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68話


 ニコに髪を乾かしてもらったあと……。

 私は一人、アルセイフ様の部屋の前に居た。


「ふぅ……」


 今日、ちょっと大人げなかった。

 そのことを謝ろうと、ここまで来たのだ。


 普段ならば、簡単に入れるこの部屋。

 しかし今私は何もできず、うろちょろしてる。


「な、何をしてるの……私は……」


 手足が冷たい。

 そわそわする。


 だというのに、顔は熱い。

 なんなのだ。どうにかなってしまったのか……?


「ニーナ様……」


 あの人に、私は言われた。

 アルセイフ様のことを、心から好きになったのだと。


 ニコからも、客観的に見て、私は彼のことを好きになっていると言われてしまった。


 好き。

 恋愛ごとから遠かった私にとって、これほどまでに縁の無い言葉は無い。


 今まで私は、ずっと落ちこぼれ扱いを受けてきた。

 誰もが私をさげすんできた。


 仲の良い友達はいたけれど、しかしどのお方も友達でしかない。

 私にとって、誰かを好きになるという体験は今も未知なままだったはず……。


「…………」


 この、妙にそわそわする感じがそうなのか。

 人を好きになるってことは、こんな普段とは違う行動を取るようなものなのだろうか。

 

 わからない。

 全くの未知過ぎる。


「フェリ?」

「ひゃい!?」


 ひゃ、ひゃい……?

 なんだ今の? 誰の声だ。


 私か? 私なのか?


「どうした、そんなところで」

「あ、い、」

「愛?」

「いえ! なんでもありませんっ!」

「あ! フェリ!」


 知らず、私は彼の前から走って逃げていた。

 体が、コントロールできなかった。


 彼と目が合った途端に、体がかぁ……! と熱くなって、わけわからなくなって、気づけば逃亡していたのだ……。


 ああもう……なんなんだこれは。

 どうなってしまったのだ、私は……。

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