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第7話 救われる前世


「えっ……」


『ありがとう』という予想すらしていないフィリアからの言葉にデウスは驚いて固まってしまった。月明りと舞う雪でより美しく見える彼女は、そんなデウスにゆっくりと口を開いた。


「デウス、あのね。私、さっき怖くてたまらなかったの。私は従者の娘だから、領主様の息子である意地悪兄弟には何も言えなくて……言われるがままだったの。さっきもそう。デウスが助けてくれなかったらそのまま連れてひどいことをされていたと思うの。だからね、助けてくれてありがとう。守ってあげるって言ったそばから守って貰っちゃったね」

えへへとフィリアが微笑みかけてくれる。


「どう……して……? 怖くないの……?」

「怖いわけないでしょ! もちろんちょっとびっくりしちゃったけど、デウスはデウスだし、不思議な力で私を守ってくれたのは事実よ! その……大好きよ、デウス」


デウスは幸せな気持ちに包まれた。千松の頃からのすさんだ心が洗われていくような、救われた気持ちになった。ありがとう。そういいながらデウスはフィリアに抱きつきわんわんと泣いた。吹き抜けている冷たい風も、2人の間を避けているかのように暖かかった。


「デウスったら、今日はとても泣き虫さんね! 今日泣くだけ泣いたら、明日からまた頑張んなきゃね!」

そう言ってフィリアはデウスを抱きしめ、そのまま横になった。息を切らしながら泣いているデウスは一体どれほどの苦痛を感じていたのだろうか? フィリアはそんなことを考えながら、デウスが落ち着くまでそばで身体を寄せあった。



(それにしてもデウスの息切れはいつまで続くのかしら?)

デウスはウーヌスとデュオに言霊の力……っていうのを使ってからずっと息切れをしている。出ていくために走ったからではない……原因はなんだろう?

(そういえば、デウスの身体から白いもやもやが出ていたような?)


あんなものはみたことが無かった。魔法を使うにしても白い魔素など見たことないし、それが身体から吹き出すなんて聞いたこともない。そもそもデウスは魔法の適性が0だったはず。では間違いなく魔素ではない。

(あの白いもやもやが何かが分かればデウスの息切れが治るのかも知れないんだけどなぁ……)


「あーもう、わかんない事が多すぎるっ!」

魔法の才能はあっても頭がいいとは限らない。頭があまりよろしくないフィリアの脳内はパンクし、思考を放棄した。


「なんとかなるようになるっしょ!」

そう開き直るフィリアに、鋭い視線が刺さっていることを2人はまだ気づいていないのであった。


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