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ダンジョン商売  作者: もぎ すず
第一章 ダンジョン生成できるようです
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036 コラボ相手

 俺たちが動画を上げているDoTubeには、様々なジャンルで活躍している人たちがいる。


 時事問題をわかりやすく紹介したり、ゲーム実況したり、世間的にはバカと言われるようなことを進んでやったりなどだ。


 そのような動画投稿者をDoTuberと呼ぶのだが、俺が好きで見ている動画の中に、「ブラック・キャップのなんでもやります!」という企画モノを投稿している人がいる。


「なんでも」と言っても、法に触れたり、人の嫌がることはしない。

 どちらかといえば、人助けの方が多い。


 視聴者からのリクエストに応えたり、頼まれたことを一生懸命やったりしている。

 先日は、「ストーカーに狙われているかもしれない」という依頼に、5日間、夜間の張り込みをやっていた。


 後日、ちゃんとストーカーを捕まえたのだから、偉い。

 ゴミ屋敷の片付けや、店舗を営業しながらの引っ越しなど、一風変わった依頼を受けている。


 その様子を動画で撮影し、後日投稿しているのだ。


「ブラックキャップさんはですね、無料で引き受けるなんでも屋なんですよ。ただし、その様子を動画で公開することで、生計を立てているらしいです」


「なんとも変わった人だな。だが、真面目にやっているのは好感が持てる」

 玲央先輩が見ている動画は、炎天下の草むしりだ。


 老夫婦の庭先が草ぼうぼうなのを見かねた人が、除草をお願いしたのだ。

 ブラックキャップさんは、文句も言わずに延々と草をむしっている。


 ただそれだけの動画なのだが、すでに30万再生を超えている。

「なんでこんなのが人気なんだ?」


 勇三は意味が分からないらしい。

「一つは人柄かな。見ていて、嫌な気持ちにならない。もうひとつは、何が出てくるか分からないところだね」


 この前は、「転売屋が業者から直接買付けを行っているらしいので、それを(あば)いてください」なんて依頼があって、怪しい転売屋にずっと密着していた。


 顔にモザイクがかけられていたが、たしかに店の裏側で販売店の店員とおぼしき者から商品を大量に受け取っていた。


 なるほど、品薄商品はああやって、横からかすめ取る人がいるのかと勉強になった。


「この人に共演依頼を出すわけか」


「そうですね。こちらも動画を出しますから、正確にはコラボとなると思うんですけど、この人のファンにも、動画内容が合致すると思うんです」


「たしかに好感の持てる人物だな」

 玲央先輩は気に入ったようだ。


「それにこのブラックキャップさん、お母さんが難病で、高校を中退してるんです。DoTuberをやっているのも、治療費が稼ぎやすいためらしくて」


「ふむ」

 先輩は何やら考えている。


「孫一くん、その難病とは?」


「カタカナの病名だったので、覚えていませんが、身体が震えてまともに歩けなくなる病気らしいです。治療不可能で、発症するとそのまま症状が重くなって、最終的には亡くなってしまうって」


「なるほど、それを治したいというのかな?」

「ひいきかもしれませんが、俺の大好きな人なので」


 ブラックキャップさんから、多くの希望をもらった。

 だからこそ、少しでも希望を返したいのだ。


「『病払い』シリーズの効果も知りたいところであるし、私は構わないと思うぞ。おそらく良水では無理だろう。その上の霊水か、もしくは超水……」


 病気を治すポーションが、この世界の病気にどこまで対応しているのか未知数。


 先輩はどうやら、ブラックキャップさんのお母さんの病気に心当たりがあるようだ。


「話は変わりますけど、B1ダンジョンについてです。おばあちゃんの話だと、A5ダンジョンとの違いは主に魔物の耐久力だそうですけど、どうしますか?」


 魔物の攻撃力はさほど変わらないが、耐久力が増すらしい。

 本来、レベル11の探索者が5人いればB1ダンジョンは探索可能である。


 いま俺たちはレベル13になって、まだA4とA5ダンジョンに入っている。

 やはり3人というのは、ダンジョン探索を続ける上で不利なのだ。


「戦闘時間が延びると思わぬ怪我をするし、他の魔物を引き寄せることも考えられるな」

「そうですね。ですがレベル的にはもう入ってもいいと思います」


「会社をスタートアップさせる大事な時期でもあるし、少し様子を見よう。ダンジョンは逃げたりしないからな」


「分かりました」

 正直、先輩がそう言ってくれて助かった。


 祖母は「そろそろどうだい」と言っていたが、いまB1ダンジョンに入っても、おそらくギリギリの戦いとなる。

 気が抜けないまま6時間も探索するのは、精神的にかなりキツイ。


 同時に、以前あれほど焦っていた先輩の口から、ダンジョンは逃げないということばが聞けたのだ。

 先輩の心に余裕ができた証拠だろう。


「コラボの話だが、これは茂助くんがした方がいいだろうな。帰ったら、私から伝えておくが、それでいいか?」

「はい、お願いします」


 DoTube関連はすべて茂助先輩が担当している。

 いますぐでなくてもいい。


 きっといつか、ブラックキャップさんとコラボの約束を取り付けてくれるだろう。



正月休みもそこそこに、よせばいいのに新年会や新年旅行に駆り出され、溜まったお仕事が後ろにずれまくったあげく、自治会行事(現在複数の役員を兼任中)の準備がわらわらと。

大学の入学式よりなぜか一回り大きくなった息子が「成人式のスーツがない」とのたまい、急遽買いにいくことに。すると娘が「服なら私も欲しい」と結局二日連続でお買い物へ。

親戚関連の挨拶も終わり、ストレスでお歳暮にもらったお菓子を食べまくっている今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今日明日と地元のどんど焼きで不在です。来週は最後の新年会と最後のどんど焼きが終われば、少しはヒマになれるかなと希望的観測を抱いています。

最近ずっと忙しかったので、「男女比~」と「ダンジョン商売」のストックを進められませんでした。時間ができたら少しずつ書いていきます。

「ダンジョン商売」にかんしては1章最後まで投稿済みですので、とくに心配いらないと思います。タイトル変えたいけど、いいのが浮かばないのは相変わらずです。

そんな近況ですが、ひきつづきよろしくお願いします。

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