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152 英雄は駆け付ける 後編

 レクト、俺がキャラメイクした中性的な顔立ちの男。

 そのレクトが発光しながら空を飛び、落ちてくる隕石を見据えていた。


「な、なんで?」

「選んだんだよ、この神がな」


 パンパンとライトさんが浮遊するクリスタルを叩いた。

 神は生き物ではないと道中聞いていたが、まさかこのクリスタルが神だとは。

 そして神に選ばれたということはつまり……


「ライトさんと同じってこと!?」

「そうなるな。ちなみにあの光は生き返ったときの光だ。特別な力を手に入れたとかじゃない」

「飛んでるのは〈浮遊(フロート)〉か……」


 〈浮遊(フロート)〉で空を飛び隕石をどうにかしようとしているのだ。

 『トワイライト』の魔法でどうにかなるだろうか。あの大きさの隕石を破壊、もしくは消滅させるとなればレベル5の魔法でも簡単にはいかない。


「きっと何とかしてくれる、レクトくんなら」


 自信あり気にアルカナさんがそう言う。


「そうかな、ちょっと不安かも……」

「一人でレイドボスを相手に戦っていた人間のセリフではないな」

「うっ、それは……でも効率的に破壊していけば何とかなる……のかな?」


 多くのボスやレイドボスをソロで討伐してきた俺は、威力の強い魔法を効率的に当てていた。

 レベル5の魔法を何度も使い組み合わせれば巨大隕石を破壊することだってできるかもしれない。


「俺たちに出来ることは見守ることだけだな。こいつが選んだんだ、やってくれるさ」

「ふ、不可能だ! 見ていろ、壊れていく世界を!」

「おうよ、お前も見とけ。壊れていく計画をな」


 ライトさんはそう言うとモニターを大きくし、全員がはっきりと見ることが出来るようにした。

 ああ、あのアバター。確かに俺だ。そしてあのキャスケットは……確かに、アルカナさんの物だ。

 見守るしかできない。頑張れ俺。お前が俺なら、その帽子を返すまでは死ねないだろ。


* * *


 気が付いたら空中にいた。

 何この状況。俺死んだんじゃなかったっけ。

 身体も光ってるし、ナニコレ。


「って、隕石!?」


 空を見ると、遠くに巨大な隕石が見えた。

 ということはここは天界ではなく地上らしい。再びこの世界に戻ってきたのだ。


「あれを止めなきゃだよね」


 幸い隕石が落ちてくるまでそれなりの有余がありそうだ。


「でかすぎない……?」


 とりあえずだいたいの大きさを把握するため隕石を観察したが、これはいけない。絶望しかない。

 現実でも隕石が見えたらこんな気持ちになるのだろうか。普通に諦めたくなる。

 ここは俺一人ではなく仲間たちの力を借りるべきだろう。ゲートを開いた島の上空にいるようなので一旦地上に降りよう。


「みんなただいまー」

「レクト! 何がどうなってんだこれ!?」


 着地と同時にカリウスが詰め寄ってくる。

 他のみんなも状況を知りたいのか集まってきた。


「話すと長くなるんだけど……簡単に説明すると敵が神の力を使って隕石を落としたんだ。んであの隕石の落下を阻止しないといけない。分かる?」

「分かるけど分かんねぇよ」

「ああ、やっぱり隕石は落ちるんだね……」


 ルインが隕石を見ながら落ち込んでいた。

 逆に言えばルインが視た未来はほぼ確実ってことじゃないか。もっと自信を持ってほしい。


「ルインの力も借りたい。俺の隕石を消滅させた時みたいに、〔ブラックホール〕を使ってほしいんだ」

「分かった、出来ることは何でもするよ」


 〔ブラックホール〕があれば巨大な岩程度になった隕石を消すことが出来る。

 地上に落ちる隕石の被害を減らすことが出来るのだ。


「オレは何をすればいい?」

「隕石の破壊、というか削りかな」

「削り?」

「流石に大きすぎるから、隕石を割って大きさを分散させたいんだ。カリウスの剣なら斬れるかもしれない」

「あれを斬るのか……」


 カリウスには隕石の破壊を手伝ってもらう。

 俺が即興で考えた作戦はこうだ。


 まず隕石を割って分裂させる。そして大陸ではなく海に落とすために魔法で動かす。

 大陸に落ちそうな隕石などはさらに割ってルインの〔ブラックホール〕で消滅させる。


 どうだ、この完璧な作戦は。その後は海に落ちたことによる波なども抑えたい。やはり落下速度を減らしたり隕石そのものの大きさを小さくしていく必要もある。

 成功するかは分からない。だがすぐにでも行動しなければ間に合わなくなってしまうかもしれないのだ。

 俺は急いでカリウス、ルイン、ドレイクに作戦を説明する。ドレイクも俺とカリウスと同じ隕石に直接攻撃をする係だ。


「他のみんなは俺の〈空間移動(テレポート)〉で各地へ転移させるね。津波とかの被害が出ないように海際の街で非難を呼び掛けてほしい」

「了解したぞ、海際の国といえば我らがアルゲンダスクであるからな!」

「よし、じゃあ作戦開始だ」


 作戦通り、俺は〈空間移動(テレポート)〉で海際の街に戦士たちを転移させていく。

 アルゲンダスクの大王であるゴルドレッドも、直接港町に転移させた。彼らならきっと上手くやってくれるだろう。

 各地に転移させ終えた俺は島に戻り、覚悟を決める。根上、お前の計画もこれで終わりだ。

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