55話
アルセイフ様がお仕事にいかれたあと、私はコッコロちゃんのほこらへと向かう。
コッコロちゃん。
神獣……なのだけど、どう見てもただの犬だ。
しかも、丸々肥えた犬。
『はぐはぐ……ふぇり? どうしたのー?』
「いえ、なんだかコッコロちゃん……昔より太ってないですか?」
コッコロちゃんは私が持ってきたごはんを、おいしそうに犬食いしている。
そんな彼のおなかを触ると、たぷたぷと動くのだ。
確かに気持ちがいい。スライム? みたいな。
そして白いふわふわとした毛でわかりにくいが、近くによると、お肉が体にたっぷりついてるのがわかる。
『そうかな?』
「そうですよ。ずっと食っちゃねしてるから仕方ないかもですが」
『ぼくは基本お外出れないからね。神獣のしばりてきなあれで』
きり、とコッコロちゃんが決め顔で言う。
しかし私は知ってる。
「やろうと思えばでれるでしょう? 屋敷のほうにちょいちょい顔出しますし」
『うぐぐ』
「これはダイエットしないとですね」
『そ、そんな! いやだよ! フェリの作るおいしいご飯が食べれなくなるなんて!』
昔コッコロちゃんを飼っていたことがある。
あの頃からのくせで、つい人間の食べるご飯を彼に与えてしまっている。今もだ。
「最近知ったのですが、人のご飯を犬が食べてはいけないそうですよ? 塩分が過剰すぎるんだとか」
『ぼ、ぼくは犬じゃないもん! フェンリルだからいいんだもん!』
でもどう見ても見た目は太った犬。
たぷたぷ、と私は彼の首元を触る。
やっぱり、肥えてる……。
「ダイエットが嫌なら、せめてお外に散歩いきましょうか」
『なぬ! フェリとお散歩!? 二人きりで!?』
「まあそうですね」
『いくぅ~!』
とまあ、こんな感じでコッコロちゃんを散歩に連れてくことにした。