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076 コレクター、装飾を外す

 バーで操られていた獣人に襲われたことを説明した俺は、問題のチョーカーを取り出した。


「これがそのチョーカーですか。……では失礼して〈鑑定(フィンド)〉」


 シウニンさんが鑑定の魔法を使う。

 〈鑑定(フィンド)〉がどこまで分かる魔法なのかは分からないが、少なくともヒントにはなるはずだ。


「……魔法が使われた痕跡は残っていますが、なんの魔法までかは分かりませんね。宝石も魔法の起動装置になっているだけの普通の宝石ですし、本体もただの革の帯です」

「なら試しに付けてみようかな」

「ダメですよ! もし操られたらどうするつもりですか!」


 それもそうだ。分からないだけでまだ魔法が発動する可能性はある。

 でも外すだけで解除されるしいいんじゃないかなーとも思ったが、俺が操られた場合どうなるのだろうか。

 魔法だけでなくアイテムも好き勝手に使って戦いそうだ。俺の知らないところでアイテムが消費されるとか許せない。絶対付けないぞ。


「とりあえず今後もそういう操られた人……獣人とかが現れたら危険だ。エリィとドレイクを探しながら観光でもするか」

「だね」


 適当に観光でもして時間を潰そうとは思っていたが、するなら集団で行動した方が良さそうだ。

 まあドレイクがいるから襲われても何とかなりそうだが、面倒なのは確かなので探そう。


* * *


 エリィとドレイクが合流し、五人全員が集まったため夜まで観光を続けた。

 観光後は予約していた宿屋に向かい、一旦一番広い男部屋に集まった。


「獣王戦が一週間後にあるからそれまでは自由……のはずだったんだけど、俺を狙ってくる奴がいるからそいつらを探そうかと思ってるよ」

「まあそうなるな。もしかしたら……というか、かなりの高確率でジャスターの仲間だろうしな」


 俺が狙われるとすれば、ジャスター関係しか思い浮かばない。

 恨まれる覚えは……ジャスター以外はルディオくらいしかないからね。


「でも探すってどうするのよ?」

「それなんだよねぇー。なんの手がかりもないし、結局普通に観光しながら待つしかないかなー」


 こちらから探しに行きたいところだが、国が大きすぎるし、そもそも手がかりもないので探しようがないのだ。

 俺を狙っているのなら俺が狙われるように歩き回っていればいいので、結局観光をすることになってしまう。


「ならば明日は宝石店に行くのじゃ!」

「なんでよ!? 今日も行ったでしょう?」

「明日、珍しい宝石が入荷するんだってさ。できれば集団で行動したいんだけど、どうする?」

「……どうせ行きたいところもないし、ついていくわよ」


 あの宝石店はなかなかに高級な宝石を取り扱っていたのでお気に入りだ。

 宝石は見ているだけでも楽しいので買わなくても楽しめるしね。もちろん大量に買うのだが。


「私は商談をするので王城に行こうと思っています。戦闘になっても足手まといですし」

「それじゃあ四人で観光かな?」

「そうだな。戦闘訓練もしたいから、時間が余ったらアルゲン平原にも行こうぜ」


 アルゲン平原とは、海沿いにあるアルゲンダスクから山までの間にある平原である。

 それなりの広さがあり、魔獣系のモンスターも出るため戦闘にはピッタリだ。

 そのモンスター自体はそこまで強くないらしい。RPGあるあるの街の周りモンスターそこまで強くないってやつだ。


 その後男子と女子に分かれて寝ることに。

 三人部屋と二人部屋を予約したので男部屋が三人部屋だ。

 腕輪やネックレスなどを外していると、二人の視線に気づく。なにさ。


「その腕輪ってどんな効果があるんだ?」

「これは単純に魔力の底上げと、属性の耐性強化だね」


 自分の扱える最大魔力を底上げすることができる腕輪だ。

 これを付けただけで魔力を大きく消費する魔法の使用回数を増やすことができる。

 基本的には特別何かの属性などに特化した装備にはしていないのだが、何か一つの攻撃力を極めるのならそういう装備で固めてもいいかもしれない。


「ち、ちなみにその腕輪だけでどれほどの魔力なのですか……?」

「第五回復魔法の〈全体全回復(ヒールオール)〉が……二回くらいかな?」

「ひえっ……」


 そもそも〈全体全回復(ヒールオール)〉を知らないシウニンさんは想像しただけで恐怖を感じたようだ。

 〈全体全回復(ヒールオール)〉はその名の通り複数人を全回復する魔法である。

 『トワイライト』内と同じ仕様らしく、発動と同時に地面に魔法陣が描かれ、その上に乗った人全員が回復するという魔法だ。

 レイドボスなどで複数パーティーが交代しながら戦闘をする時に重宝する魔法である。

 それ以外の普通のパーティーだと〈全回復(ヒール)〉が良く使われるかな。


「このネックレスは自動回復の回復量を増やす効果があるね。こっちの指輪は第二攻撃魔法の無効化。この指輪は魔法を受けた時に少しだけ魔力を吸収してくれる指輪。あとは……」

「ちょ、無敵じゃないですか!」

「単純な勝ち負けだとまず負けないですね。それでも勝利条件が違うと負ける可能性は十分にあるんで油断はできません」


 例えば、ジャスターに逃げられることが負けという時に俺は止めることができなかった。

 殺し合いをすればまず負けないが、相手もこちらの強さを知っているため正面から戦闘はしないだろう。

 したとしても、こちらの強さを把握するために戦うくらいか。

 そんなことを考えながら指輪を外していく。一つの指輪を残して、全ての装飾品を取り外した。


「その指輪は外さないのか?」

「ああ、これは……うん。外さない」

「なんでだ?」

「俺の帽子と同じようなものだよ」

「……なるほどな」


 特別な効果はあるにはあるのだが、問題はそこではない。

 俺の黒いキャスケットと同じように、これは装備した状態で過ごしたいのだ。

 まあ寝る時は流石にキャスケットは外すんだけどね。

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