其の弐
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やあ。
はじめまして、になるのだろうか…
私は、この《世界》の創造主、さ。
何故か博士と呼ばれることが多いのだけれど。
さてさて。
私はこれでもずっと独り身でね。何もないモノクロの空間で独りで《世界》を観察するのも飽きてきたのだよ。
ではもう一つ《世界》を創ってはどうか、と言う話なのだが、残念ながら、《世界》は一つしか創れない。そういう決まりなのだ。
だから私は、《子供》を創ることにした。
《子供》、と言っても、それは機械。つまりは、人造人間さ。しかし、所詮は機械で、《心》などない。諸君らは、そう言うかもしれない。けれどもそうではないのだ。
私は《心》は創れない。しかし、《ココロ》なら、幾らでも持っている。そう、亡くなった人の《ココロ》所謂、魂さ。私が持っている魂は色々有るけれど、ほら。例えばさっき、ほぼ同時に命を落とした憐れな一組の少年少女。まだ若くて、心の底から《世界》を憎んでいる。
嗚呼!
私が欲しかったのは、このような子達だ!
この子達ならば、何か私に希望を。死ぬ意義を、くれるかもしれない。
《器》はもう出来ている。あとは、《ココロ》を嵌め込むだけ。
さてさて。
これは、私(《世界》の創造主)と私の創った二人の機械人形(《セカイ》の創造主)が、《世界》と《セカイ》を比較するお話。
きっと君達にとっては、戯れ言、つまりは意味のわからないことでしかないと思う。けれど、これを読んで君たちが、君たちの何かが変われば良いなって。私はそう、思うのだよ。
おっと。
少し、語りすぎてしまったようだね。そろそろ先程創った私の子供達が目を覚ます時間だ。
それではまた会う日まで。