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148 コレクター、錬金術師と天使に会う

「レ、レクト!?」

「え、誰」


 部屋に入った途端、オッドアイの天使が俺を見て驚いた。

 何、あっちの俺ってもしかして有名人なの? 今のところ百パーセント知られてるんだけど。

 俺が困惑していると、相手も混乱し始めたのかこちらの顔をじろじろ見てくる。くそ、顔が良い。


「よく見ると違う……? いやでも雰囲気は一緒よね……」


 ぶつぶつと呟きながら考え込む少女。先ほどの天使とは違いこちらは口調が柔らかくない。

 部屋にいる天使はオッドアイの天使以外おっとりした雰囲気なので少し違和感がある。

 そして最も気になるのはオッドアイの天使の周りに複数人の天使が立っており、かざした手を光らせているということろだ。


「これは、何をしてるんだ?」


 よくぞ聞いてくれたライトさん。


「人と合わさった天使を受肉させようとしているのです」

「ほう? じゃああの子の身体には人間と天使の魂が宿っているのか」

「その通りです、話が早くて助かります」

「話の長いあのクソとは違いますね」

「全くですね」


 穏やかな性格かと思いきやとんでもなく黒いものが見えた。

 天使ってそういう感じ? 口調だけ柔らかくて罵倒とか平気でする感じ?


「ああ、そうでした。彼らは何者なのですか?」

「驚かないでください、なんと、この方はあの伝説のライトなのです」

「あの伝説のですか」

「ええ! あの伝説のライトが何故ここにいるのですか!?」


 天使たちがライトさんの正体を知り大はしゃぎしている。

 俺が言われているわけではないのでまだ大丈夫だが、これはかなり恥ずかしいのではないだろうか。


「クソ恥ずかしいんだが?」

「多分これが素ですよこの子たち、諦めてください」

「んんっ、そうだ。俺がライトだ。あの世界を破壊しようとしている奴らをぶっ飛ばしに来たんだ。んでこの二人は途中で俺を助けてくれた人たちだ。よろしくな」


 天使たちがキャッキャしているなか、オッドアイの天使はまたしても何かを考え込んでいるようだった。


「ライト……確かレクトにドレイクが話していたわよね……」

「レクトくん、彼女はあちらのレクトくんをよく知っている人間かもしれない」

「まあ呼び捨てだしね……」


 独り言から聞こえてくる俺の名前は、全て呼び捨てだった。

 ということはある程度親しい間柄か、敵対しているかだろう。今の様子から見て敵対しているとは考えにくい。

 よってあっちの俺と親しい人間だと推測できる。この子から話を聞いた方がよさそうだ。


「え……? 今レクトくんって……でもレクトは……あれ?」

「なんて説明すればいいのこれ……えーっと、俺はこっちの世界のレクトで、君が知ってるのはそっちの世界に行ったレクト。で分かる?」

「全然分からないわよ……」


 俺もそう思う。そもそもこうなった原因などを最初から説明したところで理解できる自信がない。一つ一つゆっくり解き明かしていかないと無理でしょ、こんな話。

 どう説明しようか悩んでいると、見かねたアルカナさんが会話に参加してくる。


「彼は君の知っているレクトくんの元になったレクトくん、というわけだ」

「元になった……まだ混乱してて分かってないけど……うん、少しだけ分かった気がするわ」


 あっちの俺からこちらの世界の話や突然飛ばされたなどの話を聞いているのだろう。そうじゃなかったら今の説明で理解はできない。

 やはりあっちの俺はコピーで増えたことを知らないんだろうな。


「自己紹介が遅れたな。アルカナだ、こっちはレクト」

「私がエリィで、天使の方がセラフィーよ。はい! よろしくお願いしますね!」


 エリィと名乗った少女は唐突に周りにいる天使のような口調に切り替わった。

 最後に喋ったのが中にいる天使なのだろう。


「ああ、よろしく。それで聞きたいことがあってな。根上と、あっちのレクトはどこに行ったんだ?」

「根上、は分からないですけど、レクトは一緒にいた人と話し合いをするとか言ってました。どこでするかは聞いてないです」

「話し合い、確か近くに会議室があったか。それに異世界から来た者の対応をするということはそいつが根上? だと思っていいだろう」


 話し合いか、捕まっているわけでもなく戦っているわけでもない。あっちのレクトは今どういう状況なのだろうか。


「争っていないということは急ぐ必要はないのかもしれないな。レクトはゲームのような魔法が使えるんだろ? 負ける要素もないし、俺たち要らないんじゃないか?」

「無駄足だったってこと?」

「いや、その交渉に俺たちも口出しができるかもしれない。魔術師とまともな話し合いができるとは思わない方がいいぞ」


 魔術師やばい集団じゃん。いや実際そうなんだろうけど、本当に信用ならないな魔術師は。

 ちなみに研究者もなんだかんだ胡散臭いから信用ならない。もう何も信じられない、アルカナさんしか信じられない。


「情報収集というよりも、状況確認を優先した方がいいだろう。レクトくんのしようとしていることなどを簡単に説明してもらうことはできるだろうか?」

「簡単に……セラフィーお願いできる? はい、任せてください。レクトさんはですね――――」


 エリィ、ではなくセラフィーがあっちの俺について語り始めた。

 小さな領土の領主になった話や、各国を回り国宝であるカギを手に入れた話。敵であるミカゲとの戦いなどを聞いた。

 話を聞いている途中で、その国宝がライトさんの言っていたカギだと発覚する。

 色々な冒険をしていたらしいが、一つ分かることがある。あっちの俺はちゃんと俺だったということだ。


 その後こちらからも説明をして、状況確認を行った。

 状況を確認して方針がある程度決まる。話し合いで解決するのならそれに越したことはない。

 まずは会議室に行き、こちらからも意見を出していこう。

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