74話 アルセイフ視点
フェリと一夜をともにしたアルセイフは、とてもご機嫌な様子で、仲間を引き連れて仕事へむかう。
道中ずぅ~~~っとニコニコしてる様子から、団員達は事態を察していた。
おそらくフェリアと何かあったのだろうと。
さて。
そんな風にニコニコ状態のアルセイフも、現地へ赴くと、緩んだ表情をひきしめた。
「着いたな、妖精郷」
ここはゲータ・ニィガ王国のとなり、隣国であるマデューカス帝国。
その帝国内にある巨大樹の森……妖精郷。
なかには豊富な資源があるのだが、巨大な蟲……魔蟲がうごめいているため、思うように採掘がいかない。
今日は王国・帝国の合同での遠征の日だ。
アルセイフは帝国側の代表にあいさつに行く。
黒髪で、弓を背負った青年が握手を求めてきた。
「ガンマ・スナイプと申します」
「アルセイフ=フォン=レイホワイトだ」
帝国の軍人との握手を済ませたあと……。
アルセイフは言う。
「作戦の前に一つよろしいだろうか」
「はい、なんでしょうか」
「森の浄化を行いたい」
ガンマと呼ばれた軍人は、ぽかん……と口を開く。
「浄化……とは?」
「文字通りの意味だ。こちらには凄い光の魔法の使い手がいるのだ。瘴気と、そして魔蟲を払うことができる」
にわかには信じられないだろうが、と続ける。
思った通り、ガンマは疑いのまなざしを向けてきた。
しかし……。
「わかりました。お願いします」
とてもあっさりと、アルセイフの提案をのんできたのだ。
「信じるのか?」
「はい。あなたの目は、嘘を言ってないので」
比喩表現だろうか。
まあ確かに嘘は言ってないけれども。
どうしてそこまで信じられるのか、逆に疑問だった。
「おれ、目はいいんです」
……よくわからない理由だったが、まあ信じてくてくれるのならいい。
「よし、では……フェリ! 頼むぞ」
その瞬間、アルセイフたちの前に魔法陣が出現。
そこから……フェリアが姿を現すのだった。