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三限目 音読の魔の手

 瞼が重い。

 どうして現代文の授業というものはこんなにも眠たくなるのだろうか?


 正直なところ現代文は日々使っている言語であるから別に改めて習う必要はないような気もするのだが、そんなことを言ったところで成績が下がるのは目に見えているので口に出すような真似はしない。


 こんな眠い時には今日の予定を妄想するのが一番だ。


 学校が終わったら部活は所属していないのですぐに帰り、本日発売のストロベリーチョコ鯛焼きを買いに学校から徒歩5分の鯛焼き専門店に行くという使命がある。


 そのあとは鯛焼きを頬張りながら電車に乗ってそのままお家へゴールイン!

 家ではスマホゲームをして過ごそう。

もちろん勉強も少々しよう。


 我ながら完璧な未来予想図ができた。

 やっぱり現代文はこの妄想に限る。


「はい、じゃあ次の人。読んでください」


 妄想のおかげか授業はいつのまにか佳境に入り僕の席の前の前の人が音読をしていた。

 もうすぐ僕の出番であるから教科書をめくり目を通しておこう。



⋯⋯どこを読んでいるんだ?


 授業を聞いていなかったとはいえそこまでの時間は経っていないはずだ。

 それなのに僕は何ページの何行目を読んでいるのかが全く分からない。


 いや、落ち着いて耳をすませば分かるはずだ。

 教科書を目で追いながら耳に入ってくる文字と一致するところを探す。

 しかし、一向に見つかる気配がない。


 他人に頼るのも尺であるが今回ばかりは仕方がない。

 ということで隣の席に座る狼の肩を軽く叩く。


 起きない。

 どうやらかなり深い眠りについてしまっているようだ。

 どうして授業を聞かないのだろう。いや、自分が言える立場ではないのだが。


 刻一刻と僕の番が迫ってくる。

 肩を揺さぶったりしても起きる様子がない。

 脇腹も効かない。

 熟睡だ。



 ついに僕の番が回ってきてしまった。

 結局読むところがわからないので素直に謝ろう。


「すみません、どこを読んでいるのか見落としてしまいました⋯⋯」


 先生は苦笑いを浮かべながら僕が読むべき場所を指した。


 今日は災難だ。

 クラス全員の前で赤っ恥をかいてしまった。


 隣の席を見ると少しニヤついていた。


⋯⋯こいつ、わざと寝たふりしていやがったのか。


 仕返しとして消しカスを隣の机に奴にバレないように少々飛ばした。

 とてつもなく恥ずかしくてその授業はほとんど窓の景色を見ていた。

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