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60 かんなぎ 巫 これからも、私たちはさ、ずっと一緒にいようね。

 かんなぎ 巫


 これからも、私たちはさ、ずっと一緒にいようね。


 郡山第三東高等学校オカルト研究会の部室の中に入ると、部室の中にはみんながいた。

 オカルト研究会の部長の朝日奈勝くん。唯一の二年生の野田葉摘。萌と同じ新入部員の新谷翔くん。そしてオカルト研究会の顧問をしている鈴谷林太郎先生。

 みんなはいつもの席に座っている。

 鈴谷先生も今は黄緑色の象のじょうろで観葉植物に水をあげているわけではなくて、きちんとパイプ椅子に座って、なにかの資料を読んでいた。(場所は朝日奈くんの少し斜め後ろくらいの位置だった)

 新谷くんはぼんやりとオカルト研究会のおんぼろな天井を屋上に行く前と同じように一人でぼんやりと見つめていた。

 二人がオカルト研究会の部室の中に入ってくると、新谷くんはみんなと同じように二人にその視線を向けて軽く、手をあげて、「よう」と言って、挨拶をした。

 

 萌と硯はみんなに挨拶をしてから、自分たちの席に座った。すると「真中先輩となにを話していたんですか?」と読んでいた文庫本を閉じてから、葉摘がそう萌に言った。

「それは秘密だよ」とにっこりと笑って萌は言った。

「そう。それは私たちだけの秘密なんだ。ごめんね、野田さん」と向こう側にいる硯が、いつものように棚に置いてあるロゼッタストーンの模型を手に取ってから、葉摘に向かってそう言った。

 萌はそれから葉摘がテーブルの上に置いた文庫本の表紙に目を向けた。そこには『1Q84』の文字があった。そのタイトルの横には緑色の数字で、『1』と言う数字が書かれている。第一巻という意味だ。(その文庫本は、屋上に行く前に読んでいた、ねじまき鳥クロニクル第一巻の文庫本ではなかった。どうやら葉摘は何冊か大好きな村上春樹の本をこうしていつも持ち歩いているようだった)


 テーブルの端っこみはみんなの分のお弁当がお茶のペットボトルと紙コップと一緒に用意されている。それは鈴谷先生のおごりのお弁当とお茶で、今日の反省会(という名前の食事会)は最初の予定から、こうしてオカルト研究会の部室の中で行うことになっていた。(なにしろ、三年生の萌たちにとっては、今日は最後の本格的なオカルト研究会の部活動の日だった。だからいつもの見慣れたオカルト研究会の部室の中で反省会をしようという話になっていたのだ)

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