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其の壱
「…」
少女は、とある廃病院の屋上に立っていた。
少女は《世界》に絶望していた。《世界》を憎んでいた。
「こんな《世界》なんて詰まらない。これなら。生きている意味なんて無いかな。」
最期に、少女は、こう呟いた。
そうして彼女は、髪に結んだ赤のリボンと白のパーカーをはためかせ、を屋上からその身を───投げた。
そう。
これにて少女の短かったその人生は、終わりを告げたのだ。
*
「…」
少年は、虚ろな瞳をして自らの部屋に立っていた。
自らが作った縄を前にして。
少年は《世界》が嫌いだった。《世界》を憎んでいた。
「こんな《世界》に、僕が居ること自体が、可笑しいんだ。ならば──死んでしまおう。」
歪んだ笑みを浮かべ、最期に少年は縄を首に掛ける。
そうして自らが羽織った黒のパーカーを揺らして、その身体を──宙に浮かべた。
そう。
これにて少年の短かったその人生は、終わりを告げたのだ。