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「本来、UFOを呼ぶ実験は、『できるだけ空に近い場所、つまり学校では、屋上』で行うのがベストな選択だったんだ」ホットコーヒーを飲んでから、朝日奈くんがそう言った。

「へー。そうなんだ」メロンソーダを飲みながら硯が言う。

「じゃあ、校庭じゃなくて、屋上でやればよかったじゃん」

「その許可が終わりなかったんだよ。高いフェンスもあるし、今は安全だとは思うけど、……まあ、万が一の事故の可能性もあるし、それに屋上では、『昔、有名な事件も起きたでしょ?』 学校の七不思議の一つにもなってる女子生徒の転落事故。まあそういうこともあって、だから一応念のためにって言ってね。鈴谷先生がだめだってそう言ったんだ。だから、予定を変更して、急遽、校庭でUFOを呼ぶ実験をすることになったんだよ」と朝日奈くんが言った。

 その朝日奈くんの話を聞いて、そうだったんだ、と萌は思った。


 朝日奈くんの話した屋上での事故の話。

 それはかなり昔のお話で、その女子生徒の屋上からの転落事故の結果、郡山第三東高等学校の屋上にあるフェンスはその高さが、ふたまわりくらい大きくなったらしい。(その事故が、本当に事故だったのか、あるいはその女子生徒の本人の意思だったのかは、曖昧なままで、謎が放置されていた)

 朝日奈くんの言った通り、そのお話は今では郡山第三東高等学校の七不思議の一つとされている。そのお話の内容は、その女子学生の幽霊が今も屋上に出る、その目撃例もある、と云うものだった。

 なぜだか、生徒たちからの人気も高いらしく、よく新聞部が特集を組んだりしているらしい。(なぜそんなことを萌が知っているかというと、オカルト好きの親友、真中硯から、そう言ったオカルト話をよく聞かされているからだった)


「まあ、別に屋上でもよかったとは思うけど、鈴谷先生にだめだと言われたら、まあ諦めるしかないよね」

「そうですね」

 朝日奈くんの言葉に葉摘が同意をする。

「でも、すごく鈴谷先生らしいね」硯が言う。

「案外、鈴谷先生。本当は屋上に出る女子生徒の幽霊が怖いだけだったんじゃなの?」と笑いながら、新谷くんがそう言った。

 萌はそんなみんなの話をアイスコーヒーのストローに口をつけながら、ただ黙って一人で聞いていた。

 学校の屋上。女子生徒の幽霊。……UFO。異界の扉。……死者の世界への通路。

 そんな言葉たちが、萌の頭の中で、ぐるぐると回って、思考を続けていた。

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