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世界にたった一人だけの職業  作者: Mei
1章 王宮編
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一段落。そして、今後の方針。

「まず、国王陛下やレミリーの事についてだが……保安ギルドに報告しようと思う」

「保安ギルドって?」

 蓮斗が疑問の声をあげる。

「保安ギルドって言うのは、日本で言う警察みたいなものだ。そこに行って事の経緯を説明する」

 皆秀治の説明に納得し、首を振って頷く。

「次に二つ目なんだが……王女の事だ。……王女はこのままだと、身寄りがない。そこで、誰かに預かってほしいんだが……」

「あ、それなら俺がー」

「いや! 私がやるわ!!」

 蓮斗がレミリーを預かると言う前に川崎が自ら預かると言った。

「……川崎。無理しなくても……」

 蓮斗には川崎が無理しているように見えたのだ。だが、それは見当違いもいいとこだった。

「む、無理なんかしてないわよ! だ、だって仮に蓮斗くんが王女を預かるとしても色々と問題が発生するじゃない? 王女も女の子なんだし……ね?」

「わかったよ」

 蓮斗も川崎の言わんとしている事を理解し、承諾する。

「よし。最後に宿泊する場所だが、宿をとろうと思う」

「何で宿を? 王宮があるじゃん」

 誰かがそう声をあげる。皆も同意なのかうんうんと頷いている。

「王宮は危険だ。大体、王宮だって安全が確保された訳じゃない。どこに危険が潜んでいるかもわからない状態だ。それよりかは金を払ってでも宿に泊まった方がいい」

「でも……。誰かが警戒系のスキルで警戒すれば……」

 誰かが再び反論を試みる。

「スキルだって万能じゃない。それに、そんな気の張った状態で王宮にいては疲れがとれない」

 確かに秀治の言う通りだと俺は思う。スキルだって万能じゃない。スキルには長所があれば必ず弱点もある。スキルは神からの#賜り物__ギフト__#なんてよく言われているが、いくら神が与えたスキルでも弱点がないなんてことはない。まあ、要はスキルも頼るのは程々に(?)とか言うやつだ。

「じゃあ、これから役割を決めていこう。まず、保安ギルドに行くメンバーだが……。俺と蓮斗で行こうと思う」

「私も行きたい」

 川崎の言葉には強い意思が宿っていた。だが、今回ばかりは保安ギルドに行かせられない。理由も勿論ある。

 一つ目は、今の高峰ではクラスをまとめるのは難しいということだ。精神的にも不安定な状態で、今のままじゃ高峰に何かを任せるというのは難しい。

 二つ目は、川崎が残ることでクラス内での混乱を最小限抑えられる事だ。川崎の事を利用するようで悪いが、これがベストだと思う。

「川崎。すまないけど今回ばかりはつれて行けない。今の高峰じゃ、クラスは纏められないからね。俺達が保安ギルドに行ってる間、クラスを誘導して宿屋に行ってて欲しい。確か、ここの近くに"ラトス"って宿屋がある筈だから……。詳しい道順は、これなんだけど……大丈夫?」

 そう言いながら蓮斗は、"#地図__マップ__#"を表示する。

「……わかった。必要な役割なんだね……。うんうん……。道順は大体わかった。だから、保安ギルドから帰って来たら私にも構ってね……。後、この前の返事、聞かせてね……?」

 蓮斗は普段の川崎らしくない発言に少し驚いたが、了承の意を示す。

「……わかった。じゃあ、また後で」

 蓮斗はそう言い秀治と共に保安ギルドに向かった。



「……ここが保安ギルドか」

 俺達は保安ギルドなる建物の前にいる。木造でできており、建物は二階建てとそんなに高くはないが、見た目はしっかりとしている。

 ドアを開けて入ると、中には数人の職員がいて、書類を整理していたり、他の冒険者の対応にあたるなど(せわ)しなく動いている。

 俺達は入ってすぐ正面に見える受付に向かう。受付には女の職員が一人いた。

「こちらは保安ギルドです。本日はどのようなご用件でしょうか」

「大変申し訳ないのですが、これはあまりここではお話しできない用件なので……」

「……では、奥の部屋で聞きましょう。すいませーん。手の空いてる方は少しの間でいいので受付をお願いします」

 受付の女性がそう呼ぶとすぐに別の女性が受付へやってきた。受付の女性はじゃあ、あとよろしくお願いします、と言って受付に来た別の女性に頭を軽く下げ、俺達を奥の部屋へと案内した。

 受付にいた女性が奥の部屋のドアを開ける。中に入るとソファーが二つ対になるように設置されており、真ん中には"イルール"という透明なガラスの一種で作られたテーブルが置いてあった。

 受付にいた女性は俺達をソファーに座るように促す。俺達はそれに軽く会釈して、ソファーに腰を掛けた。そのあとに受付にいた女性もソファーに腰を掛ける。

「改めまして。私は保安ギルドの受付嬢をしているリリー・メークシーです。……先程言っていた用件、改めて聞かせて下さい」

 蓮斗と秀治はお互いを見て、軽く頷くとこれまでの経緯をリリーに説明し始めた。



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