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前書き
雨が上がった夕暮れの街。すべてが煌めいて見える世界で、3人の中学生が近づいたり離れたりしながら歩いている。
「そういえばさ、私たちって掃除場所が一緒だから仲良くなったんだよね?」
「そだねー。」
「懐かしいなぁ、あの、寂れた中庭ね」
ふふ、と3人は見つめあって笑った。
「じゃあさ、うちらはチームミドルガーデンだね!」
「突然どうした。」
「お、じゃあじゃあTMGだね!」
「舞も、翼の適当な言葉にいちいちのらないの!ていうか、TMGって«たまご»じゃん。」
車道側を歩いていた少女の言葉に、残りの2人は立ち止まった。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・何、何で突然黙るの」
「いいじゃん、それ。」
突如、真ん中の少女がつぶやく。
「え?」
「ね、舞歌」
「だね、翼」
2人は、視線を合わせて何かを確信したようだった。
「ちょっと、待」
「うちらは今日から、チームたまごだぁぁぁぁ!」
「だぁぁぁぁぁぁぁ!」
「やめてよ、声デカいって!舞歌も、優しすぎるんだよ・・・」
どこにでもいる普通の3人組は、こうやって誕生した。