吸血鬼編:七:砂漠の死闘、生きる目的を探す男と戦いに生きる女
どうもつい最近本体の段ボールに落書きしました、祐介の方です。
え?、箱丸との違いを教えろ?。
うーんと特徴は女の子に踏まれたい願望があって現実には微少女しかいないという絶望に身をよぎった方です。
はじめましてですね、ペンネームは箱丸祐介ですが本体は箱丸の段ボールです、以後よろしくお願いします。
「快適なもんだな」
〔ええ、ワープと言っても一種の超空間移動のような物ですから、マスターのように一瞬とは行きませんがね〕
「冗談言うなよ、これだけの伊豆から西サハラ(約一千五百万キロ)まで十分で着くのに文句があるわけ無いだろ」
〔間もなく超空間を抜けます、皆さん対ショック体制を。三、二、―――、右舷より対空ミサイルが接近〕
ルイの警告と共に右舷で二号機が爆発した音がした。
「ルイ二号機の損傷は?」
〔右翼及び格納庫後方が破損、残念ですが〕
「待ち伏せされてたって事だよな」
〔ええ、間違いなく〕
淡々と話していると今度は左舷の三号機の方から爆発音がした、急いで窓から外を確認すると三号機は空中で大破した。
〔三号機大破、こちらもロックされました〕
「ハッチを開けろ! 、全員降下準備だ!」
〔マスターミサイル発射されました、着弾想は五秒後です〕
「賭けになるがEMPを起動しろ、機体が爆発する前に降下するぞ」
〔ラジャ、ご健闘をお祈りします〕
機体から放たれた電磁パルスがミサイルを停止させると同時に、機体が強く揺れた。
「全員降下しろ! 、持っても三十秒だぞ!」
全員の降下を確認して機体から飛んだ、右手にハードボーラー左手にレイジングブル持ち、敵の対空ミサイルと対空砲に向かい撃ちまくり破壊した。
そのまま垂直に落下しながら銃を変えつつ発砲し、歩兵を片付けた。
「よくよく考えればどっちの軍か確認してないけど、関係ないか」
足下が砂のせいもあるが、足場が悪すぎるいつも通りの機動力は出せなそうだ。
どたどたと砂煙を上げながら突っ込んで来る人影が一つ、ものすごいスピードだった。
「なんてスピードだよ、勝てるかこれ」
銃を人影に向けて構えるとがマントで一瞬しか顔が見えなかったが、後ろで全員が降下したのを確認して銃をしまった。
「ミスティ後ろの丘に陣取れ学生組はそのサポートだ」
「はい」
ミスティ達が目的地に下がり始めたのを確認して、人影に向かい走った。
どんどんと近づくにつれて靴の中に砂が入り走りづらくなってきた、どうにかして地形を上手く使いこなし、アウェーの不利を無くすか。
考えるより先に出た拳は逆に地形を利用され、足を砂に埋め姿勢を低くした敵に避けられ、カウンターの拳が飛んできた。
慌てて体をそり返し避けようとすると、砂に足を取られた。
「まずい」
そのまま足をつかまれ近くの壁まで投げ飛ばされた、足を掴まれたとき金属の感触がしたのだが、気のせいだろうか。
いや、今は考えるより体を動かすべきなんだが、どうしてこう俺の体は関係ないことをするんだろうか心身共に。
あれか、反射神経がゴミなのかでもそれだと思考能力に関しては関係ないような。
バァンという爆発音のような音と共に背中を砂の岩壁に打ち付けられた。
「いってぇ、考えるんじゃなくて動けよ体」
近くまで近づいてきた敵から逃げるように岩に登り飛躍した。
したのだが、それに着いてくるような飛距離の飛躍をした敵に掴まれた、掴み返すとお互いに体制を崩し近くの砂岩地帯に落下した。
落下しながら暴れまわる敵に後ろから足で体に掴まり、顔を覆っていたマントを取った。
「やっぱり女か、こりぁ――」
喋り終わる前に女にオーバーヘッドキックを決められ、地面に叩きつけられた。
脳内でキーーンという音が聞こえた、立ちくらみ視界が揺れて見える。
「勝てねぇや」
途中で止められた続きを言って、諦めを覚えた。
俺にとっての勝利は相手の死、敗北は自身の死、引き分けは相打ち。
それが、俺の勝敗の決め方今の俺にはそれで十分だ。
ポケットからコンバットナイフを二本取り出し、一本を女に投げ渡した。
「名前はなんて言うんだ?」
「教える義理はない」
「それは残念だ、殺される相手の名前位は知りたかったんだけどな」
「それなら教えてあげる、私の名前はセイラ・リトリビュート」
「意外と優しいんだな」
「違う、ただ戦いに興味が無いだけ」
「そうかい」
俺が踏み出したと同時にほぼゼロ距離に近いナイフの突き合いは始まった、技術は互角、砂岩のお陰で足場の不利は無い。
後は現地人しか予測できないようなアクシデントさえ無い限り、どちらかの集中力と体力が切れるまで永遠とエンドレスし続けるだけ。
セイラのナイフを頬がかすめた、避けはしたがなんせこの距離だ回避なんて意味が無い。
俺の殺す気のない刃とセイラのまっすぐな殺意のナイフでは到底攻撃の迷いが違う。
勝てる勝てないじゃ無く、セイラからは感情や迷い以前に生気が感じられない。
まるで死人のような、道具のような感じだ。
「お前はなんで戦ってるんだ?」
「理由は無い、戦場にしか居場所がないだけ」
俺と同じ、簡単に言えば戦うしか能が無い。
でも、こいつは戦う気がないようにも見える。
「逆に聞く、あなたはどうして戦っているの」
「真似するようで悪いけど、俺も理由はないあるとすればただ一つ、死ぬまでに生きる目的ってもんを見つけてみたくない?」
「それを見つけるまでに死ぬことになるかも知れないのに」
「勝負は時の運だからね」
「あなたの持っている六丁の拳銃を使えば、勝負は一瞬で終わる」
「誠に勝手で申し訳ないんだけどね、俺の美学で女は殺さないんだ」
お互いに喋り合う余裕がある、俺の体は傷つく一方だが、パターンと化した俺の攻撃をあと何分でセイラが見切るか。
そう思った瞬間、脇下に飛んだナイフをセイラに脇で挟み奪い取られ、そのまま蹴りを入れられた。
「あなたの甘さが敗因、さようなら」
セイラがナイフを振りかぶり、俺に向かい一直線に刺し掛かってきた時、近くで大砲かなにかの着弾音がした。
「ちっ、ゲリラ兵か。今日は運が悪かった、今度会うときは殺してあげる」
そう言って素早く撤退していったセイラの後ろ姿を、俺はただ目で追っていた。
〔大輝さん聞こえますか? 、敵が撤退を始めました。新手が来ましたけど〕
「新手の方がゲリラ軍だ、こっちも敵の撤退の確認をした。すぐにゲリラと合流する基地で一旦は休めるだろう」
〔そうですね、今回の被害は予想外でした〕
「話は後だ」
歩き出すと太陽が昇り始めた、俺は立ち止まり太陽を見ながら、ただ立ち尽くすだけだった。




