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3話 俺とマリーと異世界と

マリーと葵の会話部分が両方タメ口ですが、これは東京スカイツリーに行くまでに少し仲良くなったからです。感想、ブックマーク面白いと思ったらぜひ登録してください。



『え?』


俺の口から出てきたのはそんな間抜けな声だった。目にゴミでも入っているのか。そう思い目をこすったが何にも景色は変わらない。ただの灰色の高層ビルが多く並んでいるだけだった。なぜだ、異世界ってもっとこうなんというか妖精とか飛び回ってそうな泉がある村とか冒険者ギルド的なワクワクする施設が並んでいる場所ではなかったのか。めまいがしてきた。


『大丈夫?顔色が悪いわよ』


そりゃそうだ。夢にまで見た異世界が東京と変わらないなんて。 唯一、異世界らしいのは道路を走っているドラゴン的な動物だけだ。少しは気分が良くなった。金があったらあれ乗ってみてえな。

マリーが心配そうな顔で俺を見つめてくる。その整った顔に俺は少しドキドキしながら、努めて冷静に答えた。


『大丈夫だ問題ない』


『ならいいんだけど。やっと帰って来れたわね。早くお家に帰ってママとパパに会いたいわ。』


そのことを聞いて俺はこれからどうしようか迷った。ハローワーク的な職業紹介をしてくれる場所なんかあるのだろうか。というかそこら辺を歩いている人たちを見ると黒目黒髪のやつなんか1人もいないので俺はクソ目立つ。やめてくれよ俺は今コミュ障だぞ。 そんなこと考えているとマリーが


『まぁ、助けてもらったんだし今度は私があなたを助ける番よね』


むちゃくちゃいい子や。25超えた男が10歳後半の女の子の家に転がり込むなんてなかなかやばいと思うが、このままここにいたって何も変わらないしどうしようもないことぐらい俺にだってわかる。


『すまない。仕事とか見つかったらすぐに出て行くから。』


『そうなの?別にパパもママも全然構わないと思うよ。まぁこっちの世界も大変だし、ちょっとぐらいゆっくりしていってよ』


『ありがとう。そう言ってもらえると助かるよ』


『そういえば、この世界って冒険者って言う職業ある? 』


『まぁ、ないわけじゃないわね。でもこのご時世命をかけてまでモンスターを倒そうなんて考えている人はよほど正義感が強いのかそれともただのアホかどちらかね』


『この世界にはモンスターがいるのか?もし辺境の都市とかでモンスターが暴れていたらどうするんだ? 』


『例えば、サテラでは、それ専用の部隊があってにモンスターを討伐しているわ。それでも討伐できない場合は冒険者派遣の会社から派遣されてくる社員通称ハンター達に頼んで討伐してもらうわ。』


ハンターって、モ○ハンみてえだな。冒険者派遣会社か。なかなか面白そうだ。でも、俺はただの冴えないリーマンだ。縁はないな。


『結構儲かるみたいよ。依頼人の依頼金もガッポリ入ってくるし、モンスターの剥ぎ取り品なんて高値で売れるからね。当たれば億万長者。でもそんなうまくいかないわ。死んだらそこで終わりだし何より危険すぎるわ。私だったら絶対やね』


そうだな。死んでしまったら終わりだし何より痛いのは絶対嫌だな。ここでラノベの主人公だったら、チート能力に目覚めてハーレムでも作るのかな。

でも俺には何もない、あるのはろくに使ってもいないスマホぐらいのものだ。とりあえずマリーの 家に居候させてもらうおう。


『じゃあ。いきましょうか私の家に。』


俺はマリー に連れられて灰色の街を通り抜けた。



1時間位歩いただろうか。結構かかるんだな。周りにはビルもそんなになく、完全 に郊外だな。そう思うような風景だった。するとちょっと大きい家が見えてきた。マリーがほっとしたような顔をしている。多分あれがマリーの家だな。


『あそこが私の家。ハウトゥ家の屋敷よ。まぁつまらないところだけど楽しんでいってくれると嬉しいわ。』


『ハウトゥ家は貴族なのか?』


『いいえ。ただの商人の家よ。なんでも私のひいおじい様が一山当てて大儲けしたらしいのよ。』


なるほどね。ん?家の前に3人ほど人影が見えるぞ。右にいるのはメイドだな。品の良さそうなそうな顔だ。その横にいる2人がマリーの親かな。特にお母さんの方がマリーによく似ている。お父さんの方がエルフだろうか。耳が尖っている。異世界らしいなぁ。俺がそう思いながらワクワクしていると、


『パパ、ママただいま!』


マリーが笑顔で両親に向かって走り出している。お母さんのほうは今にも泣きそうだ。お父さんも顔を綻ばせている。


『マリー、よく帰ってきたわね。シオンちゃんかマリーが消えてしまったなんて聞いた時はものすごく焦ったわ』


『私は大丈夫だったわ。葵が私が帰るのを手助けしてくれたもの』


『葵さん。私の娘を助けていただいて本当にありがとうございました。』


『いえいえ人が困っていたら助けるのは当然かと。』


ブスだったら助けていたなかったけどな。なんてゲスなことを考えていると、


『葵は今、住むところがないの 。彼を家に泊めてあげられないかしら。』


『もちろん。ぜひゆっくりしていってね』


『 ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます』


『じゃあ、立ち話もなんだしお家に戻りましょうか。』


お母さんはそう言うと踵を返して屋敷に向かおうとしていた。



屋敷に戻ってから、俺はリビングに連れられて、ことの顛末を話した。 俺は、マリーが何をしていたかをそして俺はこの世界の住人ではない異世界人であると言うことを2人に説明した。

2人は難しそうな顔をしていた。しかし、すぐに納得したようだった。


『神話で聞いたことがある。 英雄は常にこの世界の住人ではないと言うことを。』


父親がこんな中二病みたいなこと言ってていいんだろうか。しかしすぐに納得してもらえたのはありがたいことだった。とにかく1番の問題である飯、寝る場所が確保できてよかった。


『まぁ、今日は遅いですしまた明日いろいろな相談をしましょう。メイドのリーリエットが部屋まで案内するのでゆっくり休んでください。』


『ありがとうございます。では失礼いたします。』


俺はリーリエットさんに連れられて二階のゲストルーム的な部屋に入った。中は割とシンプルでベッドと机と椅子、クローゼット位しかなかった。しかし清掃が行き届いているのかホコリは見つからない。

あー疲れた。そういえば徹夜していたんだっけか。いろいろありすぎて忘れてた。 ベットに寝転がると突然睡魔が襲ってきた。これはあらがえないな。俺は心地よいベットの感触を味わいながら深い眠りについたのだった。








次回予告

マリーの家に居候することによって葵。果たして彼は仕事を見つけることができるのだろうか。

次回

『俺と仕事と髪フェチと』


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