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 一週間後。


 UFOを呼ぶ実験の日。


 その日、郡山第三東高等学校オカルト研究会のメンバーは、学校の校庭の隅っこに集まった。

 旧校舎と現在建設中である新校舎の両方の建物の姿がここからは見える。ががが、とか、ごごご、と言った建設現場の工事の音が運動部の部員たちが熱心に練習をしている校庭の隅々にまで聞こえてくる。

 この場所に来る前に、萌たちは旧校舎と新校舎の間にある、この辺りの地震の発生を抑えているとされる小さな社の中に祀られた『要石』の姿を少しだけ観察してきた。それは見慣れた(まるで漬物石みたいな)丸い石だったけど、改めてその石を、神様として認識して眺めてみると、こうして一年中、ずっとみんなを守ってくれている石が、なんだかとても大切な存在であるかのように思えてきた。

「じゃあ、少し拝んでから行こうか?」

 そう言って、朝日奈くんが要石に向かって両手を合わせて拝んだので、オカルト部員のみんなも、もちろん萌も、同じように要石に両手を合わせて拝んでから、一礼をして(それが正しいお参りの行いなのか、早川神社の巫女である萌にもよくわからなかったけど)、その場をあとにした。

「みんなこうして、神様のことを忘れていってしまうんだね。悲しいよ。僕は」と歩きながら朝日奈くんが言った。

「確かに。私もオカルトって分野に興味がなければ、要石のことなんて、たぶん、なんとも思ってないと思う」と珍しく真面目な顔をして硯が言った。

「でも、神様って、本当にいるのかな?」

 萌が言う。

「それ、巫女の萌が言っちゃ一番だめなセリフでしょ?」とにっこりと笑って硯が言った。


 萌たち三人の後ろには、野田葉摘と、それから、新谷翔くんが一緒に並んで歩いていた。

 一緒に並んで、と言っても二人は会話をしていない。

 葉摘は相変わらず(歩きながら)文庫本を読んでいるし、新谷くんは無言のまま、ぼんやりと周囲の風景を眺めながら歩いていた。

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