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【記録文書】20■■/07/16 鳴降市一帯における連続怪雨事件について

〈序文〉

 この文書は、鳴降市役所の地域振興課に勤める公務員、■■■■によって作成されています。

 普段は鳴降市の魅力を市外に伝えるため広報活動に従事していますが、■■家は代々民俗学者としてこの町の歴史を記録するという崇高な使命も負っているため、■■が此度の記録を任されました。



〈鳴降市の民話『鳴降様』について〉

 鳴降市では大昔から、「七月お盆の前後に空に雷雲がたちこめると、妙なものが地上に降り注ぐ」という現象が起きていました。

 それは『鳴降様』と呼ばれ、「妙なもの」はおよそ空から降ってくることのない異物がほとんどであり、中にはその時代では絶対に入手できないオーパーツもあったといいます。(※鳴降市郷土資料館の地下倉庫にて現物確認可能です)

 ちなみに「妙なものが空から降ってきても、住民はあわてず騒がず、静かに受け入れよ」というのが、大昔から鳴降市の住民間で共有されてきた暗黙のルールでした。 



〈20■■/7/16/13:30~ 鳴降市内の送電線の電圧について〉

 この日は空に雷雲がたちこめることはありませんでしたが、『鳴降様』が市内各地で起こりました。

 地図を確認すると、『鳴降様』はいずれも鳴降市を南北に縦断する送電線下、および鉄塔周辺で起こっていました。

 この日は特に暑く、七月中旬であるにもかかわらず気温が39度に達していました。K県全域を担っている■■電力会社に確認したところ、正午過ぎの電力供給量は99%に迫っていたそうです。

 鳴降市の送電線は近くのダムからふもとまで伸びる送電線(特別高圧電線)のため、常時15万4,000~50万ボルトの電圧が流れるものであり、昼のピーク時には最大電圧になっていたと思われます。

 雷の電圧はおよそ1億ボルトと言われており、この時の送電線は何かしら雷と同じような作用を及ぼしたのではないかと推測されます。



〈七月お盆について〉

 昔から、1月16日と7月16日の二日だけは地獄の窯の蓋が開く、とされてきました。この日はあの世とこの世がつながり、異界と通じやすくなる日です。過去、『鳴降様』はこの地獄の窯の蓋が開く日の前後に多く起こりました。20■■年の怪雨がこれほど大規模だったのは、7月16日当日だったからかもしれません。



〈まとめ〉

 年々、温暖化が進み、夏場の電力消費量が上がりつづけています。今後も七月お盆前後の昼時には、住民に送電線付近に近づくことを注意喚起していかなくてはならないでしょう。雷が発生しそうなときもです。また、冬場(一月)も電力消費量や雷に気をつけていくことが望まれます。

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