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「えっと、今日の実験のまとめはレポートにして、大切な資料として、このオカルト研究会の実験ファイルに記録として残します。でも、それは次回にするとして、今日はこれから、『今日の実験の反省会』を近くのファミリーレストランで行いたいと思います」朝日奈くんがみんなに言った。
「今日の実験の反省会、という名前の食事会ね」硯は言う。
「そういうのが、いつもの決まりごとなんです」オカルト研究会に入ったばかりの萌に葉摘がそう言った。(葉摘は、同じく新入部員の新谷くんのことは無視していたけど)
郡山第三東高等学校、旧(現)校舎の中にあるオカルト研究会の部室の中には、現在、五人の生徒がいる。女子生徒が早川萌、真中硯、野田葉摘の三人。男子生徒が朝日奈勝くんに新谷翔くんの二人で計五人だ。
新谷くんを除く、四人はいつもの席に座っている。そして、新谷くんは硯の隣の席に余っているパイプ椅子を出して座っていた。硯が「新谷くんの席はここだよ」と言って、その場所を指名したのだ。なので、新谷くんは朝日奈くんと硯の間に90度くらいの角度で挟まれるような位置に座っていた。
「早川先輩。こっちにきませんか?」葉摘が言う。
「うん」
その葉摘のお誘いを受けて、萌は葉摘の隣の場所にパイプ椅子ごと移動をした。
なんとなく全員の座っている位置のバランスが少し悪かったので、葉摘は萌にそう言ったのだと思う。実際、萌が場所を移動して、みんなのバランスがすごくよくなった。
(そういえば、こうしてオカルト研究会の部員五名が、きちんと部室の中に揃うのは今が初めてのことだった)
朝日奈くんを(部長らしく)真ん中にして、葉摘の前には新谷くん、萌の前には硯がテーブルを挟んで向かい合うように座っている。硯は今日は、いつものようにロゼッタストーンの模型をいじったりはしていなかった。その代わり、なんだか鋭い目つきで、ちらちらとさっきから新谷くんのことを見ていた。




