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五限目 理不尽二次関数

 ——上から降りて、また上にいって。

 下から上がってまた上にいって。


 境目は丁度頂点。頂点であり原点⋯⋯。

 うん、仕組みや成り立ちは分かった。

⋯⋯で、これを何に使うんですか?


「じゃあこの二次関数のグラフを書いてみてください」


 二次関数のグラフを大人になってから描く機会は訪れるのだろうか?

 この先図形を描くようなこともないだろうしどうも必要には思えない。


 カツカツとチョークでグラフが描かれるのをボーッと眺めていた。


「はい、このようなグラフになります。皆さんあってましたか?

⋯⋯君、ちゃんと起きなさい!

隣の席ならちゃんと起こして!

まったく。高校生という自覚を持ちなさい!」


⋯⋯どうして僕も怒られなくてはいけないのだろう。

 隣では大きなあくびをして満足そうであるのに。


「あ?今どこやってんだ?」


 トントンと肩を叩かれる。


「教えませーん。自分で考えてくださーい!」


 他人のことまで見てられるかって話だ。そもそも授業で熟睡している方が悪い。


「はぁ、教科書貸してあげたんだけどなぁ」


⋯⋯!


 なんて奴なんだ。僕の弱みに漬け込んできた。これはしばらく使われそうだ。


「⋯⋯リコーダーを貸したり教えたのは僕なんだけどなぁ」


 これで借りは返したはずだ。よって僕は教える必要はない。


「ということで、僕は教えませんので悪しからず。じゃ、黙って怒られて来てくださーい」


 どうやら諦めたようで授業を聞き始めた。

 どっちにしろ今解いている問題が終われば次の問題を教えられるのだからそれまでぼーっとしていれば良いだけだ。



⋯⋯脇腹に違和感を感じた。


 まさかっと思い脇腹を見ると彼は突いてきた。


「⋯⋯ちょ、さすがに吹いたらやばいって」


「じゃあ今どこやってるのか教えろよ」


 自分のせいであるのにさらに僕に迷惑をかけるというのか。

 だが僕は大人であるから仕方なく教えてあげることにした。


「そんなことばっかしてまだまだ子供だなぁ。ほら、ここでちゅよここ!」


 教科書を指差すと。


「そこ!授業中の私語が多い!隣のひとが迷惑でしょう!」


 ほーら、怒られてやーんの。ニヤニヤして隣の顔を見る。


 しかし先生は僕のほうに来た。


「なにニヤニヤしてんの!まったく⋯⋯少しは隣に迷惑がかかるとか考えなさい!」



 うん、この世は理不尽である。


 コツコツとイライラしたように足音を立てて先生は黒板の方に戻っていった。

⋯⋯はぁ、これは一学期の成績は大変なことになりそうだ。


 隣では笑いを堪えているのか肩をプルプル震わせていてとてもムカつく。

 誰のせいにこんなことになったのか、しっかりと罪を自覚してもらいたい。

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