第81話 望む終焉を迎えよう
お待たせ致しましたー
不知火は、気分が良かった。ほんの数刻前までは最悪なそれでしかなかったものの。迎えた結末とやらは、存外に悪いものではなかった。その事実を知れたことで、出来得る限りのことをしようではないかと素直に思えるくらいに。
手始めに、彩葉をこちらに繋いだのもそのひとつ。貫を身ごもるかどうかの波打ち際の刻に、なんとなく繋いだ程度の縁。それが今なんとか役立つことが出来た。まさか、そのときの赤子が己の子孫と縁を強く結ぶ関係になろうとは。
この未来を、閻魔庁で裁きを受けているあの黄泉のかけらは知っていたのか。夜光と盟約を結んでいた時点で、予知をしていたら質が悪い所だが。自覚するくらい気の短い不知火にしては、そこまで感情の荒波が立たない。やはりそこも、柘榴と対面を始めた時からの変化だろうが。
ここまで、他人のために変われる道筋を歩めるとは。
ますます、微かな希望程度に抱いていた野望を、叶える時がきた瞬間だと高らかに笑い声を上げた。
「決めたで!」
店内に響き渡る咆哮に近いそれ。ほとんどが肩を跳ねるほどに驚いていたが、すぐに反応してくれたのはやはり柘榴を含める久乃木の一家だった。
「おじいちゃん?」
「え、柘榴?」
「あの方を、『おじいちゃん』?」
「いえ、あなた。間違ってはいないし、お許しをいただいているようだから……」
ほんの数刻前までは最悪なそれでしかなかったものの。迎えた結末とやらは、存外に悪いものではなかった。不知火はその事実を知れたことで、出来得る限りのことをしようではないかと素直に思えるくらいに。
手始めに、彩葉をこちらに繋いだのもそのひとつ。貫を身ごもるかどうかの波打ち際の刻に、なんとなく繋いだ程度の縁。それが今なんとか役立つことが出来た。まさか、そのときの赤子が己の子孫と縁を強く結ぶ関係になろうとは。
この未来を、閻魔庁で裁きを受けているあの黄泉のかけらは知っていたのか。夜光と盟約を結んでいた時点で、予知をしていたら質が悪い所だが。自覚するくらい気の短い不知火にしては、そこまで感情の荒波が立たない。やはりそこも、柘榴と対面を始めた時からの変化だろうが。
ここまで、他人のために変われる道筋を歩めるとは。
ますます、微かな希望程度に抱いていた野望を、叶える時がきた瞬間だと高らかに笑い声を上げた。
「決めたで!」
店内に響き渡る咆哮に近いそれ。ほとんどが肩を跳ねるほどに驚いていたが、すぐに反応してくれたのはやはり柘榴を含める久乃木の一家だった。
「おじいちゃん?」
「え、柘榴?」
「あの方を、『おじいちゃん』?」
「いえ、あなた。間違ってはいないし、お許しをいただいているようだから……」
柘榴の両親は驚いても無理はないが、柘榴は気にしてないので母親の腕から抜け出してこちらへと来てくれた。貫の居る手前だが、これからのことを思えばと柘榴を引き寄せて強く抱きしめたのだ。
「な!?」
怒る声が上がっても、これからの宣言を聞けば考えは多少変わるだろう。変わらないかもしれないが、言うだけ言うことにした。
「柘榴! ワレぇも、ちゃんと肉体創るわ!! 自分の両親は流石に黄泉返りはさせれん。けんど、貫の坊主んとこに居候なっても『実家』はいるやろ? 久乃木の家もなんとかすっから、ワレを『おじいちゃん』にしてや」
これはどうだと決意を告げれば、何故か柘榴から鳩尾に拳を叩きこまれてしまった。
「その姿で『おじいちゃん』って、どーすんの!?」
「……はは」
保護者を拒否されたわけではないが、それはそうだと浅葱らと打ち合わせをすることは決定したのだった。貫にも、遠慮なしに首根っこ掴まれてからハグの件は問い詰められたものの。
とりあえず、『生き直し』生活は決定済みとなったのだ。
次回はまた明日〜




