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今日は夏休みの間だったけど、オカルト研究会の部活動ということで、みんなは郡山第三東高等学校の黒色の制服姿だった。
「やあ、おはよう。みんな、朝早いね」
そう言って、頭に寝癖をつけたまま、オカルト研究会顧問の鈴谷林太郎先生が、オカルト研究会の部室の中にやってきた。
「おはようございます、鈴谷先生」とみんなは鈴谷先生に少し遅めの朝の挨拶をする。
それから鈴谷先生は「先生、どうぞ」と朝日奈くんにパイプ椅子を用意されたのだけど、「あ、僕は大丈夫。僕はただの保護者だからね。窓際で外を見ながら、観葉植物でもいじっているから、みんなはみんなで、いつものように、部活動を続けていいよ」とにっこりと笑って鈴谷先生は言った。
鈴谷先生は夏休みの間も、相変わらずいつもの鈴谷先生だった。(薄手のスーツの上に白衣を着ているのも、いつもと同じだった)
鈴谷先生はそういう先生だとみんな知っているから、みんなはその言葉通りに部活動を続けた。
今日のオカルト研究会三年生の最後の本格的な部活動の内容は、『UFOを呼ぶ実験を今度は屋上で、もう一度試してみよう』というものだった。
それを提案したのは萌だった。
朝日奈くんや硯、葉摘はそこまでUFOの実験に固執しているわけではなくて、森の中にある社のあたりに出る幽霊を探すことで、オカルト研究会の夏休みの活動を終わらせようとしていたみたいだったけど、萌がUFOを呼びたいと提案したので、その案が多数決で決定されて、通ることになった。
「僕は別に構わないけど、早川さん。随分とUFOに固執しているけど、UFO好きなの?」と朝日奈くんは萌に言った。
そんな能天気な朝日奈くんの質問に対して、萌は「はい。UFO大好きなんです」と、にっこりと笑って、答えた。




