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153 コレクターたち、隕石を割る

 魔法やポーションで攻撃力を底上げし、〈浮遊(フロート)〉を自分とカリウスに掛ける。

 あの隕石を割るにはまず中心を思いっきり斬るしかない。その割れ目を攻撃し崩していくのだ。


「カリウス! いける?」

「任せとけ!」


 カリウスは『騎士剣エクスカリバー』を構えると、魔力を放出した。

 黄金の光が刀身を包み込み、隕石で覆われた暗闇を照らす。

 『騎士剣エクスカリバー』は魔力を込めた時に光が迸り、刀身を伸ばす特徴がある。

 ただの剣の斬撃ではあの隕石を斬ることはできないが、この剣ならばある程度まで斬ることが出来るはずだ。


「おお……こりゃまだまだ溜められるぜ」

「じゃあ限界まで溜めてからお願い。ドレイク、俺たちも準備しよう」

「了解じゃ!」


 下から斬るのはカリウスに任せて、俺とドレイクは割れ目ができるであろう側面で待機する。

 それにしても大きすぎる。小惑星が落ちてきたのではというサイズ感だ。もはや目の前は壁である。


「その手に持っているものはなんじゃ?」

「『マジックグレネード』だよ。こいつをいくつか隕石の内部に入れる」


 俺がストレージから取り出したのは『エクスグレネード』、火の魔石を使用した最上級のグレネードだ。ちなみに『スタングレネード』は光の魔石を使用したグレネードね。

 威力は高いが周りを巻き込むのでソロの時に重宝したアイテムでもある。ほぼ確定で動きを止められる威力なんだもの。なんでみんな使わないんだろうね。


「内部って、どうやって入れるつもりなんじゃ?」

「そこでこちら! 『マイニングピッケル』!」


 新たに取り出したアイテム、『マイニングピッケル』。こいつは自分の土地や洞窟を削ったりできるアイテムで、初期は少しずつしか削れないクソアイテムだったが度重なるアプデにより範囲指定ができるようになった神アイテムだ。

 これでめちゃくちゃおしゃれな庭園を造ったプレイヤーがSNSでバズっていたのをよく覚えている。

 そしてそんな手の込んだ庭園などを見たプレイヤーは口々にこう言うのだ。「クラフトゲーに行けよ」と。


「よっこいしょ!」


 範囲を最長にするイメージで『マイニングピッケル』を隕石に当てると、ボコボコボコボコと気持ちいい音と共に直径一メートルほどの穴が開いていく。

 流石に半分も削れていないだろうが、奥に『エクスグレネード』をぶち込めばかなりの威力になるはずだ。

 カリウスが魔力を溜めている間にどんどん設置していこう。


「〔ロングショット〕」


 『職業の書』で【弓使い(アーチャー)】になった俺は、〔ロングショット〕で『エクスグレネード』を奥に設置する。

 この作業を続けていこう。地味な作業だが効果的なはずだ。


「むぅ、やることがないのう」

「ドレイクはヒビに向かって爪で攻撃してくれるだけでいいと思うよ。ドラゴンの鉤爪ならヒビを広げることくらい楽勝でしょ?」

「うむ、もちろんじゃ。ならば、今のうちに力を解放しようかの」


 ドレイクは青い炎を纏い、爪を竜化させ魔力を滾らせていた。

 どこを狙うだとか、威力を抑えるだとか、そういうのを考えないドレイクは最強だ。突発的な威力では敵わないだろう。


「なんか映画みたいだ、これ」


 昔の映画にそんなものがあった気がする。

 ファンタジーの爆弾でどうにかなるだろうか。縦に割れるように爆弾を設置しているが、いつ終わるのかも分からない。あまりにも大きすぎる。

 と思ったら頂上が見えてきた。測ったわけではないが十キロメートルは軽く超えているはずだ。

 これならまだ可能性はある。反対側にも爆弾を設置していく。


「レクト! 準備はいいか!」

「いいよー!」


 まだ途中ではあったが、一回目の斬撃をさっさとしてしまおう。

 さて、これでどうなるか。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


 金と銀の輝きが隕石に衝突する。

 いつの間にか鎧を着ていたらしい。剣と呼んでいいのか分からないほどの大きさになった光は隕石を軽々と切り裂いていく。

 途中、俺の設置した『エクスグレネード』が連鎖的に爆発していく。

 ヒビが広がっていき、割れる……かと思ったが割れない。やはり反対側の爆弾が足りなかったか。


「ここじゃあああああああああああ!!!」


 ドレイクの叫びと共に衝撃波が風となって襲い掛かる。

 爪で攻撃したのは反対側、ヒビが広がり切らなかった場所だ。

 クレーターができた隕石にヒビが広がっていく。そしてついに……


「割れた!!!」


 隕石は真っ二つに分離した。

 ここからが後半戦。この隕石をさらに割り、普通の岩のサイズまで小さくしなければならない。

 だが……


「時間が……!」


 地上はもうかなり近づいている。

 再び悠長に爆弾を設置している時間はない。


「みんな! 右の隕石を全力で壊して!」

「了解!」

「おーーーう!」


 俺の指示に、カリウスとドレイクが返事をする。ドレイクのあれは返事なのか。

 下に待機していたルインにも指示を出す。この先は時間との勝負。ソロでのボス攻略と同じだ、効率的に魔法を当てていく。

 片方の、右の隕石はみんなに任せて俺は左の隕石を海に落とす。絶対に間に合わせて見せるぞ。



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