第85話 祖父としてではなく?
お待たせ致しましたー
柘榴らがそろそろ厨房から戻るかというタイミングのときに。不知火の処遇を桃世から頼まれていたのだが。その内容にはまた閻魔庁での時と同じく、不知火は開いた口が塞がらなくった。
「……ワレ、い、や……俺が『父親代理』?」
本当の父親である侑馬も、獄卒となったために現世へ戻れないにしても。何故、不知火が代理を。似非の言葉遣いを一応素に戻しても、桃世だけでなく侑馬からも頭を下げられたのだ。
「お願いいたします。本来はご先祖様でも、娘が貴方には貫くんとは違った意味で、あれだけ心を開いているんです!」
「侑馬は、あの事情でほとんど『父親』でいられませんでした。再会は、一旦これで区切りでも……柘榴のことですから、きっと『ここ』と行き来するでしょう。椿姫の養育も受け持ってくださるとくれば……そこは、祖父よりも『義父』の方が保護者としては成り立つかと」
「俺からも、お願いします! 娘たちを……現世で、育ててくれないでしょうか!!」
「……えぇえ?」
子種の関係で、子孫は居るにしても。実質的な『養育』は一切請け負ったことが無い、不知火に。いきなり、『義父』になれと言われても正直言って自信がない。柘榴にはふざけ半分で『祖父扱い』をしてもらってただけで、外見と中身が若造のままな自分に『親代わり』が果たしてどこまで受け入れてくれるか。
家族の成り立ちなど、万通りほどあると言えども。実子すら、顔を知らなかった不知火にどこまでその教育が出来るかは自信がなかった。柘榴はいずれ、貫のところに嫁ぐにしても。椿姫はそうもいかない。独立するまで、ここと行き来するにしても勉学などをきちんと伝えられるか。
フォローはいくらでもあれど、普段請け負うのは不知火なのだから。
「なーんや? 始祖様はそないに自信ないん? 姿は髪色変える程度やろ? うちらもおあるし、なんなら居候するか?」
「……お袋」
「せやかて。こん人やと乳飲み子の育児ひとりで出来んやろ? さすがに」
「…………頼む。最初は、邪魔させてくれ」
現世の生活の知恵は取り込んでいても、養育は別だ。経験がないし、そこは数ヶ月でも実施訓練した方がいい。椿姫が派遣されるまでの数ヶ月は、柘榴との生活が優先でも。その後十年以上はそうもいかないのだ。ほとんど一対一での生活が続くのならば、最初は堺田家に滞在して彩葉たちから学んだ方が無難である。
不知火の懇願により、貫も折れたのでそれは決定となり。そのすぐあとに、柘榴らが例のオムライスを持ってきてくれたため。食べる直前にその計画を不知火の口から告げれば。
「ええんやで~? 貫といちゃいちゃ出来るよーに、ふたりの部屋は離れにしたる!」
「阿保か!?」
などと、彩葉らの親子漫才で誤魔化せたのか。柘榴も真っ赤になりながらも頷いたと言うことで。現世での復活後は、生活の道筋がひとつ確定したのであった。
次回はまた明日〜




