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「お前は何者だ」
男は再度高圧的に問いかけてきた。怜は首に剣を突き付けられながら、必死に頭を回し始めた。
(こいつはここに連れてきたやつではなさそうだけど、それ以上やばい奴だろ!この刃物に付いてるやつってあの化け物の血だろ!?こっちが何者か聞きたいわ!)
混乱しながらそんなことを考えていると
「答えるつもりはないのか。まあいい、とりあえず上に着てる変な服を脱げ。」
「…はぁ?」
思わずそんな声が漏れたが、私の聞き間違いでなければ服を脱がせたいようだ。もちろんそんな要求に答えるつもりはない。ここは強気に出て相手をひるませようと思い
「てめえ、チョーシ乗ってんじゃねえぞ!」
そう怒鳴りながら後ろを振り返った。
男は予想外の恰好をしていた。頭部は銅でできたようなヘルムで頭を完全に覆っており鼻があると思われる部分から鳥のくちばしのように鋭い突起が出ている。その上にはいくつも目がついているように縦に穴が開いていた。おそらく首から下はおそらく同じような鎧を着ているのだろうが分厚い黒のマントで隠されている。その不気味な姿に唖然としていると、ヘルムに空いている穴からこちらを見つめる鋭い目を見つけた。
するといきなり衝撃を感じ、岩を見上げていた。後から腹部に継続的な激痛が走る
「ごほっ!ごほっ!!」
思わず盛大に咽せ、視界がぼやけながらも男を見上げると、ポタツと何かが垂れてきた。
視界がクリアになった頃には、オレンジ色にぼんやりと光を放つ銅剣の切っ先が鼻先に突き付けられていた。
「次はない。」
男は殺気を感じる程の冷たい言葉を投げかけると、じっと見下ろしてきた。
怜の冷や汗だらけの顔に、再び半透明な赤色の液体が糸を引いて垂れてきた。