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127 決戦直前

 俺を先頭に、カリウス、ドレイク、ルイン、エリィが前へ進んでいく。

 カリウス以外は空を飛んで。カリウスは走って追いついてきた。狂ってると思う。速すぎる。

 迫りくるモンスターを蹴散らしながら進むと、向こうからも三人の人影が見えてくる。

 黒い髪の猫の獣人に、ピンク色の髪をした悪魔、魔術師ローブを身に着けた黒髪の男。

 敵が全員揃っている。まさか全員で突っ込んでくるとは思わなかったが、これはチャンスだ。戦力的にもこちらが有利、一気に倒せるかもしれない。

 流石にいきなり攻撃をするというわけにもいかず、一旦お互いに距離を取りながら様子を見る。


「オラァ! カギ持ってんのは誰だァ!!!」

「レクトに……エリィ? だけかい?」

「ちょっとぉ、もう一人はー? 予定とちがーう」


 この場に居てカギを持っているのは、俺とエリィだ。

 向こうも、カギだけを一気に手に入れようという算段だったのだろう。


「裏か……面倒だね」

「僕が行くぞ! こいつら以外は雑魚なんだろ!?」

「そう甘く見るものではないよ。でも、うん。ジャスターで十分だろうね。私はレクトと戦わせてもらおうかな」


 ほう、ジャスターで十分か。甘く見られたものだ。

 とはいえ、最高速のジャスターを相手にした場合大王でも危ない。早めに始末してしまいたいが、ここで攻撃を仕掛けたらミカゲも戦闘態勢に入る。

 それならば、ジャスターの追跡を誰かに任せて俺はここでミカゲを相手に戦うのがいいか。

 人数差的にこちらが有利。大丈夫、ミカゲさえ倒せばこちらの勝利だ。


「多対二じゃ流石に不利だよね? 降参するなら今のうちだけど」

「ふむ。どうやら私の魔術を知らないようだね……ジャスター、行っておいで」

「よっしゃ!」


 ジャスターをカギの入手に行かせるようだ。

 私の魔術を知らない、とはどういうことだろうか。確かに知らない部分は多いが、それがこの状況と関係あるのだろうか。

 セラフィーからの情報では、俺よりも、第五魔法ほどの魔法は使えないと聞いているが。


「ドレイク、頼める?」

「むん、任せるのじゃ!」


 ドレイクの戦術は味方が多いと不利になる。ジャスターに匹敵する速度もあるため適任だろう。

 ジャスターは真っ先に後方へ走り、誰がカギを持っているのかを把握するはずだ。その間に追いつくことはできる。

 黒い影がびゅうんっと風になる。ドレイクも、それに続くように翼を生やして高速飛行を始める。


「さて、これで四対二になったわけだけど……どうする?」

「レクトくん、あたしリスティナと戦いたいなって」


 ルインが戦いたいというのならやらせるべきだろう。

 同じ悪魔同士、何か思うところがあるのだ。きっと。

 というか魔王なのだから、国民が世界の破壊に加わっているという事実が許せないのかもしれない。

 とにかく、リスティナはやる気を出しているルインに任せよう。


 そうなると、俺、カリウス、エリィの三人でミカゲと戦うことになるのか。

 三対一。人数差ではかなり有利ではある。あるが、ミカゲ一人を相手にした場合範囲攻撃などで対処されてしまうかもしれない。

 しっかりと連携を取りつつ、お互いの邪魔をしないように戦えば大丈夫だ。多分。


「……三対一になったわけだけども?」

「変わらないさ。三人で掛かってくるといい。ご指名だよ、リスティナ」

「え~、レクト様に指名されたかったぁ~」


 俺がリスティナを指名したら面倒なことになりそうだ。

 魅了を無効化する指輪があるためカリウスよりは向いているのだろうが、それはそれ。普通に苦手意識がある。


「じゃあね~レクト様」

「ルイン、絶対勝ってね」

「もちろん。誰だと思ってるの」


 こちらにウインクしながら手を振ってくるリスティナを無視しながら、ルインの背中を押す。

 ルインは自信満々な様子でリスティナの元へ向かう。どうやら少し離れた場所で戦うらしい。

 流石にここで戦ったら乱戦になるからね、全員が離れてくれれば俺としてもやりやすい。


「もういいんだよね、俺たち三人で戦うけど」

「何度も言うが、掛かってくるがいいさ。正直、全員を私一人で相手にしても問題ないと思っているくらいだからね」

「随分と自信があるみたいだね……」

「あるさ。この環境で負けるわけがない。ジャスターとリスティナに戦わせているのは、働かずに現実世界に行かせるのが嫌だからさ」


 働かずに、ね。

 つまりは、自分一人で全部どうにかなる状況だけど舐めプしてますってことだ。

 ゲーマーとして舐めプはちょっといい気がしないが、舐めプをされていなかったら一気に攻め込まれていたのでは、と考えてゾッとした。


「こいつ……!」

「レクト! さっさと倒すわよ!」

「うん、でも慎重にね。相手の技が分からない以上、むやみやたらに攻めるのは良くないから」


 俺の言葉に二人は深く頷く。

 これはただのPvPではない。PvPはある程度相手の情報がある前提で戦うものだ。

 知らない魔法、技術を持つ相手とのPvPは初めてになる。どちらかというと、追加されたばかりのダンジョンのボスを討伐するときに近いかもしれない。

 プレイヤーだと思ってはいけない、あれは人型のレイドボスだ。


 後方でジャスター、中央でミカゲ。奥の岩山でリスティナとそれぞれ戦うことになる。

 ドレイクとルイン、その他戦士たちの健闘を祈り、俺はカリウスとの戦闘に備え魔法の準備をするのだった。

やっとこさ最終決戦開始でございます。

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