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世界にたった一人だけの職業  作者: Mei
1章 王宮編
25/36

洗脳魔法。そして、本当のレミリーはー。ー4

「秀治。川崎。一応防御魔法かけとくぞ」

 俺はそう言い、二人に"周壁"の魔法をかける。

「ありがとう。悪いな、蓮斗」

「あ、ありがとう……。蓮斗くん……」

 おい、川崎。恥ずかしそうに言われたらこっちまで照れちゃうじゃん。

「よ、よし。先を急ごう」

 俺は二人にそう言い、下に続く暗い空間へと向かう。二人も俺の後に続く。

 暫く俺達は暗い空間を進んでいく。ここまで魔物(記憶阻害者(メモリーハーム)と呼ぶことにした)と戦闘になったりしたが、特にこれと言って問題はない。ひたすら同じようなかわりばえしない空間を進んでいるので、どのくらい進んだのかはよくわからない。

「蓮斗。あれを見ろ」

 秀治が指を指しながら俺にそう言う。俺も秀治が指差した方向をみる。すると、そこにいたのは……。

 真っ黒の結晶みたいなものに巻き付く、黒い触手のような魔物だった。その全長は四メートルに迫る勢いで、何本もの触手が蠢いていた。

「……かなりでかいな。あれがレミリーを蝕んでいたやつの正体か……?」

「恐らくそれで間違いないだろう。それにあの黒い結晶みたいなやつは多分元は記憶守護者(メモリーキーパー)だったやつだろう。そして、あの黒い触手は記憶支配者(メモリードミネイター)だと思う」

記憶守護者(メモリーキーパー)? それに、記憶支配者(メモリードミネイター)って?」

「便宜の都合上俺がつけた」

 秀治は普段の態度からは考えられないどや顔をしていたが、軽くスルーした。

「それで、あの記憶支配者(メモリードミネイター)を倒せばあの記憶守護者(メモリーキーパー)は元に戻るんだな?」

「ああ。元に戻ると思う」

「よし。わかった。二人とも、ちょっと目を閉じててくれ」

 蓮斗の言葉に疑問感じた二人だったが、蓮斗の強い決意が感じられる眼差しを見て了承の意を示し、目を閉じる。

 それとほぼ同時にこちらに気づいた記憶支配者(メモリードミネイター)が黒い触手でこちらに攻撃を仕掛ける。その攻撃が蓮斗達に直撃するー。

「"断罪(コンビクション)"」

その前に蓮斗が記憶支配者(メモリードミネイター)に向かって魔法を唱えた、その瞬間。

 大きな魔法陣が記憶支配者(メモリードミネイター)の頭上に展開される。その展開された魔法陣から、隕石みたいなものが記憶支配者(メモリードミネイター)に降り注ぐ。記憶支配者(メモリードミネイター)に隕石みたいなものが衝突した。すると、カッッッッッ! と光が爆ぜる。

 暫くすると光が収まり、目の前がうっすらと見え始める。

「二人とも。目を開けていいよ」

 蓮斗にそう言われ、二人は目を開ける。目を開けると、そこには記憶守護者(メモリーキーパー)に巻き付いていたあの黒い触手の姿はなく、緑色の記憶守護者(メモリーキーパー)だけだった。

「……。呆気なく終わったな……」

 秀治は呆然としながら正常の姿に戻った記憶守護者(メモリーキーパー)を見つめながら言う。川崎も同じような感じだった。

「ま、まあ終わったことだし戻ろうよ」

 蓮斗もあんなに呆気なく終わるとは思っておらず内心では吃驚(びっくり)していたが、王女の安否を確認したいという気持ちから二人に帰還を促した。二人も戸惑いはまだあったものの、早く帰還したかったようで了承してくれた。

「二人とも、今から帰還するための魔法を発動するから俺に掴まって」

 俺がそう言うと秀治は肩に掴まり、川崎に至っては腕に抱きついている。正直今にも爆発しそうなくらい恥ずかしかったが、確実に帰還するためだと無理矢理自分に言い聞かせ、魔法の発動に集中する。

 基礎魔法陣形成……。転移付与……。補助魔法陣形成……。全体の歪み修正……。

「"テレポート"」

 俺が魔法を唱えた瞬間、白い魔法陣が浮き上がり、そこから強い光が発生する。あまりの眩しさに俺達は目をつむった。

 暫くして、強い光が収まり眩しくなくなった所で俺達は目を開ける。すると、そこには見覚えのある景色が広がっていた。

「ふぅ……。無事帰ってこれたな……」

 蓮斗はテレポートをするのは今回が初めてだったので上手く戻れるか心配だったがそれも杞憂に終わったようだ。

「秀治。王女の容態はどうだ」

「……。特に問題はない。今は多分魔力欠乏(マナエンプティ)で眠っているだけだ。直に目を覚ますと思う」

 秀治は精霊魔法で王女の容態を調べながら、そう答えた。

「……。そうか。じゃあ王女が目覚めるまで少し待とうか」

「ああ」

「うん、そうだね」

 俺達は王女を救えた事に安堵の息を吐き、同時に本当の(・・・)レミリーとやっと会える事に内心少しドキドキした。



 


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