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118 コレクター、世界会議で魔王と会う

 トワ村に帰ってきてからしばらく経った。

 ルインから過去の話は聞けていないが、やはりここは俺から聞くべきなのだろうか。

 聞かれていないから話していないだけで、軽く聞いたら話してくれるかもしれない。

 いやでもルインなら話したくないことでも俺が聞けば答えそうなんだよね……うん、いつものように保留ってことで。


「レクト様、王都から兵士様が来ましただよ」

「兵士が? 分かった、すぐ行くよ」


 村人が兵士が村に来たことを教えてくれたので、修行をやめ村の入り口に急ぐ。

 トワ村に兵士が来るなんて何事だと思ったが、村の入り口にいるのは普通の兵士だった。

 騎士がついているわけでもない。ということは何かの知らせだろうか。


「レクト様。王城よりお手紙を預かってまいりました」

「手紙?」

「はい。こちらになります。渡すだけでいいとのことですので、帰らせていただきます」

「あ、はい。お疲れ様」


 手紙を渡した兵士は、そそくさと馬車に乗り込み帰ってしまった。

 仕事が早いなぁなんて思いながらも手紙を開く。


『呼び出しの知らせ。ロンテギア、シャムロット、アルゲンダスク、オルタガの代表を集めた世界会議を行うため、指定された日に王城に来られたし。』


 そこまで読んだところで、俺は〈空間移動(テレポート)〉を発動させトワの森で修行をするみんなに知らせようとしたのだった。


* * *


 世界会議当日、今回参加するのは俺、ドレイク、カリウス、エリィ、ルインの五人だ。

 他の国からは二名ほどらしい。ロンテギアだけ人数が多いのは、俺が中心人物だからだそうだ。

 特別待遇なのは嬉しいが、いよいよ本格的に世界を守る準備が始まるのだなと感じてしまう。

 ちなみにシウニンさんも誘ったがめちゃくちゃ嫌がられた。まあ仕方ない。


「こないだぶりです、タランテさん」

「こんにちは。まさかこのようなことになるとは思いませんでした」


 王城に到着すると、広間にはシャムロットの女王であるタランテさんがいた。

 その隣にはティルシアもいる。シャムロットから来たのはこの二人らしい。

 タランテさんとはティルシアの送り迎えで高頻度で会っているためあまり久しぶりという感じもしないね。


「昨日ぶり、ティルシア」

「レクトお兄ちゃんだー!」

「おーよしよし」


 ティルシアはそう言いながら俺に抱き着いてくる。

 俺にとってはいつものことだが、兵士からしたらシャムロットの王女に抱き着かれている男になるわけで、視線が怖い。


「ねえ、世界会議に私が参加してよかったの? なんだか、場違い感がすごいんだけど……」

「今更何を。というか、この世界のトップ戦力の一人なんだから当然でしょ」

「あー、そう言われてみればそうね……私の戦力って世界上位なんだった……」


 少し前までただの村娘だったエリィが今は世界を守るための重大な戦力になっている。改めて考えてみたらとんでもないことだよね。

 俺たちが贔屓されているような感覚もあったが、戦力という面で考えてみれば呼び出されるのは当然のことであり、ロンテギア代表とかは関係ない気がしてきた。


「ガハハハハハハ! 相も変わらず小さな王城であるなぁ!」

「我が王! なんてことを言うのですか!?」


 お、アルゲンダスクの大王様も到着したようだ。

 かなり失礼なことを言いながら入ってきた大王は、トレバーさんに注意されるも気にしていない様子だ。

 ぶっちゃけロンテギアの王城って他国に比べたらかなり小さいので、何も言い返すことができない。

 ついでに言うと、一部を破壊されたばかりなのでぼろくなっていたりする。悲しい。


「久しぶり、ゴルドレッド」

「おお! レクトではないか! 久しぶりであるなぁ」


 次に会ったときに名前で呼ぼうと思っていたのだ。

 ゴルドレッド、うん、ライオンの獣人らしく強そうな名前をしている。


「レクト、広間じゃなんだし大会議室にでも行くか?」


 大王と会話をしていると、カリウスがそんなことを言い出した。

 今俺たちが待機している場所は大広間だ。しっかりと広いため狭くはないんだが、どうせ話をするのなら会議室に行けばいいという提案だろう。


「せっかくだしもう少しここにいるよ。全員集まったらどうせ向こうに行くし」

「そうか。しかし魔王ってどんな奴なんだろうな」


 そう、まだ魔王が到着していないのだ。

 俺はてっきりオルタガまで魔王に会いに行き、国宝を手に入れ会議に参加するようお願いするものだと思っていたのに。


「魔王? レクトよ、魔王ならばすでに来ているだろうに」

「え、どこ?」


 『サーチゴーグル』とかつけないと見えなかったりする?

 でもそうなると大王に見えているのは何故だ。


「すぐ隣にいるだろう。久しぶりであるな、魔王よ」


 大王の視線の先には……

 ルインがいた。

 ルインはため息をつき、気だるげに前に出てくる。


「あーあ、ここでバラしちゃうんだ。面白くないなー。はいはい久しぶり、大王」

「ええええええええええええええええええええええ」


 世界が止まった。

 嘘じゃん。ルインが魔王で魔王がルインだったの?

 ちょっと意味が分からない。ずっと一緒にいたじゃんか。なんで言ってくれなかったの。

 リスティナよりも強い魔力を感じてたし、明らかに強いなとは思ってたけど悪魔の強さってこんなもんなのかもって納得しちゃってたんだよ。


「ちょ、レクトくん驚きすぎだよ? 普通に予想はできたと思うけど……」

「いやいやいや!!! 俺〔未来視〕持ってないし!」

「いやあたしの魔眼でもそういう予測は視えないけど……」

「うるさーい! なんで黙ってたの!? なんで教えてくれなかったの!?」

「聞かれなかったから……」


 マジで聞かれてなかったから話していないだけだった。

 というかここでバラすのが面白くないって……完全に楽しんでたじゃん。

 ちくしょう! やられた!


「次から大事なことは聞かれなくても話して! 約束!!!」

「分かったけど、これ以上の大事な話無いと思うよ」

「確かに! くそぉ!!!」


 俺だけでなく静かに困惑していたカリウスとエリィにもルインが説明し、やっと落ち着きを取り戻した。

 えーと、そう。世界会議やるんだよね。衝撃が強すぎて忘れかけてた。

 よし、魔王もいるし大会議室に入ろう。

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