第55話 親友になりたいがために動く
お待たせ致しましたー
呉羽は決意していた。小学生時代だけでも幼馴染で個人的には『親友』だと思っていたクラスメイトとの再会。
経緯はなんであれ、呉羽は僥倖だと思っていたのだ。たしかに殺されはしたし、未練はたくさんあったのも嘘ではない。死んだあとに、不安定な状態で救ってくれた恩人としても尊敬はしていた。あのゾンビ外見の陸翔に惚れたのも嘘ではないが、優先順位はやはり柘榴の方だ。
先程起きた、甘々展開手前を見ていてじれったい。非常にこそばゆくてむずむずするのだ。自分も恋愛経験は皆無だが、ときめきを覚えることは多かった。ある意味の体質で激太りしていたのを、柘榴の宝石料理で元の体型に戻れた。
場合によっては生き返れるかもしれないが、それは後回し。
柘榴の親友の座を、もう一度獲得するにはと動くために。彼女が実質的な祖父となった不知火に説教している間に、しかめっ面の貫を隅に引きずって聞き出すことにしたのだ。嫌がってもここは聞き出すと決めている。
「どーした?」
強制力の雰囲気を読んだのか、先程の不知火への苛立ちほどではない。なんだかんだで呉羽の姿よりも中身がよくわかったのか、あまり嫌悪感がないようだ。これは好機、と呉羽はにまっと口元を緩める。
「交換条件と行こうよ」
「は?」
意味が分からないのは当然だが、これは呉羽にとってもリスクが高い。何故なら、意中の相手の陸翔を振り向かせるための交渉も含まれているからだ。
「リクっちの情報くれる代わりに、ザクロっちの昔教えるのは? あのときのおにーちゃん?」
「……覚えてんのかよ」
「確証なかったけど。あの時の記憶戻ったし? あとさっき泣いてたときの顔見たら、確信したもん」
「……鋭いな」
「情報把握能力は高いからね~~」
殺されたときは油断し過ぎて対処出来なかっただけだ。体格の問題もあり、うまく反射神経が働かなかった。過ぎてしまったことを後悔しても仕方ないので、今を楽しむことにしている。割と楽観的な性格で生きてきたので、今はいいのだ。いじめを受けてたこれまでを思えば死んでも今が楽しいのだから。
そのためにも、恩人の柘榴のために動きたい。柘榴のことを忘れずに、進路を決めていたのも嘘ではないのだから。
「……じゃあ、詳しいのはあとにする。刻牙に関する事情聴取をさせてくれ。こっちのが優先なんだ。お前のためにも」
「りょーかーい」
やはり、ムカつく部分は多くても社会人だからだろう。その心意気は高く評価しているから提案したのだ。素直に了承して、聞かれたことに答えていくのだが。柘榴はまだ不知火に何か問い詰めているらしい。あのおじじは柘榴の気持ちはとっくに気づいているからか何か話しているのだろう。手短に済ませることにした。
「簡潔でいいんだ。状況がどうだったか思い出せるか? さっき思い出した部分を、もう少し詳しく」
「詳細……ね? ほんとさっき思い出した範囲でいい? あたしも一気に思い出したからぐちゃぐちゃなんだ」
「構わない。それはよくあることだからな」
「ん。じゃ、言うよ。だいたいの流れはさっきとだいたいおんなじ。あたしがちょっとトイレ行ってたら……ザクロっちの泣いた声聞こえたんだ。転んだかなって急いだら、黒いおじさんやおっちゃんらに囲まれて担がれてた。あたしなりに、しがみついたんだけどガキだから投げ飛ばされたし」
「んで、俺が割り込んだとこはそのすぐあとか」
「そ。ほとんど同じ。変な気配ってものはあのときのあたしじゃわかんないし。そこはイズルっちの方が詳しいんじゃない?」
「……だな。所謂、『邪気』とやらが濃かったからな。柘榴の声と同じタイミングで感知出来たから、俺が間に合った」
「ん。……マスターの方が知ってんじゃない?」
「……だな。ここに柘榴を導いたのは、おそらくマスターとその関係者だ」
導きとか、運命が意図的なものというのは。狭間に来てからよく理解出来た。呉羽の死すらも予知されていたのなら、夜光はそのために動いていたのだ。もとは悪者だったそうだがチート属性の不知火があの様子なら問題ないだろう。
呉羽の勘で、抱っこしても拒絶などを感知しなかったので。本能的に信頼していいはず。不知火の子孫である柘榴を気に懸けていたのかもしれないと、予感が働くのだ。
他にも協力者がいるだろうが、呉羽も関係しているのならとこちらも動く。ただし、情勢は無理なので個人範囲で。親友希望としての協力者なのだ。貫との結びつきをたしかなものにするために。
『ハッピーエンド計画』と勝手に名づけ、ここからスタートさせるのだ。
次回はまた明日〜




