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インタールード -あなたは今大切な物がありますか?-  作者: 箱丸佑介
第六節:光に散り桜と舞え
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異世界編:王女救出


《しゃく稼ぎコーナー》

(※つまらなかったらとばして飛ばして下さい)


学校で一目見たときに僕は君に恋をした、最初は全然しらない子だったけど。

それから連絡を取り合い話し合い、通話でもするようになった。

学校じゃすこし照れくさくて話せないけど、見ているだけでも僕は幸せだった。

付き合いたいなんて思ってないと言えば嘘になるけど、君には僕より似合う人が居る。

そう思ったら僕は自然と君と会話をしなくなってしまった。

(短編詩みたいなもの、作者は祐介君)


↓ここから本編です↓


「あなたは冒険者のシステムをどこまでご存じですか?」

「階級があるのと、ポイント制で倒したモンスターによってポイントが違うんですよね?」

階級はブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、アダマンタイトの六種類。

階級によって受けられる討伐の仕事も変わるらしい。

「ええそれだけご存じなら問題はないです」

どすっという音と共に意識が遠退いた、首元を何かに殴られたようだ―――。



「ガイア様、ご命令の通り腕の立つ人間を連れて来ました」

真っ暗な狭い箱の中に詰め込まれ、少しだけ外から声が聞こえた。

「すまなかったな無理を言って」

「いえ、少々問題がありましてこの人間の連れ添いに作戦がバレたため、やむなくこの方と同じ場所にしまっております」

そういえばさきほどから細い髪と生暖かい感覚が上に乗っている、それにこの匂いどこかで。

「構わん、すまんなピエール下がっていいぞ」

「はい」

周囲に二人以外の人の気配は感じない、一人になった所を襲えば勝てる。

音を立てないように上に乗っている誰かと位置を変え、片方がいなくなったタイミングを見計らって箱を飛び出た。

刀を引き抜く前に僕の首には剣が十本近い剣が全方位から突き付けられた。

「落ち着け私は敵ではない」

体中から汗が流れ、皮膚を滑り落ちていった。

驚いたのは自分の犯されている状態、ではなく、敵の姿だった。

眼光を赤色に光らせた白い体。

「うぎゃー! 、骸骨!?」

毛を逆立てるように身を震わせ大声まで上げてしまった。

【身体強化能力:神眼】

条件反射で敵の素性を知ろうと能力を使うと、意外な物が見えた。

「なんだ、人間か」

「んな、僕の本当の姿が見えるのか?」

「見えますよ、あなたが人間に」

あくまでも神眼を使ってだが。

というか、性格が変わったような。

「あの、どういう経緯でそんな姿に?」

「私にもわからんのだ、この姿になってもう一年も経つが、治すすべは見つからん」

「それで僕に頼みって言うのは」

「人間の世界での情報収集を頼みたいのです」

「でも、ガイアさんて素性を隠しててもアダマンタイトの冒険者なんですよね?」

「私の推薦があればどんな仕事でも受けられるでしょう、そこも考えた上で腕の立つそして信用にたる人物を探して貰おうと思ったんですが」

「その信用っていうのは、人質を取ってということですか?」

「そうとって貰っても構いません。ですが必要な物は全て用意させて貰いますよ」

先ほどまで入っていた箱の中に入っていたのは、僕とセレの二人だった。

「まあいいですけど、この子、セレの身の安全は保障して下さいね」

「傷一つ付けないと約束しよう」

「それ、肝に免じておいて下さいね、何かあったときはこの建物ごと皆さんを殺しますから」

先ほど抜き取った桜花刀を鞘にしまい、笑顔で伝えた。

脅しと冗談を織り交ぜたのだが、冗談の通じる相手だったろうか。

「はっはっはっはっはっ」

有り難いことに冗談は通じたみたいだが。

「わかりました、彼女の身の保障はしましょう」

「お願いします、最初はどこに行けば?」

「この手紙を持っていって下さいこれが推薦書です、これを持って王都アルバーナのギルドへ行って下さい」

「わかりました、セレの事お願いしますね」

そう言って手紙を受け取った。


※王都アルバーナ


王都と言うだけあって街は活気に溢れていた。

さきほどいた場所から出てから誰かにつけられている気がするのだが、すこしおびき出してみようか。

人混みをかき分けながら人一人入るのがやっとの路地に入った。

軽くジャンプして壁に両手を当てて身を隠した。

追っ手が入ってきたのを確認して壁から手を離し、ハンマーナックルを振り上げた。

ぶつける直前で少し躊躇し、首に腕を回して首を絞めた。

「一体なにが目的ですか?」

「は、放せ」

首を絞めた相手は女性だった、叫ばれると立場がまずい、と思い慌てて手をどけた。

「あ、お、女の人!? 。なんで僕をつけてるんですか」

「私だって好きでつけていた訳ではない」

「あなた、さっき居た場所と同じ匂いがします。ガイアさんの部下の方ですか?」

そういえば仲間が一人欲しいと言った憶えがあるような、無いような。

「私は凜麗りんれい、凜と呼べ」

自己紹介をしながら顔隠しのフードを外した凜の姿は、名前の通り黒髪の凛とした女性だった。

「よろしくお願いします」

その姿に見惚れていると、ふと頭の中をよからぬ言葉がよぎった。

「どうかしたか?」

「あ、あの!」

「なんだ」

「蹴ってくれませんか?」

血迷ったのだが、これは男の定、そう男なら避けられない綺麗な人には蹴られたいと言う衝動が、言葉に出ただけなのだ。

「死にたいのか?」

「め、め、め、滅相もございません!」

蹴り殺されそうだから冗談は程々にしよう。

「ちょうしに乗るなよクソガキ!」

「ん?」

人混みの多い表の市場の方がなにやら騒がしかった、なにやら一般人とごろつきが揉めているらしい。

「ちょっと武力介入でもしてこようか」

「身を危険にさらす必要は無いと思うが」

「困ってる人は放っておいちゃ駄目ですよ」

路地からでてごろつきの一人が振り上げていた拳を掴み止めた。

「なんだてめぇ!」

「自分から名乗るのが礼儀ってもんじゃないのか?」

手をねじりながらごろつきの体を縦に一回転させ腹部に膝蹴りを入れた。

「この野郎!」

残っていた二人のごろつきが襲いかかってきたが、世話好きなのかひょいっと出てきた凜にぼこぼこにされた。

「まだやるなら命は無いぞ?」

「凜さんかっけぇぇぇ!」



その後王都のギルドで冒険者全員を収集した会議が開かれると聞き、凜と共に急いで向かった。

「ギルドカードはお持ちですか?」

「すいません、まだ登録して無くて、エンティガー(ガイアさんの偽名)さんから推薦書を貰ってきたんですが」

「そうでしたか、なら今日の仕事は良い踏み台に出来ますよ」

「随分とざわざわしてますが、一体なにが?」

「王女様が誘拐されたそうで、王国からギルドに総動員出撃依頼が来まして、王国兵との共同作戦で王女様の救出を」

「なるほど」

「登録したらあなたも作戦に参加して下さい、ほとんどいるだけで問題は無いですし、アダマンタイトの推薦ならそれなりの戦力にはなるんでしょう?」

「た、多分」

不安が遥かに勝っているのだが、多分僕よりも腕が立つ凜がいるから問題は無いだろう。

こうして僕の初仕事は始まったのだった。


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