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ゲーム嫌いがゲームを始めました  作者: なき
第3章 黄金の国ジョーヌ
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砂漠のカジノⅨ

 カジノにあるゲームはまだまだ豊富にある。

 『バカラ』をある程度遊んだラルドは、またしても別のゲームに挑もうとしていた。


「カジノに来たら、やっぱり一度は『ポーカー』で遊びたいよな! ルールはなんとなくしか分かんねぇけど……」


 そんなわけで、ノゾムたち3人は『ポーカー』が遊べる区画までやって来た。


 そこでは、ディーラーと1対1で対戦している人もいれば、ディーラーを入れずに複数人でテーブルを囲んで遊んでいる人もいた。

 先程のミエルがそうしていたように、プレイヤーが2枚ずつカードを持って、ディーラーが進行しているテーブルもある。


 ルールが「なんとなく分かる」と言っていたラルドは、それらの光景を前に、頭上にクエスチョンマークを浮かべた。


「えっと……?」

「『ポーカー』ならたぶん、リオンさんが詳しいよ」

「え?」


 口を挟んだノゾムにラルドは目を丸めて、後ろにいるリオンを見やる。

 リオンもまたきょとんと目を丸めて、「え?」と返した。


「……詳しくなさそうな反応だぞ?」

「いや、さっきリオンさん、めちゃくちゃ詳しそうな雰囲気出してたじゃないですか!?」


 ミエルが2枚ずつカードを配るのを見て「テキサスホールデムか」と呟いたり、カードをオープンにしたノゾムを怒ったり、ノゾムがポーカーに詳しくないと知って『ババ抜き』に変更してもらえるよう、交渉したり……。


 ババ抜きの時も完璧なポーカーフェイスを見せて、明らかに『場馴れしている』感を醸していたのに、なんで今さら詳しくない風を装うのか。


 ジト目になるノゾムを前にリオンはぱちくりと目をしばたかせて、困ったように頬を掻いた。


「えっと……まあ、知ってはいるけど……。そもそもポーカーって遊び方の種類が多いし、カジノでは遊んだこともないから、詳しいかって聞かれると……?」


 リオンは別に、場馴れしているわけではなかった。


 カジノでの遊び方をよく分かっていなかったからこそ、彼は早々にバーカウンターのほうへ行って、飲み潰れている客に声をかけたり、女の子をナンパしたりしていたのだ。


 ノゾムは訝しげに首をひねる。


「……なんでカジノに行ったことないのに、ポーカーは知ってるんですか?」

「父さんが、ポーカーとチェスは(たしな)んでおいたほうがいいって」

「英国紳士かよ」


 ラルドが思わずツッコミを入れる。

 確かに、ポーカーとチェスって、なんかイギリスっぽい。


「イギリス人ではないんだけどなー」


 リオンは「父さんの教えって本当に謎なんだよね」と言って肩をすくめた。


「それじゃあ、基本的なことだけでも教えてくれよ。あいつらが何やってんのか、オレ、全然分かんねぇ」

「うん、わかった」


 そんなわけで、リオン先生のポーカー講座は始まった。




 ***




「遊び方がたくさんある『ポーカー』だけど、基本的なルールは共通している。それが、トランプ5枚を使って『役』を作るってことと、数字には序列があるってことだ」


 トランプを1組借りてバーへ戻ってきたリオンは、テーブルの上にカードを並べながら、『ポーカー』の基本中の基本を説明した。


 ポーカーの『役』は、全部で9種類。


 ノーカード(役なし)

 ワンペア(5枚の中に同じ数字が1組あるもの)

 ツーペア(5枚の中に2種類のペアがあるもの)

 スリーカード(5枚の中に同じ数字が3枚あるもの)

 ストレート(5枚すべてが連続した数字であるもの)

 フラッシュ(5枚すべてが同じマークであるもの)

 フルハウス(5枚がワンペアとスリーカードになっているもの)

 フォーカード(5枚の中に同じ数字が4枚あるもの)


 そして、ストレートフラッシュ(5枚すべてが同じマークで、かつ連続した数字であるもの)。


「数字は大きいもののほうが強いんだけど、『A』だけは特別で一番強い。つまり最弱は『2』。同じワンペアでも『5』のワンペアの人と『7』のワンペアの人がいた場合、『7』のワンペアのほうが強いってことになる」

「へえ……ロイヤルストレートフラッシュは?」


 ラルドが首をひねりながら問う。


 ポーカーの『役』といえば、やはりそれが真っ先に思い浮かぶのだろう。ノゾムも唯一知っている『役』である。


「10、J、Q、K、Aで作られたストレートフラッシュをそう呼ぶね。めったに出ないけど、ゲームによってはスートにも序列がついていて、その場合はスペードのロイヤルストレートフラッシュが最強の役になるよ」

「おお! 最強の役!!」

「めったに出ないけどね」


 めったに出ないからこそ、『最強の役』なのだろう。

 ラルドは目をキラキラ輝かせている。『最強』という言葉に心を踊らせているようだ。


「トランプ52枚にジョーカーを加えることもあって、その場合は、ジョーカーはどのカードにもなれるんだ。たとえば手元にあるのがツーペアとジョーカーだったら、ワンペアとスリーカードにして『フルハウス』に変えることができる」

「ほお!」

「他は……細かいルールは、ゲームによって全然違うんだよね。数字の低いカードが強くなることもあるし、最初から1つもペアがなかったらその時点で負けになることもあるし。カードを伏せた状態から始まるゲームもあれば、表に向けた状態で始まるものもあって……テキサスホールデムは、そのどちらでもあるけど……」


 リオンは口元に手を当てながらブツブツと呟く。


「待って待って、覚えきれねぇ」

「『ポーカー』って、いったい何種類の遊び方があるんですか?」

「え、分かんない。100種類くらいかな?」

「ひゃく……」


 100種類って、それはちょっと盛り過ぎではなかろうか。


 リオンは「もっと多いかも」とか言いながら、テーブルの上のカードを集めた。


「基本はさっき言ったとおり。……とりあえず、一度やってみようか。ドローポーカーなら簡単だし」

「ドローポーカー?」

「5枚ずつカードを配って、1〜2回カードをチェンジして、『役』をつくるポーカーだよ。チップは賭けなくてもいいかな」


 5枚ずつ配り終えたあとは、残りのトランプはテーブルの中央に置く。

 配られたカードの中から、手元に残すカードと、変えるカードを選び、捨てたカードと同じ枚数を中央の山札から取る。


「最後にお互いの手札を開示して、一番強い『役』をつくった人が勝ち。今回は9とJのツーペアをつくったラルドの勝ちだね。運がいいなぁ」

「おお、やった!」

「チップを賭ける場合はもっとこう……駆け引きとか心理戦とかもあるんだけど、基本はこんな感じ。細かい遊び方はゲームによって本当にまちまちだから、遊ぶ前にディーラーに確認しておくといいよ」


 これにてリオン先生のポーカー講座は終わりである。

 見事に初勝利をおさめたラルドは得意げな表情を浮かべた。


 ちなみに今の勝負、ノゾムはノーカード(役なし)だった。

 2回もカードを交換する機会があったのに、何故1組も揃わないのか。


「おっし! さっそく挑戦してくるぜ!」


 ラルドはそう言って、意気揚々とポーカーの区画へと戻って行った。そこにいる人たちに教えを乞いながら、挑戦するのは『テキサスホールデム』である。


 テキサスホールデムは、ディーラーが配った2枚の手札と、ディーラーが台の上に開示した5枚のカードを使って『役』をつくるポーカーだ。


 2枚を配られた時点で、プレイヤーはチップを賭けるか、降りるかを決める。

 全員の賭け金が揃ったらディーラーは台の上に、まずは3枚、表向きに置いて、再びプレイヤーが賭けるか、降りるかを決める。


 4枚目の開示、5枚目の開示のときも同じようにプレイヤーが賭けるか降りるかを決めて、最後まで残っていたプレイヤー同士が手札を開示し、つくった『役』を競い合う。


 最後には勝者がそれまでに貯まったチップをすべて手に入れる、というのがゲームの流れだそうだ。



 ラルドは見事に負けて帰ってきた。



「後から考えたら勝ってたと思うんだけど、相手が自信満々にチップを積むから、てっきり負けたかと思って、途中で降りちゃった」

「『ブラフ』に引っかかったんだね」

「ブラフ」


 自分に良いカードが来ていると思わせて相手に降りてもらうというのは、ポーカーの常套手段らしい。


「悔しいから、また行ってくる」

「うん」

「でもコインが尽きちゃったから、お金貸して?」

「…………」


 ラルドは駄目なギャンブラーになろうとしていないだろうか。

 ノゾムはちょっと心配になった。

 ポーカーの遊び方は100種類以上あるといわれています。びっくりです。

 作者はドローポーカーしか知りませんでした(・∀・;)

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