第18話 黄泉の神、伊邪那美命
「……にしても……」
ん? とフィリアが首を傾げた。
「多分向こうで追いかけてきたのは黄泉津大神だろな。ありがたいことだ。」
「その……黄泉津大神?って、何かの神様なの?」
「あぁ、僕のいた国を作り出したと言われる夫婦の神様の奥さんのほうでね。 生きている時は伊邪那美と呼ばれていたんだ。
伊邪那美は死んだ後、フィリアも見てきたであろう黄泉の国という場所に行ったら、旦那さんの伊邪那岐が追いかけてきたんだ。
それに怒って伊邪那岐を追いかけ回して現世に逃げ返させた、という神話があるんだよ……」
「どうして伊邪那美は死後の世界にまで追いかけてきてくれた伊邪那岐を追い返しちゃったの?」
なんで?と首を傾げている。かわいい。
「フィリアが向こうに行った時、僕に追いかけてきて欲しかった?」
「んーん、デウスには生きてて欲しかったから来て欲しくなかったかな……あっ!」
気づいたようだ。さすがに言いたいことを理解してくれたようでありがたい。
「つまり伊邪那岐は死後の世界に行って現世まで戻ってきたんだ。フィリアもその旦那さんみたいに伊邪那美に『まだこっちにくるな』って追い返してくれたんだよ」
「そっか…いつかお礼言わなきゃね」
「この事を『黄泉から帰ってくる』から『よみがえり』って言うんだよ。蘇ってくれてありがとうね。」
そんなそんな! とフィリアが両手をブンブンする。
「でも……どうして伊邪那美は私を追い返したんだろう?」
「それは多分……アシッドタイガーを倒すために神懸りで力を借りた神様が伊邪那美だったからかな?」
「そうだったの!?」
びっくりっ!! と目を丸くしている。もはや挙動のひとつひとつが可愛すぎる。
「あぁ、その時は『黄泉への誘い』っていう敵の魂を刈り取る権能を使ったんだけど……。その時に僕に『黄泉がえり』の権能を与えてくれたんだろうね」
「権能…はよく分からないけど、とりあえずデウスと伊邪那美さまに感謝しなきゃね!!」
「そうだね。ちなみに神々には様じゃなくて命っていう敬称を使うんだぞ?」
「うーん…よくわかんない! とりあえず、ありがとっ!!」
相変わらずなフィリアは考えるのを放棄した。そんなところも愛おしいものだ。
「それはそうと……これからどうしようか?」
「そうねぇ……とりあえず、このまま寝ときましょ?」
そうだな、と承諾したデウスはとりあえず休むことにした。
「デウス、くっついてもいい?いいよね?」
有無を言わさずフィリアがくっついてくる。
「あぁ。一緒に寝よう」
「ふふっ……」
珍しく素直なデウスの反応にフィリアはにやけながらデウスの腕に頭をのせた。




