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第89話 であれば、その後を?

お待たせ致しましたー

 さて、両親らとの『別れ』は意外にもあっさりと終わることが出来た。ふたりの新たな目標を聞くことが出来、柘榴(ざくろ)も今は小学生ではないから必要以上に泣く必要はないのだと受け入れられていた。


 血の繋がった家族が、少し先でも『出来る』希望が大きいからだろうが。やはり、愛を繋げた新たな『家族』が出来たからかもしれない。事実上の親友も生き返ることが決まったから、これ以上にないくらいに恵まれたのだ。


 殺されてからの結果だとしても、ある意味これで良かったのだと。なんだかんだで両親からは『妹』を託されたのだから、今後は義父となる不知火(しらぬい)との生活も待っている。当分は、不知火自身が椿姫(つばき)到着までに堺田(さかた)で育メン生活の研修が待ってはいるが。


 それなら、と柘榴もしばらく環境が整うまでは居候することが決定。もともとの自宅は既に心霊課の家宅捜索にて解約されているので『無い』のだ。浅葱(あさぎ)らには代わりに支援金を多く提供することで話はまとまっている。久乃木(くのき)の遺産相続も、祖母側の実家も含めて現在手続きは肩代わりしてもらっているのだ。


 高校などの就学も、転校手続きも含めて進行中だ。国が関われば、いくらでも操作できるとは貫が言ってはいたが。呉羽(くれは)も一時的な復学として少しの間はいっしょに通うこととなった。もともとの専修コースは、探せばまだいくらでもあるらしい。そこへ転校するとしても、しばらくは柘榴と過ごしたいと意見したのだ。



「うち、絵本作家になる! んで、監修で許可もらえる範囲内で、柘榴っちの絵本を商業化したい!」

「いいね!」



 柘榴の進路は、どうやら『創作』にはもう向かないらしい。将来的に、籍は心霊課へ置きたいと考えていたのと、必然的にそうなってしまう。貫以上の不老であれば、戸籍操作するにしても通常の就労では過ごせないからだ。代わりに、副業として資格をとっての仕事はしても大丈夫だと貫から教わった。なら、『栄養士』を目指していこうと決めたのだ。


 行き来する『狭間』での宝石料理を創るのにも、レパートリーを増やしたい。現世の料理を先に多く導入するのは、陸翔(りくと)だとしても。補佐出来る弟子のひとりとして、柘榴も努力したかった。その資格があれば、不規則な生活が多い心霊課の幹部勢にも喜ばれると言ったのは。母らを送迎したあとに、浅葱や駿(しゅん)から頼み込まれたのだ。



「食事管理してもらえる子が来るのは非常にありがたい!!」

「……他の課も欲しいからね」

「……独り占めしたいが、こればっかりは」



 国家公務員とは、従事者ゆえに自己管理が苦手な人間が多いそうだ。一部には貫のように半種族もいるそうだが、似た感じらしい。


 なので、これは資格を取得出来たあとの『説教』が楽しみだと今から進路への目標がまたひとつ出来た。



「んで? 柘榴ちゃんはこのあとすぐに黄泉返りなん?」



 彩葉(いろは)の発言により、不知火に注目が集まったが。一斉に視線を向けられた当人は、にっと八重歯を見せながら笑いかけてくれた。



「……俺の血を、三人に飲ませる」



 偽りの口調をもうやめたのか、今後の生き方では不必要なのか。不知火は皮膚を傷付けずに『血の粒』を精製した。それらを黄泉返りさせる該当者の前に飛ばし、口元近くまで寄せていく。


 陸翔は少し、唾を飲んだが。柘榴や呉羽はすぐに口を開けて、入ってきたそれを飲み込んだ。鉄の味はない代わりに、蕩ける蜂蜜のように甘いそれが胃袋に到達した辺りで。


 焼けるような熱さが全身を駆け巡った瞬間、倒れそうなその衝撃に柘榴は意識が遠のくのと同時に貫の腕に抱えられていた。



「よく眠れ」



 安心出来る囁きを最後に、『永遠(とわ)』での短いようで長い生活は幕を閉じたのだと。次に目を覚ました場所で、それを理解したのだった。

次回はまた明日〜

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