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第45話 利用されたので、それに乗じる

お待たせ致しましたー

 利用された、あの管理者に。悔しいが己の力量が足りないことを呪うしかない。狭間への侵入に使用した仮の身体はもう使用不可能にされたが、これではっきりした。『就くべき』相手がどちらなのかを。



(おっもしろ~~!! 元裏ボスとは聞いとったけど、おもろいわんこやん!!)



 もともと狂っていた存在なので、気が変わるのも早い。辟易していた組織の中に逗留するのは懲り懲りだと思っていたときに、利用されても『怒り』が出てこなかった。むしろ、すがすがしいとすら思える解放感を覚えたくらい。


 魂を元の肉体に戻りながら、女工作員は考えを改めることにした。この組織を辞めることは決定しても、『辞め方』を工夫しようとすぐに術を展開していく。あの大ボスにはどうせ失敗で殺されるのであれば、その終わりを『こちらが利用』すればいいのだ。



(え~~っと~~? 血の通いを敢えて止めて、仮死状態にさせてぇ? わっちの持ってる疑似宝石を『血液』に変換させて、殺されかけたらぶちまければええかー?)



 組織に関わったことと、工作員としての技術があるのでこれくらいお手の物だ。魂の状態でも細工するくらいお手の物である。これから、所属希望を出す場所への手向けになるのなら、己を利用しても厭わないものだ。


 これくらいのやる気が出るなら、さっさと実行すればよかったがあの大ボスの稚拙な野望への執着心にはもう飽き飽きした。抜けるなら、それを少しは妨害しようとも考えていた時期はあったが。


 侵入してきた、あの管理者があっさりやってのけた。工作とかに詳しい女工作員は意識が朦朧としていても察知出来たのだ。あの技術の素晴らしさに、感嘆して惚れてしまいそうだった。それくらいの刺激、いつ以来だと感激を覚えたに等しい。であれば、次に所属するのは拒絶されてもあちら側だ。


 といっても、女の実行してきた関りはほとんど『犯罪行為』。それを清算するには、いきなり狭間に行っても意味がない。『普通のやり方』ではだが。



(まだあそこに刑事らおるんなら……一回、捕まるかぁ)



 それで殺されるとしたら、それで終わりだが。情報を幾らか明け渡すのだ。少しは譲歩してくれると思う。犬の姿をして、己を利用したあの狭間の管理者であれば。この情報の利用価値を、正しく理解してくれるだろうから。


 細工を終え、一度身体に戻れば。予想していた通り、仕事を押しつけてきた男性幹部の一人が目の前にいたのだ。



「まーんまと、利用されてんじゃん? 魔法技術、大したことなくね?」



 手にしているのは、柘榴(ざくろ)を刺したドスではなく拳銃。頭を貫いて、完全に消滅させるやり口か。それも予想の範疇だ。細工しつつ、実行者を予測しながらプランを変えていたのだから。にぃっと己も口角を上げて、態と相手を煽る発言をすることにした。



「ええで? わっち一人殺しても、大した情報を流出すらないやろ? あんたこそ、取り逃したくせして」

「……うざ」



 キレた、と言葉で理解したと同時に引き金を引かれたが。頭蓋骨を貫く衝撃を感じても、『死』はない。疑似宝石をそこに仕込んだために、血は噴出したが同時に身体ごと『転移』させたのだ。相手もすぐに気付いたが、もう遅い。


 狭間へのルートに転移した女は、道を通じて急いで駆け出した。疑似宝石の血まみれだが、証拠としてはちょうどいいだろう。駆け続けていけば、出口が見えてくる。その穴を見つけて飛び込めば。



「どわ!?」



 出口の下は地面ではなく、少し悪い場所であのガラの悪い若手刑事の背中の上だった。当然、血まみれの女工作員の登場に、ほとんどの者が戦闘態勢になるのも想定内。管理者を気配で察知してから、女は態と彼に飛びつく姿勢を取って。



「会いたかったで~~! 管理者はーん!!」



 態と、だが。愛らしいトイプードルの形代をしている管理者に、愛玩動物のように愛で始めてしまった。正直言って、女だから普通に可愛いものには目がないのだ。

次回はまた明日〜

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