話を手伝えるので良かったと今なら思える。
食事途中、椿姫の泣き声がしたら交代でかっこむのもいつものことになり。
お風呂に入る手前で貫がやってきたので、少し話そうと言われて近くの公園まで足を運ぶ。
次回は火曜日〜




